NHK番組「哲子の部屋」の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)
■哲子の部屋 - NHK
http://www4.nhk.or.jp/P3233/
NHK Eテレでの視聴です(放送:毎週木曜 23:15〜23:45)。
■番組概要
>過去3年間、年に一度の放送のたびに話題を呼んだ異色の哲学トークエンタメ『哲子の部屋』が再び!今回は、第31回ATP賞優秀賞(情報・バラエティ部門)に輝いた昨年放送回と新作2回を合わせ、一挙<4週連続>でお届けする。
哲学者がゲスト二人に哲学を噛み砕いて説明する番組。2012年から年1,2回のペースで放送されています。(※過去の放送の感想は末尾参照)。
情報過多社会をどう生きるか? 第1回 どうしたら“恋”できるの?
■内容
「どうしたら“恋”できるの?」
>今週・来週の『哲子の部屋』は新作をオンエア!テーマは「情報過多社会をどう生きるか?」。モノや情報にあふれ、流行(はや)り廃りの激しい現代社会を豊かに生きるための哲学をお届けする。
>今回のテーマは「どうすれば“恋”できるの?」。“現代哲学の巨人”ドゥルーズが唱えた「これ性」という謎の概念を通して、何かに恋できなくなった現代人がもう一度“恋”するための「出会いの哲学」を、気鋭の哲学者・千葉雅也が語る。
現代人は恋をしていない人が増えている。いわゆる草食系とか絶食系とか言われる人が増えていると思える。「恋するための出会いが減っている」とも言い換えられる。出会いを先延ばしにしている。ここで恋とは、恋愛だけでなく、何かに熱中すること、とする。情報が簡単に沢山手に入る時代なのに、何故出会いは減っているのか、という事を論じる。
今週のロゴスは「この世界には“出来事”しかない」。
哲学者ジル・ドゥルーズは「この世界には“出来事”しかない」と主張した。また「ピラミッドも出来事だ」といった。ドゥールズは「出来事」は「これ性(せい)」と唱えた。「これ性」は「唯一無二のもの、他とは優劣を比較できないもの」という概念。
これ性の説明。例えば「おふくろの味」というものは、その人にとって唯一無二で、他と置換不可能。また自分が買ってきて良く聞いているCDが有るとして、それは他の同一の商品と見た目は同じであっても、その人にとっては唯一無二のもの。という風に、「これ!! 他とは取り換えがきかない何か」という性質。
さて、この情報化社会では、買い物でも、店頭でスマホでさっと検索したりして、対象の情報を得てから買うかどうか決める。そのため、その場でぱっと買ったりしない。「後で他のいいモノが見つかるかも」とか「どうせ後からでも買えるし」とか考えるから。
情報が入手できる可能性が有ればあるほど、周到に情報を得ようとするから、「偶然の出会い」からは遠ざかる。唯一無二の「これだ!」というものに出会っても、それに飛び込まず先延ばしにしてしまう。恋愛でも同様に、出会いにかけずに先延ばしにするから恋が出来ない。もっと偶然の出会いに飛び込まなくては恋はできません。
今週の〆のロゴス「『これは、これでいい』に出会いまくれ!!」
■感想
この番組の主張は、毎回多かれ少なかれこじつけめいたところがあるのですが、今週は特にハズレだった。ドゥールズの主張と恋愛の話が全くかみ合ってないというか、言っていることがまるで腑に落ちませんでした。ガッカリでしたな。
★おまけ:過去放送分の感想
2012/08/28
「ぜいたくは敵!…なの?」(http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20120829/p3)2013/08/20
「本当の自分らしさ」「アイデンティティ」(http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20130822/p3)2014/08/16
「人生を楽しくする哲学(1)」(http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20140819/p1)2014/08/23
「人生を楽しくする哲学(2)」(http://d.hatena.ne.jp/Perry-R/20140824/p1)