ボードゲームの総合情報【ボドゲーマ】 日本ボードゲーム界の異端児に聞く!ボードゲームデザイナーとして生きていくには?
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昨年の夏に発売されて、その筋では有名らしいホラーボードゲーム「ハコオンナ」のデザイナー氏へのインタビュー記事。
ハコオンナ / hakoonna【ボードゲーム情報】
https://bodoge.hoobby.net/games/hakoonna閉ざされた廃屋で、物陰に潜み犠牲者を狙う「箱女」から逃げつつ手がかりを探し、脱出するゲームです。プレイヤー一人が箱女を担当、他プレイヤーが目を瞑っている間に物陰チップのうち1枚を箱女チップと入れ替えて移動します。
出来の良いホラー映画を体感するかのようなボードゲームです。
内容は、前半はゲーム「ハコオンナ」の紹介、デザイン時の諸々のエピソードなど。後半がデザイナーとしてどれくらい収入を得ているか、とか業界の今後について、といったシビア系の話。
●ユーロゲームと日本テイストゲーム
デザイナー氏のデザイン哲学がちょっと面白い。
ハコオンナはドイツゲーム、ユーロゲームの流れを汲まない日本独自のゲームだと思っています。ドイツゲームに似たゲームを作ろうとは思いませんでしたか?
そもそも、今の日本のユーザーの中で、ドイツゲーム(※)にあるような「緻密なゲームシステムの機微」を求めている客層は、みなさんがイメージしているほど多くはないんです。
歴史あるドイツを啓蒙することも大切ですが、日本人は昔から独自の好みと感性、文化を持っています。邦画と同じように、日本人の好みに則したゲームを作る。
そういうデザイン志向の人もいるのかと。ボートゲームデザイナーは(ウォーゲームを除いては)みんな海外展開を念頭に入れてゲーム作っているのかと思ってました。
●ゲームデザイン専業で食っていけるか
「ハコオンナ」でどれくらい儲けたかについては、
2016年で約2,200個売り上げました。
だいたいの同人ボードゲームは、ハコオンナのような3,000円前後だと1つ1,000円ほど利益になります。なので、総利益についてはかけ算をしてもらえれば(笑)
(1,000円×2,200個=220万円)
同人ゲームを半年で2200個とは物凄い数に思えますが、それでも収入は220万円。結構な額ではありますが、ゲームがヒットして大金持ちに、というほどでもない。うっすい同人誌を半年毎に売ってそれだけで食っていける(らしい)漫画同人誌業界とはいささか違うようです。非っ常にキビシー!
●ボードゲーム業界の未来
ゲームマーケットが半年毎に開催され、入場者数は右肩上がりで天井が見えない。ということで、日本のボードゲーム業界の未来は前途洋々というイメージですが、デザイナー氏の意見は違うようです。
毎年ボードゲーム業界は右肩上がりに発展しているように私には見えていて、潰れるといったことが想像できません……。
いえ、条件がそろうと、業界は容易に傾きます。隣の業界ともいえるテーブルトーク業界では、数十年前大きな変化がありました。当時テーブルトークは日本中で大流行していて、土日は参加希望の人で毎週のように公民館に列ができていました。
しかしあるときマジック・ザ・ギャザリングが海外から来て、人が離れ、急に業界が縮小してしまいました。急な変化に、誰も何もできなかった。公民館を埋め尽くしたあの人たちがいなくなった。
うん……、ありましたね、そんな大崩壊が。最盛期で7~8誌はあった業界誌が最終的には壊滅するとか、凄いことになりましたもんね……、もっと遡ればゲームブック業界も同じように大繁栄の後、急速に衰退していきましたしねぇ。イケイケの状況が永遠に続くとは限らない、か……
●今後の展開にちょっと笑った
ハコオンナや次回作について、何か予定はありますか?
夏にはハコオンナの舞台化を展開していきます!
舞台化っ!? アニメや漫画を原作に舞台化するのはもう珍しくもなんともないですが、同人ボードゲームの舞台化かぁ。ホラー映画風ゲームがホラー劇になるのならそんなに無理はないか。