逆転裁判|読売テレビ http://www.ytv.co.jp/animegyakuten/index.html
日本テレビ系 毎週土曜 17:30~18:00
【※以下ネタバレ】
第24話(最終回) さらば、逆転 - Last Trial (2016年9月24日(土)放送)
あらすじ
真宵が誘拐され、犯人のコロシヤは藤見野を殺害した疑いの王都楼の無罪を勝ち取れと成歩堂に要求。成歩堂は王都楼が虎狼死家に殺害を依頼した事を突き止め、弁護士として葛藤しながら裁判に臨む。証人の虎狼死家は無線機を通し、華宮霧緒に依頼されたとウソの証言。成歩堂が証言の矛盾を指摘すると、虎狼死家は真宵を始末する事をほのめかして警告。これ以上尋問を続ければ、真宵の命の保証はなく、成歩堂は最大のピンチを迎える。
殺し屋「虎狼死家佐々エ門」(ころしや・さざえもん)は、自分が藤見野イサオを殺したと認めたうえで、依頼人が他人に罪をなすりつけようとしているので証言を決意したという。ところが虎狼死家は依頼人は「華宮霧緒」で、実際に顔を合わせて依頼されたと言い、成歩堂と御剣は愕然とする。成歩堂は虎狼死家が霧緒の性別を男だと勘違いしていることから、虎狼死家の発言はウソだと追及するが、虎狼死家は真宵を殺すことをにおわせ、成歩堂に王都楼真悟(おおとろう・しんご)をさっさと無罪にするように命じる。
裁判長が王都楼の無罪を求刑しようとした瞬間、狩魔冥が新しい証拠だといってディスクを持ち込んできた。それは監禁された真宵が王都楼邸でダビングした物で、虎狼死家の犯行の映像が収められていた。裁判長は今更虎狼死家の殺人の証拠を見ても仕方がないと主張するが、御剣は虎狼死家こそこれを見るべきだと言って強引に再生させる。
成歩堂は虎狼死家に、この隠し撮り映像は、王都楼が虎狼死家にゆすられる事を想定して、逆にゆすり返すために撮影していたことを教える。虎狼死家は王都楼に裏切られたことを知り、真宵の解放と王都楼を殺すことを暗示して通信を切った。王都楼はこのまま無罪になり釈放されれば虎狼死家に復讐されることを悟り、慌てて藤見野殺しを依頼したことを認め、自分から有罪にしてくれと懇願する。王都楼は有罪を求刑され、成歩堂は裁判には敗れたものの、霧緒が冤罪で罰せられることを防ぐことが出来た。真宵も無事解放されて帰ってきた。
御剣は、DL6号事件が解決した後、「検事とは何か」について迷いが生じ、検事局を離れ失踪していた。しかし最終的に、検事は弁護士と共に真実を追究するべき者、という考えにたどり着き、迷いを振り払ったのだった。冥はそんな考えは戯言に過ぎないと一蹴するが、自分が御剣にまだかなわない事を悟り、海外へと旅立った。
そして、最後はいつもの成歩堂と御剣の裁判シーンでおしまい。
感想
このエピソードは、「(心情的には)勝負に勝った」という感じですが、実際のところは主人公は裁判で負けて依頼人は有罪になっているし、その上、殺人の実行犯は野放しのままで終わる、という展開がどーも気に食わないんですよねぇ。不快ではないにせよ、心の底から万々歳、という展開で無いのでイマイチ好きではない……
しかし、まあ、超長い原作のエピソードをはしょった分、Bパートは御剣の考える検事像の披露シーンや、冥との別れなどがそれなりの余裕を持って描かれ、最終回としては悪くない出来でした。ゲームのエピソードの内容をかなり削って不満も多いアニメでしたが、ラストの締め方は概ね満足です。
総括
評価は○(まずまず面白かった)。
カプコンの人気推理AVGが原作のテレビアニメで、原作ゲームは1から4までプレイしており、成歩堂が主役の1・2・3はホントに大好きです。それだけにアニメ化の知らせには、並々ならぬ期待と共に「原作のイメージを破壊するような駄作だったらどうしよう」という不安が入り混じっていましたが、結果的に言うと(若干の不満は残りつつも)概ね満足のいく作品でした。
●大人気ゲームのアニメ化
若手弁護士・成歩堂龍一(なるほどう・りゅういち)が担当する事件は、いずれも依頼人が無実の罪を着せられた圧倒的に不利なものばかり。しかし成歩堂は毎回毎回崖っぷちまで追い込まれながらも、不屈の闘志で反撃の糸口を掴み、奇跡の大逆転により依頼人の無実を勝ち取るのだった……
原作は1作目が2001年に発売されたあと、ナンバリングタイトル・派生作品も含めて未だに新作が発表されている人気作品で、今までアニメ化されなかった方が不思議とも思えるゲームです。それだけにアニメは数多い原作ファンを意識したのか、かなりの部分で「ゲームそのまま」でした。まずBGMをゲームから流用していますし、また場面転換の際に「四角い枠で月日場所の表示が出る」とか「証言開始」の描写、「裁判所内などの見た目」もゲームそのままです。さらに超有名な「成歩堂の異議ありの時のポーズ」も含め、成歩堂・御剣・狩魔冥が裁判所内で取るリアクションのポーズは、セリフが吹き出しで出てくるところまで、ゲームの見た目を再現していました。ある意味新しいことに挑戦することを避けているわけですが、「冒険して無い代わりに失敗もしていない」ということで、まあ不満は無かったですね。
