【映画】感想：映画「蜘蛛巣城」(1957年:日本)

NHK BSシネマ　http://www.nhk.or.jp/bscinema/
放送　NHK BS。2024年2月6日(火)

【※以下ネタバレ】
　

三船敏郎主演、巨匠・黒澤明監督がシェークスピアの「マクベス」をもとに、能の様式を取り入れた重厚な演出と、幻想的な映像美で戦国時代の武将の悲劇を描く傑作時代劇。

巨匠・黒澤明監督がシェークスピアの「マクベス」をもとに、能の様式を取り入れた重厚な演出と幻想的な映像美で戦国時代の武将の悲劇を描く傑作。蜘蛛巣城主に仕える鷲津武時と三木義明は謀反を起こした敵を討ち、主君の窮地を救った。勝利を報告するため２人は城に向かうが、迷い込んだ森の中で出会った謎の老婆から奇妙な予言を聞く。それは武時が城主になるというものだった…。武時を演じるのは黒澤監督と名コンビの三船敏郎。

あらすじ

　戦国時代。武将・鷲津武時（三船敏郎）と三木義明は戦場で武功を上げ、主君の待つ「蜘蛛巣城」へと馬を走らせていたが、途中の「蜘蛛手の森」（くもでのもり）の中で迷ってしまう。

　やがて二人はあばら家の中に鎮座する老女と出会うが、老女は二人の事を知っているばかりか、「武時はやがて北の館（きたのたち）の主となり、さらに蜘蛛巣城の城主になる」「義明は一の砦の大将となり、子が武時の次の城主になる」と予言する。二人は老女が物の怪と察し切りかかろうとするが、老女もあばら家も消えてしまった。

　その後、二人は森を脱するが、自分たちが見たのは幻だったと考える。ところが主君は武時と義明の武功を称え、武時は北の館の主、義明は一の砦の大将、にそれぞれ任ぜられるのだった。

　武時は豪華な北の館の主となり満足していたが、武時の妻・浅茅は、主君が予言の話を知れば武時を殺すに違いないので、先手を打って謀反を起こして城主の座を奪い取れとそそのかす。やがて主君が隣国の主・乾（いぬい）を討つために北の館を訪れ、その間の蜘蛛巣城は義明が留守を任されていた。武時はついに意を決して主君を殺したあと、義明の推挙で蜘蛛巣城の新たな城主となった。

　武時は子供がいないため、自分を城主に推挙してくれた義明の恩に報いようと、義明の息子・義照を養子にしようとするが、直後浅茅から妊娠したことを告げられ、決心が鈍り始める。

　そしてある夜、武時と義照の養子縁組の宴が開かれたが、三木親子は姿を現さず、武時はいら立つ。さらに武時は死者の姿の義明の姿が見え始め、錯乱して刀を振り回したため、浅茅は慌てて宴を終わらせる。やがて武時の部下が現れ、義明は殺害したものの息子の義照は取り逃がしたと報告し、怒った武時はその部下を斬り殺す。

　武時は宴での錯乱のあと部下からの支持を失っていき、しかも浅茅の子供は死産だった。兵士たちは蜘蛛巣城からネズミの大群が逃げるところを見たなどと噂し合った。

　やがて武時の領地に、隣国の武将・乾が義照たちを擁して侵攻してきた。武時は部下たちが全く対策を提案できないのにいら立ち、思い立って蜘蛛手の森へと向かい、物の怪を呼び出す。すると再び老女が現れ「蜘蛛手の森が城に近づいてこなければ戦いには負けない」と予言する。武時は森が動くはずがないと大笑いし、これなら勝利したも同然と勇んで森を去る。

　さらに部下たちの士気を高めようと、老女の予言の事を話し、自分は予言通り城主になれたので、この戦いも負けるはずがないという。ところが浅茅は正気を失い、さらに兵たちが森が近づいてきたと言って総崩れとなり、もはや戦える状態ではなくなってしまう。武時が外を見ると、予言通り霧の中を森が城へと近づいてきていた。

　武時は兵士たちを罵倒し戦うように叱咤するが、部下たちは反乱を起こし、武時は無数の矢を受けて死んだ。森が動いたというのは、乾方の兵士が矢を避けるため木を体に括り付けて移動してきていたのだった。

　最後。画面に「蜘蛛巣城跡」という記念碑が映って〆。

感想

　評価は○（結構よかった）

　世界のクロサワの有名作品の一作。結構面白かったです。

　映画マニアではないので、今まで色々黒澤映画を見てきたものの特に感慨を受けるでもなく、という感じでしたが、これはなかなか良かった。1時間51分と常識的な尺ですし、予言に翻弄されるサスペンス展開が「この先どうなる？」という見たさを誘ってくれましたからね……　うん？　つまりそれは黒澤監督がすごいのではなく、原作者のシェークスピアがすごいということなのか？

　クライマックスの武時（三船敏郎）に矢がピュンピュン飛んでくるシーンを見て「すごい迫力だなぁ、どんな特撮でやったのかな」と思って調べたら、マジで本物の矢を射かけていたそうです。黒澤、クレイジーすぎ！！（笑）

　それにしてもこの映画、日本映画なのに、セリフが異様に聞き取りづらくて何を言っているのか殆ど解らなかった（苦笑）　という事で、ほぼフィーリングだけで内容を追ってました……、いや、マジセリフの音がつぶれ過ぎじゃね？
　
　

シネマ「蜘蛛巣城」＜スタンダードサイズ＞
[NHK BS] 2024年02月06日 午後1:00 ~ 午後2:51 (1時間51分)

【製作】
本木荘二郎
【製作・監督・脚本】
黒澤明
【原作】
ウィリアム・シェークスピア
【脚本】
小国英雄、橋本忍、菊島隆三
【撮影】
中井朝一
【音楽】
佐藤勝
【出演】
三船敏郎、山田五十鈴、千秋実、志村喬、佐々木孝丸　ほか

製作国：
日本
製作年：
1957
備考：
日本語／白黒／スタンダード・サイズ

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