【映画】感想:映画「用心棒」(1961年:日本)

用心棒 [Blu-ray]

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BSプレミアム 2017年12月31日(日)

【※以下ネタバレ】
 

2つの勢力が対立し、殺伐とした宿場町にふらっと浪人が現れる…。監督・黒澤明、主演・三船敏郎、ダイナミックな殺陣(たて)場面で時代劇を刷新した娯楽巨編。


縄張りの跡目をめぐり、2つの勢力が対立する馬目の宿。殺伐とした宿場町に、どこからともなく浪人・桑畑三十郎が現れる。居酒屋の亭主から町の状況を聞いた三十郎は、2つの勢力を立ち回り、共倒れにしようと画策するが…。流麗な映像と豪快な殺陣(たて)、ダイナミックな演出で、それまでの時代劇を刷新し、イタリアで「荒野の用心棒」としてリメークされるなど、世界中の映画作家に影響を与えた黒澤明監督の痛快娯楽時代劇。

 

あらすじ

 寂れ果てた宿場町・馬目の宿(まのめのやど)に一人の侍(三船敏郎)がやって来た。居酒屋の主・権爺(ごんじい)は、客として来た侍に、町が今の様に荒れ果てた理由を怒りを込めて語りだす。

 この町は、博打を仕切る「馬目の清兵衛」(まのめのせいべい)と、清兵衛に不満を持って独立した元部下の「丑寅」(うしとら)の二人が、町の有力者をそれぞれバックにつけ、兵隊を雇って激しい抗争を繰り広げていた。

 侍は権爺の話に、この町には斬って良い悪党しかおらず、気に入ったので腰を据えると言う。そしてまず丑寅の兵隊三人を瞬く間に斬りすてて実力を示した後、清兵衛の元に行って自分を売り込み、自らを「桑畑三十郎」(くわばたけ・さんじゅうろう)と名乗る。以後、三十郎は、自分の腕を欲しがる清兵衛と丑寅の間を巧みに往復し、両者の共倒れを目論んで抗争を煽っていく。

 しかし、やがて三十郎の策略は丑寅一家に露見し、三十郎は捕らえられて拷問を受ける。三十郎はなんとか逃走するものの、丑寅たちは三十郎が清兵衛の元に逃げこんだと思い込み、清兵衛たちの屋敷を襲撃し、ついに清兵衛たちを皆殺しにすることに成功する。

 三十郎は権爺によって町はずれの小屋に匿われ体力を取り戻すが、その事が丑寅たちに発覚し、権爺は捕まってしまった。三十郎は町に戻ると、丑寅一家と対決してこれを壊滅させ、権爺に別れを告げて立ち去っていった。

感想

 評価は○。

 世界の黒澤の超有名作品。そういう作品の例にもれず「タイトルだけは昔から知っているけど、実物は見たことが無い」映画でして、2017年末のNHKの黒澤映画大特集をきっかけにようやく見た次第です。

 さて、タイトルの雰囲気からしてアクション大作かと思いきや、世界の三船が裏で色々画策して悪党の二大勢力の共倒れを狙っていく陰謀系の話なのにビックリ。さらに、『さっきまで清兵衛のところで歓待されていたのに、しれっと裏切って丑寅のところに鞍替えして、と思うと、今度は両者を天秤にかけて……』と、ストーリー展開が全く読めないのも楽しかった。まあ、中盤ややだるい所があったものの、概ね満足できるレベルでした。あと、役人の「八州廻り」という役職、この映画で初めて知りました。

 しかしまあ、残り時間10分くらいになった段階で、まだ丑寅一家が丸ごと残っていて、しかも仲代達矢は舶来の拳銃を持って武装していて強敵なのに、これは一体どうなるのかと思ったら、三十郎が包丁で拳銃を制してから、あっという間に10人くらい斬り殺して実力を見せつけるというハード展開。しかも強風が吹いていて、砂煙が立ち上る中での対決とは、時代劇の常識を破壊していました。さすが世界の黒澤です。

 ということで、「感激した」とまでは言いませんが、今見てもまずまず楽しめる映画だったと言えましょう。
 

年越し映画マラソン 用心棒
BSプレミアム12月31日(日)午後3時28分~5時20分


【製作】
田中友幸
【製作・脚本】
菊島隆三
【監督・脚本】
黒澤明
【撮影】
宮川一夫
【音楽】
佐藤勝
【出演】
三船敏郎仲代達矢司葉子山田五十鈴東野英治郎 ほか


製作国:
日本
製作年:
1961
備考:
白黒/レターボックス・サイズ

 

2018年視聴映画のあらすじ・感想の一覧は以下のページでどうぞ

2018年視聴映画あらすじ・感想一覧

perry-r.hatenablog.com
 
 
黒澤明と『用心棒』―ドキュメント・風と椿と三十郎