【経済】感想:NHK番組(新番組)「シリーズ 欲望の経済史 ~日本戦後編~」第1回「焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s」

欲望の資本主義

シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~ http://www4.nhk.or.jp/P4384/
放送 NHK Eテレ。22:30~23:00。全6回。

【※以下ネタバレ】
 

第1回 焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s (2018年2月16日(金)放送)

 

あらすじ

2月16日金曜
シリーズ 欲望の経済史~日本戦後編~1▽焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s


焼け跡から立ち上がり復興に向けてひた走り短期間で豊かさを実現したとされる日本の戦後、そして50年代。財閥解体、農地改革、傾斜生産方式、ハイパーインフレ、ドッジライン、東京タワーしゅん工…さまざまなトピックスがあったがその背後にあった物語とは?戦後経済のあり方には実は「戦時体制」が大きく影響していたと野口は言う。野口の指摘をきっかけにさまざまな角度から戦後まもなく走り出した日本経済の光と影を再考する


【ゲスト】早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問…野口悠紀雄,慶應義塾大学 教授…坂井豊貴,【語り】首藤奈知子,【朗読】園部啓一

 
 
 経済の専門家の野口悠紀雄・坂井豊貴両氏の対談の形で、戦後経済を分析していく番組。


 野口は「戦前/戦後」と分けるのではなく、「戦前/戦時期~戦後」と分けて考えるべきで、切れ目は戦争が終わった1945年ではなく、1940年だとする。

 日本は太平洋戦争で敗北した後、経済を立て直すため「傾斜生産方式」を取った。それは石炭と鉄鋼に重点的に資金を投入する方式。その際に、政府が石炭会社から高く石炭を買い、安く鉄鋼会社に売る。その差額を埋めるのが「価格差補給金」。この仕組みは戦後出来たわけではなく、既に戦時期に存在した。

 傾斜生産方式で経済は復興したが、膨大な補助金を投入したことで、通貨供給が過剰になり、1945~49年までに物価が70倍になるハイパーインフレが発生した。最大年率500パーセントの価格上昇。ただ、給料の方もそれなりに上昇したので、インフレで一番ダメージを受けたのは資産家層だった。財閥解体や農地改革によって、戦前の金持ちは戦後没落した。

 GHQはインフレを退治するため、アメリカの銀行家ドッジを呼び、ドッジが行ったのが「ドッジ・ライン」という政策である。しかし野口は、ドッジの後ろに大蔵省、なかでも宮澤喜一がいたと見ている。

 ドッジ・ラインでインフレは終息したが、今度はデフレが発生し、失業者があふれかえった。しかし1950年の朝鮮戦争により特需が発生し、日本の産業は生き返り、1955年には戦後を上回った。
 
 

感想

 今までは「資本主義とは何か」「資本主義誕生の歴史」といった大きなテーマで六週間放送していましたが、今週から日本の経済編がスタート。なんとなくもの凄く生臭いネタが出てくるような気がしてなりません。特に80年代頃のパブル経済を扱う辺りの回で。
 
 

他の回の内容・感想は以下のリンクからどうぞ

「シリーズ 欲望の経済史~日本戦後編~」内容・感想まとめ

perry-r.hatenablog.com
 
  

NHKドキュメンタリー - シリーズ 欲望の経済史~日本戦後編~1▽焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s
https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/91726/1726007/index.html
 
番組スタッフから
 
【この番組を企画したきっかけは?】
大きな反響をいただいた、総合、BS1の「欲望の資本主義」から、さらに問題意識を絞りスピンオフさせたシリーズ「欲望の経済史」で、利子の誕生から西欧での資本主義のルール転換を、俯瞰で全6回考えたわけですが
、今度は「日本戦後編」です。


焼け跡からの出発、「奇跡の高度成長」を経て、オイルショックも克服、「世界に冠たる経済大国」となるが、ほどなくバブルははじけ、「失われた一〇年」とも二〇年とも言われる時を過ごし、そして今…。ひとまずステレオタイプで語られるひとつの戦後のストーリーですが、そこに、もう少し異なる語り方、見方の可能性もあるのではないでしょうか?平成も間もなく終わろうとする今だからこそ見えてくる風景、光が影を生み、影から光が見出だされる、そんなドラマがあり得るのでは?手放しで「高度成長」は良かったのか?「バブル」は悪いことだったのか…?


「欲望の経済史 日本戦後編」は基本となる戦後経済史を踏まえつつも、そこに少し異なる見方の可能性、様々な角度から光をあてることによる新たな読み解きの可能性を孕んだ試みです。



【番組の見どころは?】
元大蔵官僚にして常に経済に新たな視点を提示してきた希代の経済学者・野口悠紀雄さんに、社会的選択理論、マーケットデザインなどで新風を吹き込む気鋭の経済理論家・坂井豊貴さんが挑みます。この父子ほどに世代を異にする異色のエコノミスト同士による「親子対談」から生まれる複眼的な視点から様々な示唆が生まれます。どうかあらためてこの70年あまりのこの国の豊かさを目指した歩みに、新鮮な眼差しを。
西欧の歴史の先達の言葉を引かずとも、「歴史とは現在と過去との絶えざる対話」(E・H。カー)です。常に更新され、過去の事実が新たな意味を生み出す。時代ととともに変わる位相を、歴史の中に見出そうという試みは、決して無駄ではないはずです。



【見てくださる方に一言】
今を、これからを考えるため、ルールが変わる時をえぐりだそうとする「欲望の資本主義」。その試みから生まれたシリーズ、日本の戦後経済の歩みをたどる旅です。
どうぞ、皆さんそれぞれの経済史を描き出す、ひとつの導としてご覧ください。
(番組プロデューサー 丸山俊一)



番組内容
シリーズ 欲望の経済史~日本戦後編~1▽焼け跡に残った戦時体制 終戦~50s

焼け跡から立ち上がり復興に向けてひた走り短期間で豊かさを実現したとされる日本の戦後、そして50年代。財閥解体、農地改革、傾斜生産方式、ハイパーインフレ、ドッジライン、東京タワーしゅん工…さまざまなトピックスがあったがその背後にあった物語とは?戦後経済のあり方には実は「戦時体制」が大きく影響していたと野口は言う。野口の指摘をきっかけにさまざまな角度から戦後まもなく走り出した日本経済の光と影を再考する


【ゲスト】早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問…野口悠紀雄慶應義塾大学 教授…坂井豊貴,【語り】首藤奈知子,【朗読】園部啓一

 
戦後日本経済史 (新潮選書)