【映画】感想:映画「犬神家の一族」(2006年:日本)

犬神家の一族(2006)

NHK BSシネマ http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送 NHK BS。2025年1月6日(月)

【※以下ネタバレ】
 

横溝正史原作、市川崑監督の大ヒット作を監督自ら30年ぶりにリメーク。石坂浩二が再び金田一耕助を演じ、犬神家の巨額の財産をめぐる連続殺人事件を描くミステリー映画。


横溝正史の傑作ミステリーを映画化した大ヒット作を市川崑監督自ら30年ぶりにリメークし、最後の長編監督作となったミステリー映画。石坂浩二が再び名探偵・金田一耕助を演じ、松嶋菜々子松坂慶子富司純子尾上菊之助の親子共演など豪華キャストも話題となった。昭和22年。信州財界の大物・犬神佐兵衛が他界、ばく大な遺産の相続争いが始まった。やがて犬神家では連続殺人事件が発生、金田一耕助が事件の解明に挑むが…。

 

あらすじ

 昭和22年。信州・那須市。金田一耕助は若林という人物に依頼を受けこの地を訪れるが、到着早々その若林が毒物で殺されてしまう。若林は弁護士・古舘の事務所で働いていたが、古舘が顧問弁護士を務める資産家・犬神家で恐ろしい事が起こりそうだという連絡をよこしていた。金田一は引き続き古舘に雇われることになった。

 犬神家の当主・犬神佐兵衛は先に亡くなっていたが、その遺言状は親族全員が集まるまで公開されないことになっていた。佐兵衛には三人の母親が異なる娘がおり、

松子 … 佐清(すけきよ)
竹子 … 佐武(すけたけ)
梅子 … 佐智(すけとも)

とそれぞれ息子がいたが、佐清が戦争から戻って来たので松子が迎えに行っていた。そしてようやく松子たちが戻ってくるが、佐清は戦地で顔に凄まじい傷を追っており、親族の誰も本人と確認できなかった。しかし松子は佐清に間違いないと言い張り、遺言状を公開させる。

 しかしその内容は、佐兵衛の恩人の孫で佐兵衛が孫同然に扱っていた野々宮珠世に遺産を譲り、また珠世には佐清・佐武・佐智の三人と結婚するように指示していた。さらに佐兵衛が手を付けた女性・青沼菊乃の息子・青沼静馬にも財産を渡すようになっていた。その内容を知り、松子・竹子・梅子は激怒する。

 やがて佐武と佐智が惨殺され、さらに近辺で復員兵姿の男が目撃されていた。実は松子・竹子・梅子の三姉妹は過去に菊乃に恨みを買う行いをおこなっていたことから、警察は戦地から戻った青沼静馬が犬神家への恨みを晴らそうとしていると推測し、行方を追った。

 松子は「佐清」から衝撃的な告白を受ける。実は自称・佐清の正体は青沼静馬で、偶然で戦地で佐清と知り合っていたが、佐清の所属していた部隊は全滅したという。静馬も大怪我で死にかけたが、犬神家への復讐心で生き残り日本へと戻ってきた。そして犬神家を乗っ取って死んだ母・菊乃の復讐を果たすと言い放つ。

 金田一の調査で、珠世は、戸籍上の関係はないものの、佐兵衛の実の孫であることが判明する。佐兵衛が珠世に自分の財産をそっくり譲ろうとしていたのはそのためだった。

 その後、顔が無残につぶされた死体が見つかり、警察はこれが佐清ではないかと推測するが、指紋から別人と判明する。さらに復員兵姿の男こそが、本物の犬神佐清だと明らかになった。佐清は自分が連続殺人の犯人だと自白するが、金田一は真犯人として松子を告発した。

 本物の佐清は日本に戻ると、自分の偽物が犬神に系ると知りこっそり自称・佐清の青沼静馬と接触していた。同じ頃、松子は息子の「佐清」(実は静馬)に犬神家の財産を継がせるため、邪魔な佐武と佐智を殺害したが、それを静馬と本物の佐清に見られてしまっていた。静馬は松子の犯行が発覚しないように、佐清を手下として扱いながら偽装工作を行っていたのだった。実際の殺人犯とその後始末をする者がそれぞれいたため、事件は複雑なものとなったのだった。

