感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第95話(シーズン4 第17話)「小さな潜入者」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第95話 小さな潜入者 Chico (シーズン4 第17話)

 

あらすじ

麻薬の秘密捜査官16名の名前を記された2つに分割されたフィルムが奪われ、それぞれ麻薬トラストのボスの手に渡った。2つのグループが協力、フィルムから捜査員の名前が判明してしまう前に、フィルムを取り返すよう指令が出る。バーニー(グレッグ・モリス)は天才犬を使ってのフィルム奪回を試みる。


麻薬の秘密捜査官16名の名前が記された2つの分割されたフィルムが奪われ、それぞれ麻薬トラストのボスの手に渡った。グループ同士が協力し、フィルムから捜査官の名前が判明してしまう前に、フィルムを取り返すよう指令が下る。バーニー(グレッグ・モリス)は天才犬を使ってのフィルム奪回を試みる。

※DVD版のタイトルは「小型謀略工作員」。


【今回の指令】
 ラテンアメリカの大物麻薬業者ラモン・プラドー(Ramon Prado)は、半年前に全米麻薬エージェンシー(The Pan-American Narcotics Agency)の秘密捜査官16人の情報が記されたマイクロフィルムの半分を入手した。その情報は半分だけでは意味をなさなさず、問題はなかったが、半月前プラドーの商売敵であるアルトゥーロ・サンドバル(Arturo Sandoval)も、もう半分のフイルムを入手してしまった。両者はフィルムの情報を一つにするため、目下交渉を進めている。IMFは秘密捜査官の安全を守るため、プラドーたちがフィルムの情報を知ることを阻止しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 ラテンアメリカ


【作戦】
 プラドーは高価な美術品を収集しており、収集品の切手のどれかにマイクロフィルムが隠されているはずだが、どの切手かまでは解らない。

 パリスはそれを探るため、船乗りに化けてプラドーの屋敷を訪問し、世界最古のコイン(3000年前の中国の石のコイン「シーアン七」)を手に入れたので売りたいと持ち掛ける。そしてその際に、代金は現金ではなく切手の方がかさばらないと注文し、プラドーは切手コレクションを見せ、「2ペニーのウエリントンの黒切手」以外はどれでも良いと言う。パリスは黒2ペニー切手の収納ケースに超音波発信機を取り付けて、一旦立ち去る。

 フェルプスは北米の麻薬業者の使者のふりをしてサンドバルと会い、さっさとプラドーと協力して秘密捜査官の名前を確認しろと催促する。やむなくサンドバルはプラドーと会う約束をする

 パリスは再度プラドーの屋敷を訪問するが、プラドーはパリスの船員云々は嘘だと調べており、パリスを詰問する。パリスはマイクロフィルムの半分を盗みに来たと言い、自分がもう半分を持っていると白状する。プラドーはそれを聞き、サンドバルの持っているというフィルムが本物なのか疑い始める。そしてパリスのフィルムを部下に取りに行かせる。

 一方、バーニーとウィリーは、プラドーの屋敷に忍び込み、天才犬の「チコ」を通風孔に入れて、美術品のコレクションルームまで行かせ、発信機を付けた切手ケースを回収させる。そしてマイクロフィルムを見つけて偽物とすり替え、チコに元の場所に戻させる。

 やがてサンドバルが屋敷にやって来たので、プラドーは二人のマイクロフィルムを重ね合わせるが、全く意味の無い文字しか現れず、フェルプスはどっちかのフィルムは偽物だと騒ぐ。そしてプラドーがサンドバルのフィルムを外して、代わりにパリスのフィルムを重ねると、見事に人名が現れ、その中には「アルトゥーロ・サンドバル」と書かれていた。プラドーは怒ってサンドバルを射殺し、フェルプスとパリスはそのまま立ち去る。一方、バーニーは警察に電話をかける。最後、IMF一行が車で立ち去るシーンで〆。


監督: ハーブ・ウォラーシュタイン
脚本: ケン・ペットス


感想

 評価は○。

 IMFがいつものように巧妙なトリックで悪党たちに仲間割れを起こさせ、さらに警察を呼び込んで悪人たちを一掃してしまうエピソード。クオリティ的にはまあまあというところだった。


 今回のIMFスペシャルゲストというか秘密兵器というか、が「天才犬」のチコ。「The World of DOGS」という雑誌の表紙を飾るくらいの有名犬(?)であるらしいが、どういう伝手かIMFのミッションに投入される。そして、特製の無線機をくっつけて、人間の指示を聞きつつ、人間の入れない厳重な警備を突破して大活躍してくれるのである。犬種はヨークシャーテリアあたりではないかと思われるが、モフモフして可愛い犬がシリアスな作戦に投入されるという違和感が、それはそれで面白かった。

 ちなみに、IMFが小動物を作戦に使用するのは、第37話(シーズン2・第9話)「猫にヒスイ」以来二回目である。「猫にヒスイ」の際は、特別な訓練を受けた猫「ラスティ」が投入されたものの、「猫に音声で細かく命令できるのか?」という疑問が付きまとい、ある種のファンタジー感がぬぐえなかった。しかし今回は犬で、現実に警察犬やその他で人間のパートナーとして仕事をこなしているという実績があるので、説得力は猫よりは上だった。

 ところで、チコのミッションのために、バーニーが美術品コレクションルームの通風孔の蓋をすり替え、リモコンで開閉可能にしてあった。ところが途中でリモコンの電波が上手く届かなくなり、ふたが開かないのでチコが部屋から逃げられなくなる、というシチュエーションが描かれ、視聴者をハラハラさせてくれた。もっとも、「任務の始まりから終わりまで、いちいち蓋を閉めずに開けっ放しにしておけば、問題は起きなかったのでは?」という気がしなくもない。

 終盤、マイクロフィルムの重ね合わせシーンで、ますプラドーとサンドバルのフィルムを合わせても意味のある文字が出てこないので、フェルプスが騒ぎ出す。しかしそのあと、今度はプラドーとパリスのフィルムを重ねても、やっぱりまともな字は出てこず、文字を斜めに読むことで、ようやく「アルトゥーロ・サンドバル」という文字が読みとれる、という難解さだった。こんな情報の記載の仕方だったら、最初の重ね合わせの時に「これはニセモノだ」とか即座に判断できたのはおかしい、という気がするのだが……


 このエピソードのサブタイトルの原題「Chico」とは、もちろんIMFの助っ人のかわいい犬のチコの事である。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが動物園内の道端にある用具入れの箱の鍵を開け、大きめの封筒を取り出し、また置いてあるオープンリール式テープレコーダーのスイッチを入れる。そしてフェルプスは指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。写真の男ラモン・プラドーはラテンアメリカきっての麻薬業者であるが、半年前全米麻薬エージェンシーの秘密捜査官16人の名前を記したマイクロフィルムの半分を、買収によって手に入れた。その半分だけなら問題なかったのであるが、そこへ半月前、彼の商売敵アルトゥーロ・サンドバルから、マイクロフィルムのあと半分を入手したという連絡がプラドーにあり、目下二人はそれぞれの半分を持ち寄って一つにしようと交渉中である。二人が持ち寄ったマイクロフィルムを一つにし、そこに記(しる)されている麻薬Gメン16人の名前が明らかになれば、16人は直ちに消されてしまう。

 そこで君の使命だが、プラドーとサンドバルが麻薬Gメンの名前を知るのをくい止めることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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