感想:特撮「サンダーバード」「宇宙放送局の危機」


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【※以下ネタバレ】

宇宙放送局の危機 RICOCHET (放送日:2015年8月20日(木) 深夜 0:10〜1:03)。

■あらすじ

 最近ミンミンは「KLA放送」のDJリック・オシェーがお気に入りで、そのはまりっぷりにアランはイライラ。KLAは人工衛星から放送している宇宙放送局だが、国際機関に軌道の申請を行なわずに周回している海賊放送局だった。

 ある日、地球から打ち上げられたロケットが故障したため、周囲に危険の無い宇宙空間で爆破することになったが、国際機関にはKLAの衛星のデータが記録されていなかったため、KLAの衛星のすぐ側で爆破されてしまう。KLAの衛星はその影響で故障し、さらに軌道から外れて落下し始めた。オシェーは慌てて放送で助けを求めるが、丁度その時間帯はサンダーバード5号は通信機器の交換作業中で、救難信号に気が付かない。しかしミンミンがテレビでオシェーからのSOSを受信し、直ちに国際救助隊が救助に向かった。アランは衛星からエンジニアを助け出し、さらにオシェーを連れ出そうとするが、宇宙空間を怖がるオシェーは怖気づいて出ようとしない。

 一方、バージルとブレインズは、サンダーバード2号で衛星の落下予測地点に向かい、このままでは衛星がアフリカ最大の製油所に突っ込む事を知る。すぐさま衛星にミサイルを撃ち込み破壊しようとするものの、なんと衛星からはオシェーの放送がスタートしてしまう。オシェーがまだ衛星内に残っている事を知ったバージルたちは、サンダーバード2号で衛星を支え軟着陸させようとするものの失敗し、製油所への直撃は回避したものの、衛星は地上に激突して大爆発してしまった。

 バージルたちは失意の内にトレーシー島に戻るが、アランたちからオシェーは生きている事を知らされる。アランはオシェーを衛星から引きずり出したが、その際録音テープが動き出してしまい、その放送をバージルたちが聞いたという訳だった。最後は、無事帰還したオシェーがテレビに出演し、国際救助隊に感謝を述べておしまい。

■感想

 昨年(2015年)の夏に、新作テレビシリーズ「サンダーバード ARE GO」の放送に連動して、1965年版の「オリジナル版サンダーバード」の特選エピソードを放送したのですが、4ヶ月も寝かせた末にようやく今頃視聴できました、てへぺろ

 冒頭、宇宙ロケットの打ち上げが完全自動で行なわれるのですが、コンピューターの人間味の無い声(当然だ)でカウントダウンされ、レバーが触らないのにガチャガチャ動くのか(半世紀前に夢見た)未来!という感じでステキです。

 今回のゲストキャラ「リック・オシェー」の声は初代マスオさんこと近石真介氏。特徴的なので聞いた瞬間に解りました。おっそろしく軽薄なオシェーを見事に演じています。エンジニアのローマン「このまま軌道が低くなったら地球に墜落するぞ」、オシェー「いいじゃないか、このまま着陸しちゃおうぜ」云々、と、めっちゃくちゃ能天気なオシェーが面白すぎ。

 笑ったのが、衛星内の食事シーンで、オシェーが「またこのヘンな宇宙食かよ」と愚痴ると、ローマンが「スポンサーから一年分もらっているんだぞ、こいつを食べたら食費はタダなんだ」と言うのが何か結構リアルです(笑)

 さすがに50年前の番組だな、と思うのは、アランがサンダーバード3号から宇宙遊泳で衛星まで飛んで行き、ローマンを助けて3号に引っ張り込むまで延々と描写する事。さすがに冗長で、今だったらこんなに尺は取らないよなぁと思いますが、単にこの回の脚本のせいかもしれません。

 後半、「さすがに大気圏に突っ込んできた衛星は、もう隕石みたいなものだから受け止めるとか無理だろ」という気もしますが、それでも2号で衛星を支えて持ち上げようとするシーンは盛り上がりました。

 最後にトレーシー一家がオシェーの出演しているテレビ放送を見ているシーンでおしまいになるのですが、そりテレビ受信機、今から見ると「古臭いデザインだよなぁ」というところですが、1960年代からすると「持ち運べるサイズのテレビ」って夢の超技術だったのでしょうね(多分)

 それにしても、ミンミンがテレビのDJが好きというだけでイライラするアランは意外と心が狭い(笑) パパジェフの大人(たいじん)ぶりを見習うべきです。