 松子は静馬も殺しており、さらに遺言状の中身を知るため若林を買収しておき、用が済んだ後毒入りのタバコで毒殺していた。

 松子は佐清が証拠隠滅などの罪に問われると知ると、佐清と相思相愛の珠世に、佐清が刑を終えるまで待ってから結婚してほしいと頼んでから、毒入りのタバコで自殺した。


 最後。古舘弁護士は金田一にお別れ前のお茶会を用意していると説明するが、金田一は苦手だと言ってこっそり立ち去ってしまった。さのあと等々力署長、はる、猿蔵たちがやってきて金田一が見当たらないのに不思議がり、古舘が困ってしまうシーンで〆。

感想

 評価は○(面白かった)

 市川崑が自分が30年前に撮った映画を石坂浩二と一緒にリメイクした映画。結構面白かったです。

 長編小説を二時間の映画に入るように圧縮しないといけない事情のため、過剰にテンポが速く追い立てられるような感じもありましたが、少なくともそのおかげで退屈はしませんでした。あと加藤武の演じる等々力署長の「よし、わかった!」が聞けたのには大ウケしましたよ。これが無きゃ金田一映画じゃありません(?)

 それにしても、登場するキャストが物凄くて圧倒されましたよ。もう出るわ出るわで、富司純子(=寺島純子)、松坂慶子萬田久子仲代達矢加藤武大滝秀治岸部一徳草笛光子中村玉緒、等々。あとは脇を支える若手(?)で松嶋菜々子深田恭子とかね。でも、逆になんで三谷幸喜だの林家木久蔵だのが出演してんの?

 あと最後の最後まで古館弁護士が中村敦夫だとは気が付かなかった。良い声しているなぁとは思いましたけど。

 本作はどこかを取り上げて「ここがすごかった」とか言う作品ではなく「まんべんなくそつなく作られた娯楽映画」という印象でした。最後に金田一がお茶会を嫌がってこっそり逃げてしまうオチが何となくよかったです。
 
 

シネマ「犬神家の一族」<レターボックスサイズ>
[BS] 2025年01月06日 午後1:00 ~ 午後3:15 (2時間15分)


【監督】市川崑,【出演】石坂浩二松嶋菜々子尾上菊之助富司純子松坂慶子萬田久子仲代達矢,【原作】横溝正史,【脚本】市川崑日高真也長田紀生,【音楽】谷川賢作,大野雄二


〔製作〕黒井和男
〔プロデューサー〕一瀬隆重
〔企画〕椿宜和、濱名一哉、北川直樹、喜多埜裕明
〔監督・脚本〕市川崑
〔原作〕横溝正史
〔脚本〕日高真也長田紀生
〔撮影〕五十畑幸勇
〔音楽〕谷川賢作、(テーマ曲)大野雄二
〔出演〕石坂浩二松嶋菜々子尾上菊之助富司純子松坂慶子萬田久子仲代達矢 ほか
(2006年・日本)〔日本語/カラー/レターボックス・サイズ〕


金田一耕助 - 石坂浩二
野々宮珠世 - 松嶋菜々子
犬神松子 - 富司純子
犬神竹子 - 松坂慶子
犬神梅子 - 萬田久子
犬神佐清 / 青沼静馬 - 尾上菊之助
犬神佐武 - 葛山信吾
犬神佐智 - 池内万作
犬神小夜子 - 奥菜恵
犬神寅之助 - 岸部一徳
犬神幸吉 - 螢雪次朗
若林久男 - 嶋田豪
猿蔵 - 永澤俊矢
青沼菊乃 - 松本美奈
藤崎(鑑識課員) - 石倉三郎
仙波(刑事) - 尾藤イサオ
那須ホテル主人 - 三谷幸喜
はる(那須ホテル女中) - 深田恭子
岬の子供 - 石田直也
岬の警官 - 木本秀一
犬神家の主治医 - 野村信次
犬神家の女中 - 蓮佛美沙子
赤ん坊 - 星春希
警官A - 清末裕之
警官B - 松田正悟
参謀 - 保木本竜也
柏屋の九平 - 林家木久蔵
柏屋の女房 - 中村玉緒
松子の母・お園 - 三條美紀
琴の師匠 - 草笛光子
大山(神官) - 大滝秀治
等々力(署長) - 加藤武
古館恭三 - 中村敦夫
犬神佐兵衛 - 仲代達矢

 

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