感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第28話(シーズン1最終話(第28話))「裏の裏」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン1(1~28話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
 

第28話 裏の裏 The Psychic (シーズン1・28話(最終回))

 

あらすじ

シナモン(バーバラ・ベイン)が霊能力者となり、1人の実業家をだます。その実業家をポーカーで負かし、秘密特許を持つ会社の盗んだ株券をローラン(マーティン・ランドー)に差し出させるのだ。


実業家ローウェルはNATOの軍事機密を保有する英国の航空会社の株を横領、南米に逃げ込む。機密保持のため株券を奪い返しに乗り込んだIMFのメンバー。まずはシナモン(バーバラ・ベイン)が霊能力者としてパーティーに潜入、ゲストの秘密のみならず車の爆発を言い当てる。そしてローラン(マーティン・ランドー)が、ギャンブル好きのローウェルに8千万ドルを賭けたポーカー勝負を申し出る。


【今回の指令】
 大手投資信託の責任者だったアレックス・ローウェルは、スード航空という某国の会社の株の過半数を横領して南米に逃亡した。スード航空はNATO用の秘密兵器を生産している企業だが、ローウェルはこの会社の極秘パテントを売却して大金を得ようと目論んでいる。そして、それを狙って既に非友好国の諜報員が動き出している状況である。IMFは株券を取り戻し、ローウェルの企みを阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー、ミラー(ゲスト:チンピラ役)、チェイス(ゲスト:判事でローウェルの知人)(※ブリッグスは指令の受領とメンバー選定のみ)



【作戦】
 ミラーはシンジケートの一員を装ってローウェルの屋敷に乗り込み、株を売らないと痛い目に合うと脅すが、ローウェルは全く相手にせずに追い払う。続いて、シナモンが未来を予知できる占い師の設定でローウェルに近づき、車が爆発するので気をつけろと予言する。直後、ローウェルの車が爆発し、ローウェルはミラーの一味の脅しと考えると同時に、シナモンの予知能力を信用する。

 バーニーはローウェルの屋敷に侵入し、テーブル裏に細工をした後、さらにゲーム用のカードをすり替えて逃げる。ローウェルはカードがすり替えられ、それはどう切っても特定のカードが上に来るイカサマカードだと気が付く。シナモンは今度ローウェルがカードの勝負をするが必ず勝つ、と予言する。

 やがてローランがミラーの上司として現れ、ローウェルに自分の8000万ドルの小切手とローウェルの株をかけてポーカーの一発勝負をやろうと提案する。ローウェルはイカサマカードを逆に利用し、ローランを負かす。実はこの敗北はIMFの狙い通りだが、ローランはこの勝負はイカサマで無効だと大騒ぎし、その際に株券をすり替えてシナモンに渡す。ローウェルはローランを追い出した後株券が偽物だと気が付くが、その時にはシナモンも含めて全員が車で逃げ出していた。


監督: チャールズ・R・ロンドウ
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は△。

 話は一応筋道だっているが、さっぱり盛り上がらないエピソードだった。


 「The Psychic」という原題の通り、シナモンが100パーセントの的中率を誇る予知能力者を演じるが、別にシナモンの能力が作戦のカギという訳でもなく、なんとなくローウェルをカード勝負に行く気にさせる、という程度だったので、イマイチ物足りない役柄だった。

 また物語のクライマックスとなるポーカーの対決シーンも、ラスト5分くらいでさっとやっておしまいだったため、まるで盛り上がらなかった。そもそもIMFがすり替えたカードがどういうイカサマに使用できるのか、画面を見ていて全く理解できなかった。どうやら何度切っても、特定のカードが上に来る、という物らしいのだが、そんなことは物理的に考えて不可能であろう。またどんなイカサマに使用できるのか、という規則が分からないので、ローウェルがそのイカサマをどう利用して勝利したのかもわかりづらく、折角の山場なのに物語に入り込めなかった。

 唯一面白かったのが、バーニーが机の下に仕掛けたマジックハンドで、ローランがテーブルの下に手を突っ込んでニセモノの株券を取り出した後、代わりに本物の株券を挟み込むと、腕がテーブルの下を時計の針のように回転し、90度横に立っていたシナモンのところに移動し、シナモンが素知らぬ顔で株券を手にしてそのまま逃げ出す、という作戦となっていて、この場面だけはちょっと楽しかった。

 今回IMFのゲストメンバーとしてチェイス判事というキャラがちょい役で登場するが、演じていたのはリチャード・アンダーソン。この人はテレビドラマ「600万ドルの男」や「バイオニック・ジェミー」でゴールドマン役を演じた俳優で、懐かしい顔なので意外なところで出会って嬉しかった。

 冒頭、ブリッグスが道端の「スピーカー付きパーキングメーター」みたいなものから指令を受領していたので、これは何なのかと首をひねっていたのだが、英語サイトで調べたところ「ドライブインシアター」の設備だと判明した。これは屋外の映画館で、車で所定の位置に乗り付け、車に乗ったまま巨大画面を見つつ、備え付けのスピーカーを使って音を聞く、という仕組みだったという。ブリッグスは今回その映画の音声用スピーカーから指令を聞いていたのである。この手の映画館は1980年代頃には衰退したらしく、古いアメリカ文化の名残を見せてもらったわけである。

 さて、このエピソードはシーズン1の最終話であり、ブリッグス役スティーブン・ヒルは、この話を最後にスパイ大作戦から降ろされてしまう。そんな感傷含みのエピソードなのだが、この話でもブリッグスは指令の受領とメンバー選定しか行わず、作戦には参加しないまま殆ど出番なしで終わる。最後を飾るにしてはあまりにも寂しい話であった。


参考:今回の指令の入手方法

 ブリッグスが車でドライブインシアターのとあるスピーカーの前で停車し、スピーカーと資料を車内に引き入れる。するとスピーカーから音声を再生され始め、資料を見て指令を確認する。最後「なおこの録音はスピーカーを元に戻してから5秒以内に消滅する」といい、ブリッグスがスピーカーを元の場所にかけなおすと、内部から煙を噴き上げる。


参考:指令内容

おはよう、ブリッグス君。写真の男アレックス・ローウェルは、大手投資信託の責任者であるが、今度スード航空の株の過半数を一手に収めるチャンスを得た。スード航空はMATOの秘密兵器を生産している、ある国の会社であるが、ローウェルはその株券を横領、つまり自分名義にしてそれを持って我々の手の届かぬ南米へ移ったのだ。どうやら彼はスード航空の極秘のパテントを売ろうと考えているらしい。そしてそれを狙っているのが、非友好国の諜報員ヤン・ボーニッツである。

 そこで君の使命だが、ローウェルが極秘パテントを売り出す前に彼の意図を粉砕しスード航空を牛耳ることができぬようにすることにある。例によって君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても当局は一切関知しないからそのつもりで。なおこの録音はスピーカーを元に戻してから5秒以内に消滅する。成功を祈る。


シーズン1(1~28話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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