【ミステリー】感想:歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(2020年版)『黄金はどこだ!? 山下財宝の謎 ~600兆円伝説の真相~』(2020年8月6日(木)放送)

山下財宝―フィリピン黄金伝説を行く

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇
背筋がザワザワ、心がドキドキ、怖いからこそ…見たくなる!
世界はそんなミステリーに満ちている。
未解決の事件、自然の脅威、不思議な伝説、怪しい歴史など、謎と恐怖の正体に迫ります!

 

黄金はどこだ!? 山下財宝の謎 ~600兆円伝説の真相~ (2020年8月6日(木)放送)

 

内容

黄金はどこだ!? 山下財宝の謎 ~600兆円伝説の真相~
[BSプレミアム]2020年8月6日(木) 午後9:00~午後10:00(60分)


人生を変えろ!夢の発掘現場で一獲千金「山下財宝」。マレーの虎の黄金仏像?大統領の秘密をイメルダ夫人爆弾発言?じっちゃんの遺産・日本兵の宝の地図?黄金伝説の真相?


日本人がフィリピンで受ける驚きの誘い…「ヤマシタ・トレジャーを一緒に掘らないか?」今も無数のチームが発見を目指す山下財宝=旧日本陸軍・山下大将ゆかりの金銀財宝伝説。「マルコス元大統領の資金源」とイメルダ夫人が爆弾発言!宝石満載ゴールデン・ブッダ(黄金仏像)争奪事件!日本兵が残した怪しい宝の地図!都市伝説と片付けるにはリアルすぎる財宝騒動を、現地緊急取材で徹底検証!はたして夢のお宝は実在するのか?


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】太田和宏,八重野充弘,【語り】中田譲治,【司会】青井実

 
 今回のテーマは「山下財宝」


●山下財宝とは

 「山下財宝」とは、フィリピンのルソン島を中心に語り継がれている埋蔵金伝説。フィリピン人たちが信じて探し続けている他、2018年には日本人を含むグループが財宝探しで禁止されている場所で発掘を行い逮捕される事件も起きている。財宝を求めるグループは全国で1200もあると言われる。

 この財宝を隠したとされるのは、旧日本軍の将軍「山下奉文」(やました・ともゆき)。1941年にはマレー半島を進撃して翌年にはシンガポール要塞を攻略し、日本国民からは「マレーの虎」と呼ばれ絶大な人気を誇った。

 山下は1944年10月には第14方面軍司令官としてフィリピンに着任したが、すぐにマッカーサー率いるアメリカ軍の攻撃を受けた。そして1945年1月に首都マニラから北部バギオの山岳地帯に移動し、8月の戦争終結まで持久戦を戦った。この際、山下部隊の兵士たちが地中に何かを埋めていたのをフィリピン人たちが目撃していた。そのため、バギオでは埋蔵金があるというのは常識だった。


 そして1970年、バギオで黄金に輝く仏像「ゴールデンブッダ」がロジャー・ロハスという青年によって発見された。ロジャーは、彼を訪ねてきた元日本兵から地図を見せられ、洞窟の中に山下財宝の一部が隠されていると教えられたという。そして、その言葉通りに発掘してみると、ゴールデンブッダが見つかり、しかも首を外すとその中には宝石類が入っており、さらにそれ以外に金の延べ棒が1トン以上、合計で10兆円以上を発見したとされる。


 その後、フィリピンでは財宝の地図と称するものが続々出現し、今では財宝の推定合計金額は600兆円以上とも言われる。



埋蔵金伝説の始まり

 旧日本軍は太平洋戦争開戦後、1942年5月までに米英領だった国々を次々と征服した。そのため、それらの国に残されていた軍資金やその国の宝などを入手したと噂された。そして1944年10月、山下大将が第14方面軍司令官としてフィリピンに着任したが、翌年1月にバギオに移動し、その際にアジア各国でかき集めた金銀財宝を一緒に輸送したと信じられている。

 日本側の記録によると、山下部隊は、米ドル・ペソ・砂金・貴金属若干などを輸送したとあるが、軍資金は10億円程度で、その他の「アジア各国からかき集めたはずの財宝」は記録されていない。

 ただし「マル福金貨5000~7000枚」を輸送したという記録がある。このマル福金貨とは、旧日本軍が占領地で軍票として使用するために作った純金のコイン。1944年には、フィリピンにはマル福金貨25000枚が有ったとされ、兵士たちがそれを輸送したという話もある。

 1945年9月1日、山下は部下数人と投降したが、財宝どころか食料すら持っていなかった。1946年2月、山下はマニラの軍事法廷で死刑判決を受けたあと、アメリカ軍の憲兵オーブリー・ケンワージー中佐に形見分けとして一枚のマル福金貨を渡したとされる。

 同様に日本軍の兵士から米兵にマル福金貨が渡ったと思われ、これが財宝伝説の元になった可能性がある。



●マルコス大統領と山下財宝

 1992年2月、マルコス元大統領の妻・イメルダ夫人は、夫マルコスが1945年に山下財宝の金塊を発見し、それをアメリカで換金したと主張した。マルコスは1986年に革命で祖国を追われアメリカに亡命した後、不正蓄財を追及されたが、イメルダはそれを否定したのてある。

 このようにフィリピンでは、山下財宝と言えば、マル福金貨ではなく、あくまで「金塊/金の延べ棒」。そしてそのイメージを形作ったのは、1970年のロジャー・ロハスの発見で、それ以前の50年~60年代には山下財宝など話題にもなっていなかった。

 しかし、ロジャーが発掘した品を展示する、彼の息子が経営する店に行くと、ゴールデンブッダも金塊も1971年にマルコスの部下によって持ち去られたという。そのため財宝が本当にあったのかどうか検証しようがない。しかし1992年のイメルダ発言で、山下財宝の実在が裏付けられたとして、フィリピン社会に衝撃を与えた。



●山下財宝が信じられる理由

 2014年には山下財宝のニセの金塊を売りつけようとした詐欺グループが摘発された。また、山下財宝の偽物の地図を売りつけるサギが後を絶たない。

 フィリピンで山下財宝が信じられているのには、日本とフィリピンの歴史が関係している。フィリピンは16世紀以降スペインやアメリカの植民地として搾取されてきた。1941年、太平洋戦争が始まり、日本は半年でフィリピンからアメリカを追い出したため、当初は解放者として歓迎されたが、日本はアメリカ以上にフィリピンを搾取したため、フィリピン人の暮らしはますます酷くなった。さらに、1944年にアメリカ軍と日本軍の戦いが始まると、それに巻き込まれたフィリピン人111万人が犠牲になったとされる。

 当初の、強大なアジアの解放者として日本人を歓迎したこと、その後の過酷な圧政への憎しみ・怒り、それらがないまぜになって、「強大な旧日本軍がアジア各地の宝を略奪してかき集め、それをフィリピンに隠した」という伝説が生まれた、と思われる。


感想

 お題の「山下財宝」は漠然としか知らない話だったので、楽しく視聴できました。

 まあ、お仲間の(?)徳川埋蔵金埋蔵金伝説並みに、全てがぼやーっとした、証言も証拠もてんでアテにならない伝説ですが、ファンタジーとして楽しむ分には面白い話でした。しかしフィリピンでは結構ガチに信じている人が多数いるようで、徳川埋蔵金とは比較にならないくらい犠牲者(?)も多い模様で、見ていてちょっと複雑な気分になる回でした。
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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