【経済】感想:NHK番組(新番組)「シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~」第1回「時が富を生む魔術~利子の誕生~」

欲望の資本主義

シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~ http://www4.nhk.or.jp/P4384/
放送 NHK Eテレ。全6回。22:30~23:00。

【※以下ネタバレ】
 

時代の欲望が生む資本主義のルール、それはどこで書き換えられた?「ルール」が変わる時をつかみ出し世界の知性とともに考える。大反響「欲望の資本主義」からスピンオフ。

 

※他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~」内容・感想まとめ

 

第1回 時が富を生む魔術~利子の誕生~ (2018年1月5日(金)放送)

 

内容

シリーズ 欲望の経済史[新]~ルールが変わる時~1▽時が富を生む魔術~利子の誕生~


今、揺れる世界経済。資本主義の歴史とは、際限のない欲望のドラマだ。壮大な経済史を、欲望という視点から捉える異色のドキュメント。なぜ世界同時不況は起きるのか?なぜバブルは繰り返すか?どこに「ルールが変わる」ポイントがあったのか?6つのポイントに立ち返る旅に出る。「資本主義の終えん」も叫ばれる今だからこそ考える、知の冒険シリーズ。第一回は利子の誕生に着目する。時が富を生む魔術はいかにして成立したのか?

【出演】コロンビア大学教授、ノーベル賞受賞…ジョセフ・スティグリッツ,イタリア・フィレンツェ大学経済学部准教授…アンジェラ・オルランディ,ドイツ・経済ジャーナリスト…ウルリケ・ヘルマン,イタリア・ストロッツィ美術館キュレーター…ルドビカ・セグレボンディ,【語り】首藤奈知子

 
 利子は遥か過去から存在した。4000年前のメソポタミア文明にも利子が有ったことが記録されている。金持ちは担保を取って農民に金を貸し、返済できなければ土地を取り上げた。差し押さえを怖れた農民は逃亡してしまい、土地は放棄されたので、社会の崩壊を恐れた歴代の王たちは何度も債務の帳消しを行った。

 キリスト教など大抵の宗教は利子を禁じていた(例外はユダヤ教で「仲間からの利子はダメだが、異邦人からなら利子を取っても良い」としていた)。しかし表向きは利子は禁止されていても、裏では金持ちはこっそり利子を取っていた。


 14世紀イタリアのメディチ家の二代目当主コジモ・デ・メディチは、為替相場を利用して実質的に利子を取る方法を思いついた。

為替相場
フィレンツェ 1フィオリーニ:100ペンス
ロンドン 1フィオリーニ:80ペンス
として、

1)フィレンツェで10000ペンス(100フィオリーニ)を貸す
2)ロンドンで10000ペンス返してもらう。利子は取らない。それをフィオリーニに両替すると、為替相場の違いでロンドンでは10000ペンスは125フィオリーニになる。25フィオリーニ利子を取ったことと同じ。

 メディチ家はこれで大儲け。しかしコジモはもうけ過ぎると天国に行けないと思ったので、協会に寄付したり芸術家のパトロンになったりした。これがルネサンスの原動力となった。


 16世紀宗教改革でカルバン派は利子を認めた。今までも裏で利子は取られていたので、それをルールとして明文化し高利はダメだが5パーセントまでならOKとした。やがてカトリックも18世紀に利子を認めた。


 利子は資本主義を回していく上では必要不可欠な物となった。

感想

 何故かNHKは今年は経済で攻めていくことに決めたようで、年初から経済番組を連発していますが、その一つがこれ。全6回シリーズで利子とか基本的なところから始まって、最終的には金融工学まで行くようです。

 経済を歴史の観点で見ていくシリーズのようで、今回も結構面白かったから今後も楽しみです。
 
 

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/91726/1726001/index.html
番組内容
今、経済に注がれる眼差しが熱い。英EU離脱、トランプ現象、揺れる世界経済…。資本主義の歴史とは、際限のない欲望のドラマだ。千年近くの壮大な経済史を、欲望という視点から捉える、異色のドキュメント。
なぜ、世界同時不況は起きるのか?なぜ、バブルは繰り返すのか…?


総合、BS1で反響を生んだ「欲望の資本主義」。その問題意識を発展させ、どこに「ルールが変わる」ポイントがあったのか?6つのポイントに立ち返る旅に出る。「資本主義の終焉」も叫ばれる今だからこそ考える、知の冒険シリーズ。資本主義の流れを読み解く異色の欲望の考現学。資本主義のルールを書き換える場となった世界のポイント、世界経済のフロントランナー、経済史の専門家などに取材、エピソードをまじえ構成する。


・1月 5日 第1回 時が富を生む魔術~利子の誕生
・1月12日 第2回 空間をめぐる攻防~グローバル化と国家~
・1月19日 第3回 勤勉という美徳~宗教改革の行方~
・1月26日 第4回 技術が人を動かす~産業革命からフォーディズムへ~
・2月 2日 第5回 大衆の夢のあとさき~繰り返すバブル~
・2月 9日 最終回 欲望が欲望を生む~金融工学の果てに~


【出演】ジョセフ・スティグリッツコロンビア大学 教授),アンジェラ・オルランディ(フィレンツェ大学 経済学部 准教授),ウルリケ・ヘルマン(経済ジャーナリスト),トーマス・セドラチェク(チェコ総合銀行 アナリスト),ファウスト・スバッフォーニ(サン マルコ修道院 神父),ルドビカ・セブレゴンディ(パラッツォ ストロッツィ美術館 キュレーター美術史家),フランスワ・デルマンジュ(ジュネーブ大学 神学部 教授),ロバート・スキデルスキー( ウォーリック大学 名誉教授),ザンジーブ・メフタ(イギリス東インド会社 会長),ロバート・ブライス(国立海洋博物館 学芸員),ケビン・オウローク(オックスフォード大学 歴史学部教授),ルーベン・シャルケユトレヒト大学 研究員),ジェイムス・モリソン(ロンドン スクール オブ エコノミクス 国際関係学科 准教授),バリー・アイケングリーン(カリフォルニア大学 経済学部 教授 元IMF 上級政策アドバイザー),ダニエル・コーエン(パリ経済学院 経済学 教授)ほか



番組スタッフから

【この番組を企画したきっかけは?】
大きな反響をいただいた、総合、BS1の「欲望の資本主義」から、さらに問題意識を絞りスピンオフさせたシリーズです。
そもそも「時が富を生む」という「魔術」としての「利子」は、どこでどんな時代の欲望から生まれたのか?様々な欲望の形が生まれるポイントをつかみ出し、現在との間を行き来します。


【番組の見どころは?】
歴史は繰り返す、一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。あのカール・マルクスの言葉ですが、ここにすべては集約されます。
様々な世界の知性、専門家たちが、「欲望の歴史」を紐解き、その本質の読み解き方を語ってくれます。


【見てくださる方に一言】
歴史とは、「現在と過去との絶えざる対話」(E・H・カー)です。
どうぞ、2018年の今から振り返るからこその「ルールが変わる時」を味わい、歴史の遠近法を捉え直してみていただければ幸いです。
ご一緒に、知の冒険に出かけましょう。

(番組プロデューサー 丸山俊一)

 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~」内容・感想まとめ

perry-r.hatenablog.com
 
経済史の理論 (講談社学術文庫)
経済史入門―経済学入門シリーズ (日経文庫)