感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン4」第8話「ツングースカ Part1」

X-ファイル シーズン4 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

 ドラマ「X-ファイル シーズン4」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン4
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s4/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。

第8話 ツングースカ Part1  TUNGUSKA


■あらすじ

EP8 ツングースカ Part1
ホノルル空港の税関で、ロシアから到着した男の手荷物を調べていた検査官が何らかの菌に感染して死亡した。その出所を突き止めるため、モルダーはロシアのツングースカへ。

 お題は「地球外生物、政府の陰謀」。


 モルダーたちは謎の密告者からテロ組織についての情報を得て、一味を一網打尽にするが、密告者はなんとクライチェックだった。クライチェックは(シーズン3・16話「アポクリファ」で)ノースダコタの基地に閉じ込められていたところをテロ組織に救助されていた。以後クライチェックは組織に参加していたが、愛国者なのでテロが許せず密告した、という。さらにクライチェックは、スモーキング・マンたちに殺されかけた恨みが有り、組織に復讐するため協力すると言い出した。モルダーたちは信用はしないものの、とりあえず身柄をかくまうことにした。


 モルダーたちはクライチェックから、国外から何かが外交郵袋(がいこうゆうたい)で持ち込まれるという情報を聞き調べるが、郵袋の中身はただの石だった。それでも石をNASAで確認したところ、40億年前に火星から地球にやって来た隕石らしいと判明する。科学者が石を調べていると、内部には黒いオイルの様な生物が隠れており、科学者は取り付かれて生死不明の状態に陥ってしまう。


 一方モルダーは、マリタ・コバルービアスの協力でニセのパスポートを手に入れ、クライチェックと共に、隕石の出所のロシア・ツングースカに向かった。ツングースカは、1908年に宇宙から「何か」が落ちてきて大爆発が発生したが、未だにその落下物の正体は謎だった。モルダーたちはツングースカで囚人(?)たちが地面から何かを掘り出している場面に出くわすが、看守たちに捕まり、モルダーは実験台として黒い生物を浴びせられてしまう。続く。



監督 : キム・マナーズ
脚本 : フランク・スポトニッツ&クリス・カーター



■感想

 定番の「地球外生物+政府の陰謀」エピソードで、いつものように堅実な作りで楽しめた。クライチェックは、シーズン3・16話「アポクリファ」のラストでミサイル基地でUFOと共に閉じ込められ、視聴者から餓死必至と思われていたのに、冒頭であっさり復活してしまっているのは苦笑物。


 今回のエピソードのキーとなるのが、アメーバー状の真っ黒な未知生物。どうやら隕石の中で眠っていて、石から取り出されると活性化する、という存在らしい。実はシーズン3・15話「海底」&16話「アポクリファ」で似たような異星生物が登場しており、「外見」「はいずった跡がオイルの様に見える」「人間の体内に侵入する」など共通点が多い。しかし、その反面、シーズン3の生物は、自前のUFOを持ち、取り付いた人間を意のままに操り、必要に応じて放射線を発する、など、明らかに高等生物だったのに対し、今回登場したものは「ウイルス」「寄生虫」程度の存在にしか見えないので、他人の空似(?)という設定だろうか。


 隕石の欠片がアメリカに持ち込まれる際に使われた「外交ユウタイ」とは何のことかと首をひねっていたが、「外交郵袋」と書き、外交上の機密文書を運ぶときに使われるものだった。当然外交上の特権により、勝手に調べて中身を改めたりしてはいけない。劇中ではモルダーたちがFBI捜査官として調べようとしているが、本当にこんなことをしたら国際レベルの大問題であろう。


 モルダーは3話「メラニン」では、仕事帰りのマリタ・コバルービアスを待ち伏せするという不審者まがいの行為に及んでいたが、今回はさらにエスカレートし、スカリーにデータベースで住所を調べさせ、夜中に彼女の部屋に押しかけるのである。警察に通報されてもおかしくない行為だが、ちゃんと自室に入れてくれて、しかも偽パスポートまで手配してくれるコバルービアスは心が広い。


 今回は久々にウェル・マニキュアード・マンが登場するが、農場で休暇中ということで彼の孫らしき女性が乗馬しているシーンが描写される。秘密組織の人間たちは基本的に人間らしさという物が皆無なので、家族の描写というのは珍しくて、妙に印象的だった。


 最後、モルダーとクライチェックは捕まってしまうわけだが、「ロシア→シベリア→収容所」という設定は、物凄く発想が貧困な気がする。


 冒頭で議会の聴聞会でスカリーが宣誓するシーンが有るが、スカリーにはミドルネームが有ったことが明らかになる。フルネームは『ダナ・キャサリン・スカリー』である。


■一言メモ

 モルダーが語った、1908年のツングースカ上空の大爆発は、劇中設定では無く実話である。