感想:海外ドラマ「X-ファイル シーズン3」第1話「祈り」

X-ファイル シーズン3 (SEASONSコンパクト・ボックス) [DVD]

 ドラマ「X-ファイル シーズン3」(全24話)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてあります。ネタバレにご注意ください)

■ディーライフ/Dlife X-ファイル シーズン3
http://www.dlife.jp/lineup/drama/xfile_s3/

 BSデジタル放送「Dlife」での視聴です。
 

■作品概要

すべてのシリーズにつながるエピソードがもっとも充実していたとされるシーズン3。モルダーの父が政府の陰謀に関与していたこと、同じく母がスモーキング・マンと知りあいだったことが明かされ、その一方で各エピソードには、ブラックユーモア系、叙情系、コメディ系とバラエティに富み、しかもそのひとつひとつがモルダー&スカリーのキャラクターを活かしたものとなっており、今でもシリーズファンに不動の人気を誇っている。

 

■キャスト

【フォックス・モルダー捜査官】デイビッド・ドゥカブニー/小杉十郎太
【ダナ・スカリー捜査官】ジリアン・アンダーソン/相沢恵子
 

第1話 祈り THE BLESSING WAY

 

■あらすじ

EP1 祈り
瀕死のモルダー捜査官は、ナバホ族の人々に助けられ、彼らの祈りの儀式でようやく意識を取り戻す。その一方で、モルダー捜査官を狙った暗殺者は、スカリー捜査官も狙う。

 お題は「地球外生命体、政府の陰謀」。


 スカリーはモルダーが死んだと思い、一人でFBI本部に戻るが、命令違反等で一時的な停職を命じられる。さらにスカリーの前に、秘密組織の幹部「ウェル・マニキュアード・マン」(※意味は「身だしなみの良い男」)が現われ、命を狙われているので気をつけろと警告してくる。彼はスカリーを殺せば余計騒ぎが大きくなると考えているので、死んで欲しくないという。スカリーの首にはマイクロチップが埋まっていたが、本人にはいつ埋められたのか見当がつかなかった。またスカリーがモルダーの席を調べると、彼が隠していた「MJ」のデータテープは消えていた。

 一方、貨車で爆死したはずのモルダーは、(何故か)荒野に瀕死の状態で埋まっており、そこをナバホ族の人たちによって助け出される。モルダーの魂は、冥界(?)で、死んだディープ・スロート父親ウィリアム(ビル)に出あい、生き返って真実を追究しろと言われる。そしてモルダーはナバホ族の秘儀によって蘇生すると、ワシントンD.C.に戻り、父親の過去を追及しようとする。ビルが国務省時代の同僚と1972年に撮影した写真には、ディープ・スロートやウェル・マニキュアード・マンが写っていた。

 スカリーの姉メリッサは、スカリーと間違われクライチェックたちに殺された。一方スカリーの前にスキナーが現われ話があると言うので、二人はモルダーのアパートに向かう。二人が互いに疑心暗鬼で銃を向け合っているところに、誰かがドアを叩く。次回に続く。



監督 : R.W.グッドウィン
脚本 : クリス・カーター


■感想

 シーズン2最終回・25話「アナサジ」から引き続いての「異星人関係の政府の陰謀」エピソード。モルダーとスカリーの二人が別々に行動する複雑な展開となっている。


 スカリー側のストーリーは見所たっぷりで、金属探知機で首に埋まっていた謎のチップを発見するくだり、秘密組織の幹部ウェル・マニキュアード・マンとの出会い、隠していたMJのデータテープが忽然と消えうせていた衝撃、最後にスキナーとの銃の突きつけあい、と、息つく間もなく緊迫したストーリーが展開され、非常に面白い。


 しかし逆に、モルダー側のストーリーは「酷い」としか言いようがない。前回「アナサジ」でモルダーは埋められた貨車の中から忽然と姿を消し、さらにその貨車はスモーキング・マンたちによって爆破されてしまった。視聴者としては、モルダーの貨車からの脱出劇の真相を知りたかった訳だが、その説明は一切無く、「何故かは不明だが、とにかくモルダーは貨車から脱出していた」という、つじつまの合わない展開のまま押し通してしまった。これでは真面目にモルダーの生死を危惧していた視聴者を愚弄しているとしか言いようがない。


 また、死に瀕したモルダーがこの世とあの世の境目で、死んだ父親ディープ・スロートと再会する場面の描写も、妙にイメージが浮ついていて、神秘的なシーンというより茶番の様に感じられた。シーズン2の第8話「昇天 Part3」では、スカリーの臨死体験が描かれたが、そちらでは手を変え品を変え、幻想的な雰囲気を作り出していたのは対照的だった。


 終盤、蘇生してワシントンに戻ってきたモルダーが、父親の遺品の写真に、少し若いディープ・スロートやウェル・マニキュアード・マンを見つけるのだが、あの若い登場人物の写真はどうやって作ったのだろうか。


■一言メモ

 サブタイトル「THE BLESSING WAY」とは、ナバホ族の人々がモルダーを蘇らせるために行なった儀式の事。