【映画】感想:映画「チャップリンの独裁者」(1940年:アメリカ)

独裁者 (2枚組) [DVD]

プレミアムシネマ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/QPN1RW1PYW/
放送 NHK BS。2025年12月17日(水)

【※以下ネタバレ】
 

喜劇王チャップリンが、独裁者とユダヤ人理髪師の二役を演じ、当時台頭していたヒトラーナチスを痛烈に批判した傑作コメディー。チャップリン初の本格的トーキー映画。


喜劇王チャップリンが、当時台頭していたヒトラーナチスを痛烈に批判した傑作コメディー。トメニア国の独裁者ヒンケルと、戦争で負傷し記憶を失ったユダヤ人の理髪師は、うり二つだった。ひょんなことからその独裁者と入れ替わってしまい、ユダヤ人の理髪師が独裁者になることに…。チャップリンは理髪師と独裁者の二役を演じ、初めて本格的にトーキーに挑戦、クライマックスの大演説シーンが、あまりにも有名な映画史上の名作。

 

あらすじ

 1918年。第一次世界大戦中。トメニア陸軍の兵士(ユダヤ人理髪師)(チャップリン)は、戦場で負傷した士官と出会い、重要書類を味方に届けるため二人で飛行機で飛び立った。しかし飛行機は燃料切れで墜落し、士官は駆けつけてきた味方に戦争は負けたと知らされ嘆く。

 理髪師は墜落のショックで記憶喪失となり、病院に長い間入院していたが回復しないままだった。その間にトメニアはヒンケル総統(チャップリンの二役)が支配する独裁国家となり、国民の不満をそらすため「突撃隊」によるユダヤ人差別が公然と行われていた。


 病院を抜け出した理髪師はゲットー(ユダヤ人街)の自分の店に帰ってくるが、入院した後に長い年月が経っていることを理解しておらず、突撃隊員と小競り合いになって目を付けられる。そんななかユダヤ人女性ハンナと知り合う。

 ある日理髪師は突撃隊員によって往来でつるし首にされかけるが、そこに理髪師が終戦間際に助けたあの士官が現れた。士官シュルツは今では突撃隊の司令官に出世しており、シュルツは恩返しのため、部下たちに理髪師たちが暮らす一角には手を出さないように命じる。

 ヒンケル総統は隣国オストリッチ侵攻の資金を調達するため、ユダヤ人の富豪から融資を受けることを考え、ユダヤ人に対する迫害を一時停止させた。ゲットーのユダヤ人たちは迫害が止んだことに驚きつつ喜ぶ。しかしヒンケル総統は融資を断られたことに激怒し、シュルツにゲットー襲撃を命じ、シュルツが人道的な立場から反対すると彼を罷免した。そしてラジオでユダヤ人迫害の演説を行いまた突撃隊による嫌がらせが再開された。

 やがてシュルツが理髪師たちのもとに逃げ込み、ユダヤ人たちはシュルツ発案のヒンケル暗殺を考えるが実行には至らない。直後、突撃隊がゲットーを捜索し、シュルツと理髪師は捕まって強制収容所送りとなった。ハンナたちは知人を頼って隣国オストリッチへと逃亡した。


 トメニアはオストリッチ侵攻の準備が整い、満を持して攻め込もうとするが、その直前に友好関係にあるバクテリア国がオストリッチに攻め込んだため中止を余儀なくされる。ヒンケル総統はバクテリアの独裁者ナポロニを国賓として招き、激しい応酬の末、なんとかバクテリアを撤退させる。そして直後、約束を無視してオストリッチに侵攻し簡単に征服してしまった。

 そのころ、理髪師とシュルツはトメニア軍士官の軍服を奪い、強制収容所から逃げ出していた。二人を捜索していた兵士は理髪師と間違えてヒンケル総統を捕まえてしまい、逆に理髪師はヒンケル総統として扱われることになった。

 理髪師とシュルツはトメニアが征服したばかりのオストリッチへ連れていかれ、征服記念式典に参加させられる。まずガービッチ内相はラジオ中継している演説で自由主義をこきおろしたあと、「ヒンケル総統」に演説を引き継ぐ。理髪師はヒンケル総統として即興で演説を行い、独裁政治を批判し自由の尊さを訴える。さらにハンナに向けて希望を持つように語りかけた。ラジオでそれを聞いていたハンナが希望を取り戻し空を見上げるシーンで〆。


感想

 評価は○(コメディーではない)。

 チャップリンヒトラーの真似をすることで超有名な映画。まぁありか無しかでいえばありですが、これは「コメディー」ではないですよね……


 1940年、つまり第二次世界大戦が開始された後につくられた映画ということで、ヒトラーたちを徹底的におちょくっていて

ヒンケル総統 → ヒトラー
・へリング元帥 → ゲーリング元帥
・ナポロニ → イタリアの独裁者のムッソリーニ

 と一目でわかるようになっています。


 そのうえで
ヒンケルが部下のガービッチ内相に頼り切り。ナポロニには貫禄負けしていて小物くさい
・へリング元帥が太ってえらそうなだけの無能デブ

 とかのDISりに余念がありません。


 特にトメニアにナポロニを招いて交渉するあたりでは
 ・ナポロニの載った列車が駅で停車位置が決まらず右往左往する
  とか

 ・互いに右手を差し上げるポーズと握手がすれちがうコント
  とか

 ・ヒンケルがナポロニから「ヒンキー」と呼ばれて軽く見られまくる
  とか

 とか、ヒトラーもといヒンケルがバカに見えるようにいじりまくっています。


 し・か・し……、基本史実準拠なので、面白おかしい場面はあっても「突撃隊員がユダヤ人街で乱暴しまくったり、放火したり、理髪師の首に縄をつけて絞首刑にしようとする」という場面が切れ目なく出てくるので、笑えません…… これはコメディーの皮をかぶった「反ナチスドイツ用プロパガンダ映画」でしたよ……


 いや、まぁ、チャップリンはまさにそういう目的で作ったと思うのでそこをどうこう言う気はないのですが、だったらこれを「傑作コメディー」という扱いで宣伝しないで欲しい…… 正直、二時間の間どんな気持ちで見ればいいのかわからず心が揺れっぱなしでした…… 正直に「戦意高揚のための反ナチ映画」と紹介してほしかったよ……、でした。
 
 

シネマ「チャップリンの独裁者」<字幕スーパー><スタンダードサイズ>
[BS] 2025年12月17日 午後1:00 ~ 午後3:06 (2時間6分)


(原題:THE GREAT DICTATOR)
〔製作・監督・脚本〕チャールズ・チャップリン
〔撮影〕カール・ストラス、ローランド・トザロー
〔音楽〕メレディス・ウィルソン
〔出演〕チャールズ・チャップリンポーレット・ゴダード、ジャック・オーキー ほか
(1940年・アメリカ)〔英語/字幕スーパー/白黒/スタンダード・サイズ〕

 

2025年視聴映画のあらすじ・感想の一覧は以下のページでどうぞ

perry-r.hatenablog.com
 
 
独裁者 The Great Dictator [Blu-ray]
独裁者 (字幕版)
独裁者 [DVD]
独裁者 The Great Dictator [Blu-ray]
DVD>独裁者 - THE GREAT DICTATOR - ()