声優は「成歩堂龍一:梶裕貴」「綾里真宵:悠木碧」「御剣怜侍:玉木雅士」「狩魔冥:弓場沙織」というキャスティングで、前の二人はアニメで何度も主役を演じた実績十分声優、後ろの二人はアニメ畑では名前を聞かないものの洋画・海外ドラマでは相当のキャリアがある人たち、という事で、実力的には何の問題も無いのですが、登場当初はどうしてもゲームで思い描いていたイメージと合致せず違和感が付きまといました。もっとも慣れればこれはこれでアリで、あんなに抵抗があったみっちゃん(御剣)の声も最後にはすんなり聞けてましたし。
違和感が有った主要キャストとは逆に、「これは絶品」と思ったのは原作でもゲストキャラクターでありながらすさまじい存在感だった名物キャラ「オバチャン」こと大場カオル。演じる杉本ゆう氏の声とけたたましく、さらにのべつまくなしにしゃべる様はもう原作のイメージそのままで感激モノでしたよ。あの冷静な御剣をしゃべりでたじろがせるとか(笑)、もうゲストとは思えない存在感でした。
全体的に見て、アニメという別媒体に移し変えたにもかかわらず、ゲームの雰囲気というものを上手く再現できており、「原作ゲームの内容? うん、アニメと大体同じだから」と言えるところまで作っていたのは感心しました。
●不満点もいくつか
しかし前述したとおり若干の不満点も有りまして、最大のものは「原作ゲームの内容をはしょりすぎ!」。アニメは前半1クール目が原作1作目、後半2クール目が原作2作目、をそれぞれ映像化しているのですが、その尺に納めるために、原作の内容をかなり省略しています。原作をプレイした感覚から勘案すれば8話は必要と思われるエピソードが半分以下の話数でさっさと終了してしまうなど、原作の内容をないがしろにしすぎている感が有りました。
どうせ2クールでは「成歩堂三部作」の全てをアニメ化は出来ないのですから、最初から割り切って一作目のみを2クールかけて映像化する、という作りの方が余裕が出来て良かったと思いますね。そして三部作の中でも最高のシナリオと評価している「蘇る逆転」を映像化してくれればもう言う事は無しでしたのに。
また、原作ゲームの裁判シーン終盤の緊迫した展開がアニメでは全く再現されていないのも物足りませんでした。原作では、裁判終盤になると、テンポの速いBGMが鳴り響いて緊張感を高め、弁護側と検察側がそれぞれ矢継ぎ早に相手の主張に反論しあって火花が散るような展開の末に真実が解明されるので、プレイしながら物凄い興奮が味わえます。アニメでもゲームのあの空気の片鱗でも味あわせてくれれば良かったのに、と言いたかったですね。
●総合的にみて
しかし、1話目からなんのかんのと文句を言いつつも、毎週放送が待ち遠しかったし、また一旦見始めれば最後までのめりこんで視聴したことも間違い有りません。後世に語り継がれるような傑作ではなかったにせよ、半年間テンションを落とすことなく視聴できたことを考えれば、「○」評価も妥当だと思います。原作ゲームファンも概ね満足できたそれなりのアニメでは有りました。
希望するなら、今後再度同じスタッフでまたゲームのアニメ化をして欲しいですね。対象は「逆転裁判」の続編より、御剣が主役を演じた「逆転検事」の方です(みっちゃん主役アニメを是非見てみたい)。過去半年の放送で御剣のキャラクターにも浸透したと思うし、結構イケると思うのですが、どうでしょうね?
原作ゲーム
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スタッフ情報
【原作・監修】カプコン
【監督】渡辺歩
【チーフプロデューサー】菊川雄士
【プロデューサー】永井幸治
【シリーズ構成】冨岡淳広
【キャラクターデザイン】太田恵子、渡辺浩二
【プロップデザイン】佐々木守
【美術監督】岩瀬栄治
【美術設定】大平司
【色彩設計】中尾総子
【撮影監督】清水彩香
【CGディレクター】福田陽
【編集】後藤正浩
【音響監督】小林克良
【音楽】和田薫
【アニメーション制作】A-1 Pictures
音楽
前半
【OP】ジャニーズWEST「逆転Winner」
【ED】安田レイ「Message」後半
【OP】ジャニーズWEST「人生は素晴らしい」
【ED】東京パフォーマンスドール「純愛カオス」
キャスト
成歩堂龍一:梶裕貴
綾里真宵:悠木碧(ゆうき・あおい)
御剣怜侍:玉木雅士
綾里千尋:中村千絵
糸鋸圭介:岩崎征実
矢張政志:奈良徹
狩魔冥:弓場沙織
綾里春美:久野美咲