感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第120話(シーズン5 第16話)「敵の作戦に乗れ」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン5」あらすじ・感想まとめ

 

第120話 敵の作戦に乗れ The Missile (シーズン5 第16話)

 

あらすじ

敵国スパイにニセのミサイル誘導装置をつかませるため、その協力者になりすましていたダナ(レスリー・アン・ウォーレン)。しかし突如、自動車修理工の男にさらわれてしまう。ダナ、そしてフェルプス(ピーター・グレイブス)に迫る生命の危機!

【今回の指令】
 敵側スパイのジェームズ・リード(James Reed)は、アメリカの最新ミサイルの電子誘導装置を狙っている。リードは明後日、フォルティモアコーポレーシュンの組織コンサルタント(a systems analyst with the Baltimore Corporation)という名目で兵器テストセンターに来訪する予定である。センターの秘書ドリス・ゴードン(Doris Gordon)はリードの手先である。IMFはリードに偽の誘導装置をつかませなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、ダナ、バーニー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 ドリスは上司のウィラードを色仕掛けでたらしこんでおり、いつでも利用できる状態だった。フェルプスたちはセンター所長の協力を得て、ウィラードとドリスを逮捕し、フェルプスとダナが二人に入れ替わってリードを待ち受ける事にした。

 自動車修理工のベッカーは、たまたま出会ったダナを一目で気に入り、尾行して家を突き止めると、こっそりダナを監視し始めた。

 やがてリードがセンターに到着し、ダナにウィラード(フェルプス)を自宅に呼ばせると、脅迫の材料にするため、二人が抱き合っているところを撮影する。またリードは、フェルプスは脅迫して協力させた後は、口封じのため車に細工して事故死にみせかけて殺すという。すぐにダナはフェルプスに情報を伝えようとするが、部屋の中にベッカーが侵入してきてダナを誘拐してしまった。

 パリスはダナが部屋から消えてしまい、床に自動車修理工場のワッペンが落ちていたので、誘拐されたと察し、バーニーと共に捜査を始める。そしてベッカーが精神病院を脱走した患者だと突き止め、家に向かう。一方、捕まったダナは隙を見て逃げ出してパリスたちと合流し、追ってきたベッカーはパリスたちに取り押さえられる。

 同じころ、リードはフェルプスにダナと抱き合っている写真を見せ、公表されたくなければ誘導装置の秘密を渡せと脅す。フェルプスは嫌々ながら従うふりをして、偽の装置を撮影させ、さらに偽の設計図を渡す。秘密を手に入れた(と思っている)リードは、フェルプスに脅迫写真のネガを渡すので車でついて来いと言って、細工した車に乗せる。

 フェルプスがリードの車を追って山道を走っていると、車の調子がおかしくなり、さらにダナから電話でリードが細工しているという知らせが届く。フェルプスは車から飛び降り、車はがけ下に転落して炎上する。それを見たリードはフェルプスが死んだと思って立ち去る。最後はIMFメンバーがセンターの玄関から出ていくシーンで〆。


監督: チャールズ・R・ロンドウ
脚本: アーサー・ウェイズ


感想

 評価は△。

 今回は冒頭からテープの指令シーンだったため安心して見ていたら、実は中身はダナが作戦とは関係ない変質者に誘拐されるというサスペンス編で、結局全く面白くなかった。第五シーズンは、油断しているとすぐにこういう変則的なエピソードを放送されてしまうので、まったく気が抜けない。

 今回は敵にニセ情報をつかませるという、今までにも何度かあったパターンの話だが、作戦はフェルプスとダナの二人で十分実行可能で、そのままでは間が持たないからか、ダナが変質者に拉致されるという話をくっつけて他のメンバーの出番を作っている。もっとも、話の内容はさっぱり楽しめなかったので困りものである。

 今回のエピソードでは、敵スパイの名前も顔も目的も解っているので、複雑な作戦など実行せず、センターで待ち構えていて、リードがやってきたらさっさと逮捕すれば良いのにと思っていた。ところが、この疑問はテープの指令の原語の内容を調べると氷解した。

 実は指令内容は日本語には翻訳されていない部分が有るのだが、そこでは「ニセの装置をつかませることで、この重要分野で敵の開発を短期間ストップさせること」と言っているのである。これならIMFがミッションを仕掛ける理由も理解できる。日本語版のスタッフは、こんな重要な部分の翻訳を省かないでもらいたいものだと思ってしまった。

 今回IMFのミッションに横から割り込んでくるジョニー・ベッカーは、自動車の修理に来たダナを一目見て気に入り、こっそり家を突き止め、外から行動を監視しはじめるという、明々白々な変質者である。ドラマ的にはこれだけで十分だと思うのだが、さらにあとから「新聞の切り抜きで殺人鬼だと判明」「精神病院を脱走した患者とも解る」「ダナを全くの別人(昔付き合っていた恋人?)と勘違いしている」と、次から次から設定が追加されて、もう盛りすぎである。ダナがベッカーの部屋に拉致されて、すぐにキレるベッカーをなだめつつ隙を伺うシーンなどは、スパイ大作戦というよりサイコサスペンス物のノリで、スパイ大作戦でこんな展開を見せられても、と困惑しきりだった。

 またパリスとバーニーが消えたダナの行方を追うあたりは、もう探偵物の感覚で、

1)床に落ちていたワッペンで自動車工場名が判明
2)自動車工場に行き、ベッカーの名前が判明
3)工場の工具入れから指紋を採取。また睡眠薬も見つけたので薬屋に当たることにした
4)指紋から精神病院を脱走した患者だと判明
5)薬屋の購入記録から住所が判明

という流れでダナの元にまでたどり着く。まあスパイ大作戦としては全く面白くもなんともないが、探偵物と見ればそこそこはいけたというところだろうか。

 最後、フェルプスが操作不能になった車からドアを開けて飛び降りるシーンが有るのだが、これが結構なスピードの車からマジで道端に飛び降りており、見ているほうが冷や冷やさせられる。スタントマンは本当に大変な仕事だと思わずにはいられない。

 ところで、終盤ベッカーから解放されたダナが、フェルプス自動車電話に「車に細工されているから気を付けて」と連絡するのだが、既にその時点でフェルプスの車は操作不能になっており、警告は遅きに失していた。ダナはフェルプスの事情を知らないにしても、「間に合えばいいけど」とか言っているのを見ると、「全く間に合ってない」と突っ込みたくなってしまった。まあフェルプスがなんとか助かったので結果オーライではあった訳だが、なんとなく釈然としない展開ではなかろうか。

参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが海岸傍の家に車で乗り付け、鍵を開けて中に入る。そして戸棚から大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。フォルティモアコーポレーシュンの組織コンサルタント・ジェームズ・リードは、組織調査のため、明後日兵器テストセンターに到着することになっている。リードは敵側スパイであり、その目的は、現在テスト中のわが国最新ミサイルの電子誘導装置を盗むことであり、また、彼を手引きすることになっているのが、センター内の秘書ドリス・ゴードンである。

 そこで君の使命だが、リードに偽の誘導装置を掴ませることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

シーズン5(105~127話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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