シリーズ 欲望の経済史~ルールが変わる時~ http://www4.nhk.or.jp/P4384/
放送 NHK Eテレ。全6回。22:30~23:00。
【※以下ネタバレ】
第2回 空間をめぐる攻防 ~グローバリズムと国家~ (2018年1月12日(金)放送)
内容
第2回「空間をめぐる攻防」
差異があれば、そこに価値が生まれ商品となる。空間をめぐる攻防、重商主義はいかにして生まれたのか?その基礎には近代国家の枠組みがあり、それを支える感情は愛国心、ナショナリズムだったのか?誕生のドラマを見る。貿易という商品の交換の過程で育まれていった新たな関係性とは?経済の論理と政治の論理の相克が始まる。グローバリズムの大波は何を変えていったのか?大航海時代に展開した資本主義のダイナミズムを考える。
【出演】オックスフォード大学歴史学部教授…ケビン・オウローク,イギリス東インド会社会長…ザンジーブ・メフタ,イギリス・ウォーリック大学名誉教授…ロバート・スキデルスキー,【語り】首藤奈知子
グローバル貿易の歴史。
1600年。イギリスで半官半民の貿易会社「イギリス東インド会社」が誕生した。イギリス東インド会社は最盛期にはインド・中国・オーストラリア・アフリカ・アメリカと世界の七つの海の全てで貿易を行った。いま世界で英語が話されるのは東インド会社の影響と言える。
貿易とは、ある場所で買ったものが、別の場所では希少性があることを利用して儲けること。
イギリスは資源が無いので、輸入したものに付加価値をつけて再輸出し、その差額で儲ける、という方針となった。この貿易黒字至上主義を「重商主義」という。
重商主義は富を蓄積することの他に、もう一つ軍事力の強化が目的だった。軍事力を強化すれば貿易を独占することが可能になり、独占すれば富が蓄積され、それで軍事力が強化できる。軍事力を強化すれば……、という具合に富の蓄積と軍事力強化はぐるぐる回る関係だった。
1602年。オランダで「オランダ東インド会社」が設立された。この会社は株を発行しており、株の購入者には配当を支払う、というシステムが既に存在した。それ以前は航海一回ごとに金持ちから資金を募る必要があったが、株式という形にしてリスクを分散することで、普通の市民からでも資金を集められるようになった。
しかし、貿易商同士の競争は、国家も巻き込んだ争いに発展することもあった。
重商主義は今でも形を変えて生きている。トランプ政権の姿勢やイギリスのEU離脱がそれである。第二次大戦前に各国は保護貿易に走り国家間で協力できなくなった事が戦争を起こした。アメリカと中国は北朝鮮問題で協力すべきだが、貿易問題で争って対立するようなことになるとマズイ。