【アニメ】感想:エンタメ番組「X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏」『#40 マクロス』(2023年5月2日(火)放送)

超時空要塞マクロス Blu-ray Box Complete Edition (初回限定生産)

BS-TBS|X年後の関係者たち あのムーブメントの舞台裏
https://bs.tbs.co.jp/entertainment/xnenngo/
放送 BS-TBS。2023年5月2日(火)

【※以下ネタバレ】
 

大ヒット企画の“関係者同窓会”を開催!なぜブームになったのか?ヒットとなる過程には何が?その舞台裏に迫る!

 

#40「マクロス」 2023年5月2日(火)放送

内容

遡ること39年。
とあるアニメに登場するヒロイン役の声優が歌う主題歌がオリコンチャートにランクインし 27万枚という異例のヒットを記録しました。
そのアニメとは。。。「超時空要塞マクロス


当時大学生だったスタッフを中心に作られたこの作品は、ロボットアニメの金字塔「機動戦士ガンダム」とは全く異なる様々な仕掛けで、アニメファンの心を鷲掴みに。


この作品から派生した「アイドル声優」や「リアルロボットフィギュア」などは、今日のアキバカルチャーの先駆けとして認知され、40周年を迎えた現在も絶大な人気を誇るアニメシリーズ。シリーズ7作、OVAや劇場版を含めると累計18作が公開されている。
マクロスは何故、今もなおファンの間で語り継がれるまでになったのでしょうか?


マクロスの生みの親とも言える関係者たちが伝説のアニメ誕生秘話を語り尽くします。


ガンダムができなかったことをしたい男

 当時大学生だった河森はスタジオぬえに所属していて、ぬえはガンダムに関わっていた。ガンダムの後、ロボットアニメは沢山作られたがガンダム越えをしたものはなかった。河森はガンダムできなかったことをするロボアニメを作りたいと考えた。

 まず第一の要素は変形。ガンダムは合体は有ったが変形は無かった。

 河森は「人型ではないロボットが登場するアニメ」を企画したが、スポンサーは「人型で無ければだめ」とNG。そこでダミー企画で人型ロボが出る物を提案したら通ってしまい、慌ててその企画に人型でないメカも組み合わせることにしてマクロスとなった。



●可変式ロボ

 登場するメカ・バルキリーは現実にあるような戦闘機がロボットに変形する。河森はマクロスより前におもちゃの「ダイアクロン」の仕事をやっていたので変形を考えるのは慣れていた。当時はガンプラブームで「もう合体変形おもちゃは終わり」といわれていたので、しゃくに触って変形するものを考えた。変形時にパーツの取り外しとかしないようにした。



●若手がメインのチームマクロス

 キャラデザの美樹本は河森とは高校時代からのアニメ好き仲間。板野はアニメ「クラッシャージョウ」で知り合った。河森からマクロスが立ちあがったら来てほしいと言われたが、バルキリーのデザインを見てテレビアニメでこんなものを動かせる訳が無いと思った。しかしレゴで作ったバルキリーの変形可能モデルを見せられて、これは世の中に出たほうが良いと思った。



●波乱の初回放送

 初回放送は、内部スケジュールのトラブルで1・2話同時放送になってしまった。それなのに放送されたのは日曜日の14時からで、時間帯が悪すぎて見た人がほとんどいなかった。

 スタッフも若手ばかりでベテランが全然いなかったが、ベテラン石黒昇とか松崎健一とかが参加したした。



●歌う美少女ヒロイン

 歌うヒロイン・リン・ミンメイ。最初は「のど自慢に参加する」程度の設定だったが、どうせ歌うならアイドルになった方が良い、という風に発展していった。

 戦闘シーンといえば勇ましい曲が流れるのが普通だが、そのパターンを外すため、戦闘シーンにアイドル曲を流した。

 河森は、途中の最終回的話で決戦を行うとき、武器で戦ったら他の作品と一緒なので、文化を持たない敵に歌で停戦に持ち込むという話にしたら面白いと考えた。しかし周りのスタッフに反対されたので、自分でコンテとかすべて担当した。これでそれまでのSFロボット物と差別化出来た。


 ミンメイ人気は爆発し、劇場版の「愛・おぼえていますか」はオリコンチャートで7位まで行った。

 ミンメイ役は既存の歌い手ではなく、オーディションでまだデビュー前の飯島真理を選んだ。顔が知られているとミンメイが歌っても視聴者は現実の歌手を思い浮かべてしまうが、飯島真理は知られていないので視聴者は「ミンメイが歌っている」と素直に受け止めることが出来た。

 ミンメイは劇中で色々な服を着るがこれは今までに無かったこと。美樹本は「キャラがずっと一種類の服しか着ていないのは常識的に変」と思っていたが、提案した時は石黒昇たちから猛反対された(手間がかかるから)。しかし服を色々変えることで魅力的な画を見せることが出来た。


 ミンメイの成功で、以後様々な歌うキャラクターが登場した。


 「マクロス7」では主人公・熱気バサラたちはバンドを組み、戦いながら歌う。ロックなので声優が歌うのは無理なのでバンドは先に用意して、後から声の似た声優をキャスティングした。そしてバンドの名前は当初出さないようにして、声優たちが歌っているように思わせた。


 「マクロスF」では当時ソロアーティストがウケていたので、歌姫がシェリルとランカの二人が登場。ランカのヒット曲「星間飛行」は、業界の超大物・松本隆が作詞を担当したことで話題に。ちなみに松本は「愛・おぼえていますか」を見ていて、一度やってみたかったとのこと。


 「マクロスデルタ」では、アイドルグループブームに合わせ、五人組のアイドルユニットが登場。」



●SF×ラブコメ

 何故SFロボット物に、真反対のラブコメ要素を入れたのか。主人公の輝が弱そうで、周囲からこれでは主人公にならないと言われたので、美樹本が「ラブコメをやるから」と反論して最終的にそうなった。テレビシリーズ放送当時は美沙が大人気で、ミンメイは全然人気が無かった。



板野サーカス

 ラブコメを入れてSF要素を弱めないため、板野を特別にメカだけを描く「メカ作画監督」という役職にした。
 板野といえば、すさまじいミサイルの乱舞、通称「板野サーカス」で有名。板野はミサイルに

「真面目なミサイル」…真面目に飛んでいってかわされる
「バカなミサイル」…ただ爆発する
「天才ミサイル」…相手の先を読む

という風に性格を付けて作画したという。



●アニメ界にもたらしたもの

 マクロスに関わった人たちが他の作品他のジャンルに広がっていった。オタクが好きな物を詰め込んで作った作品が成功して、オタクは日陰から日向に出てきた。


感想

 河森正治美樹本晴彦板野一郎、という「マクロス語るのにこれ以上の人選ないよな」という人たちを集めての裏話集。マクロス自体はそんなに思い入れはないですが、結構面白かった。

 しかし関係者全員60代……、もうみんなお爺ちゃんです。初代マクロスからそれだけ時間が経ったんですねぇ(遠い目)
 
 

#40「マクロス
2023年5月2日(火)放送


MC:カズレーザーメイプル超合金
<立会人>
渡辺隆史(元アニメージュ/ニュータイプ編集長)
<関係者>
河森正治(原作・メカデザイン・監督)
美樹本晴彦(キャラクターデザイン・作画監督)
板野一郎(メカ作画監督)
佐々木史朗(マクロスⅡ以降の作品の音楽プロデユーサー)

 
asin:B0C4KZLR84:image:large