感想:アニメ「クジラの子らは砂上に歌う」第12話(最終回)「ここに生まれてよかった」

TVアニメ『クジラの子らは砂上に歌う』OP主題歌「その未来へ」

TVアニメ「クジラの子らは砂上に歌う」公式サイト  http://kujisuna-anime.com/
放送 BS11

【※以下ネタバレ】
 

第12話(最終回) 『最終節  ここに生まれてよかった』

 

あらすじ

 シコンとシコクによる無印たちへのクーデターの呼びかけは、スオウの反発もあって支持が得られず、尻すぼみに終わった。衰弱が激しかったマソウは遂に亡くなり、砂の海に葬られた。

 帝国本国では、オルカが策により無事戦艦カルハリアスを手に入れていた。帝国では地位の高い者は、皇帝からヌースの肉サルクスを与えられており、サルクスを食すことで奪われる感情の量を少なくすることが出来た。オルカは記録係のイティアに皇帝に取って代わる野望を物語る。

 泥クジラでは、スオウが住民全員を集め、印の短命がヌースに命を奪われているためであることを明らかにした。この事実に印たちは動揺し、またシコンとシコクは自分たちは命を削られているのに無印は代償を払っていないことに怒り狂う。しかしオウニの言葉で住民たちの分裂は回避され、希望を求めアモンロギアを目指すこととなった。スオウはオウニに新しい共同体のリーダーになってほしいと希望する。

 帝国ではオルカたちのカルハリアスが泥クジラを求めて出撃しようとしていた。泥クジラは「ファレナの檻」と呼ばれる難所を超え、未知の世界へと旅立っていった。


脚本:横手美智子/絵コンテ:カサヰケンイチ佐山聖子/演出:桜美かつしイシグロキョウヘイ総作画監督飯塚晴子総作画監督補佐:木本茂樹、松元美季/作画監督:坂本哲也、芝田千紗、古木 舞、佐野はるか、高橋みか、長谷川眞也、藤部生馬、木本茂樹、松元美季、飯塚晴子


感想

 原作は絶賛連載中ですが、「第一部」的なところを上手く12話にまとめて、満足のいくラストとなりました。原作ファンとしては感涙物の作品でした。


総括

 評価は○。

 万人受けはしないだろう作風でしたが、原作をずっと追ってきたファンとしては、「原作をよくここまで忠実にアニメ化してくれた」と泣いて感激するレベルのアニメでした。


 果てしない砂の海の上を、「泥クジラ」と呼ばれる移動する島が漂っていた。泥クジラには住民約500人が暮らしており、九割は「印(しるし)」と呼ばれる「サイミア」という念動力を使える者たちだったが、力の代償として30代までしか生きられない。そして島を率いるのは、残り一割の、能力を持たない代わりに長命な「無印(むいん)」たちだった。

 泥クジラの住民たちはいつまでも変わることのない平穏な日々を送っていたが、ある日一人の少女が泥クジラに現れたことで過酷な運命に直面していく……


 このアニメを評価する点は、なんといっても、原作漫画の雰囲気を完璧に再現していたこと、これに尽きます。制作スタッフに妙な変更をかけられていなくて、「あの原作漫画がもしそのまま動き出したとしたら、こういう風になるだろう」と頭に思い描いていたイメージそのままで映像化されていたので、本当に感激しました。

 また、当たり前なのですが、原作のモノクロ絵が、アニメ化されたことでフルカラーになり、今まで黒でしか描かれなかった、サイミアを使用するシーンやヌースの姿、コカロの発動シーンなどが色付きで美しく描かれていたのも嬉しかった。

 さらにオープニング曲/エンディング曲のどちらももの悲しい旋律の素晴らしい曲で、世界観に入り込むのをサポートしてくれて、どちらも今期アニメでトップクラスの名曲でした。


 結末も上手く切りの良い所まで持って行って、希望に満ちたシーンで締めくくってくれてもう文句無し。原作スキーとしてスタッフに大感謝するしかない最高のアニメ化でした。\(^0^)/
 
 

クジラの子らは砂上に歌う


果てのない世界に、祈りの砂詩(うた)が鳴り響く
業華スタッフにより紡がれる、鮮烈の群像ハイ・ファンタジー


砂刑暦93年――


砂の海に覆われた世界の中、小島のような漂泊船「泥クジラ」の上で暮らす人々がいた。外界との接触がまったく無いこの島の人口は、513人。
感情を源とする超能力“情念動(サイミア)”を有する代わりに短命な“印(シルシ)”と、能力を持たないが長命の“無印(むいん)”という種族からなる彼らは、小さな共同体を形成し穏やかに過ごしていたのである。

島の記録係である“印”のチャクロは、ある日「泥クジラ」に漂着した廃墟船を調査する中で、謎の少女“リコス”と出会う。島の人間にとって、初めてとなる外界の人間との接触。それは、新世界を開く福音なのか―。


梅田阿比による同名の人気漫画(秋田書店「月刊ミステリーボニータ」連載)を、監督:イシグロキョウヘイ×アニメーション制作:J.C.STAFFのタッグでアニメ化。砂に包まれた世界を舞台に、少年少女たちの“感情”と“命”の記録が紐解かれる。



制作会社
J.C.STAFF


スタッフ情報
【原作】梅田阿比(「月刊ミステリーボニータ秋田書店刊)
【監督】イシグロキョウヘイ
【シリーズ構成】横手美智子
【キャラクターデザイン】飯塚晴子
美術監督】水谷利春(ムーンフラワー)
色彩設計】石田美由紀
【撮影監督】大河内喜夫
【編集】後藤正浩(REAL-T)
【音響監督】明田川仁
【音楽】堤博明



音楽
【OP】RIRIKO「その未来へ」
【ED】rionos「ハシタイロ」


キャスト
チャクロ:花江夏樹
リコス:石見舞菜香
オウニ:梅原裕一郎
スオウ:島﨑信長
ギンシュ:小松未可子
リョダリ:山下大輝
シュアン(団長):神谷浩史

 
TVアニメ『クジラの子らは砂上に歌う』ED主題歌「ハシタイロ」
クジラの子らは砂上に歌う 1 (ボニータコミックス)