感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第143話(シーズン6 第16話)「脱獄の果て」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第143話 脱獄の果て Stone Pillow (シーズン6 第16話)

 

あらすじ

刑務所に入所する男は、殺人の証拠フィルムをネタに犯罪組織のボスを恐喝していた。IMFメンバーが刑務所に潜入、フェルプス(ピーター・グレイブス)と同じ監房に入れて、男を脱獄させフィルムの所在を聞き出そうと計画する。

※DVD版のタイトルは「トリック脱獄計画」。
 
 
【今回の指令】
 シンジケートのボス・ビンセント・ボチェック(Vincent Vochek)は、警察のスパイだったクローナー(Maurice Krohner)殺害の容疑者である。そして近々刑務所入りする元・私立探偵ラリー・エジソン(Larry Edison)は、ボチェックのクローナー殺しの証拠のフィルムを所持し、それでボチェックを恐喝していることが判明した。IMFはそのフィルムを手に入れ、警察がボチェックを逮捕できるようにしなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。私立探偵のエジソンは、シンジケートのボスのボチェックに、殺人事件の重要証拠となる8ミリフィルムを見せ、ネガを検事に提出されたくなければ毎月5000ドルを支払えと要求する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 IMFは、エジソンの恐喝仲間の女性レオナが事故で死んだものの、彼女の周りにフィルムは無かったことを確認していた。エジソンはレオナが死んだことを知らないので、IMFはそれを利用する計画を立てる。

 エジソンは詐欺で二年の刑期で刑務所に投獄されたため、IMFメンバーも刑務所にそれぞれ潜入する。IMFエジソンに自分が正体不明の相手に命を狙われているように信じ込ませ、また囚人仲間のフェルプスが脱獄を計画しているとそれとなく気づかせる。エジソンは刑務所にいたら誰かに殺されると怯え、フェルプスに一緒に脱獄させて欲しいと頼み、フェルプスは渋々のふりをして二人一緒で脱獄する。新聞には脱獄囚二人が事故で死んだという記事が掲載される。

 ケイシーは死んだレオナに変装してレオナのアパートで待機していると、エジソンから電話がかかってくる。ケイシーはエジソンに、エジソンが死んだと思ったのでフィルムは検事に渡したと言って電話を切る。フェルプスエジソンに、知人からの情報だと言って、検事にはフィルムは届いていないと教え、きっとケイシーが一人でボチェックを恐喝して儲けているのだと吹き込む。

 怒ったエジソンはケイシーのアパートに乗りこみ、争っているうちに、フェルプスがケイシーを射殺するふりをする。エジソンはケイシーの部屋に隠していた鍵を持ってフィルムの隠し場所に向かいフィルムを手に入れるが、尾行してきたボチェック一味に包囲される。IMFはボチェック一味を退治した後、エジソンからフィルムを取り上げる。エジソンが自分が最初から騙されていたことに気が付いて呆然とし、最後にエジソンもボチェックも逮捕されるオチで〆。


監督: レスリー・H・マーティンソン
脚本: ハワード・ブラウン


感想

 評価は○。

 今回は話は、ストーリー上に色々と無理な点が見られ、あまり面白みも無く、ぎりぎり合格点、という程度のイマイチレベルのエピソードだった。

 まずスタート時点から設定があまり上手く練れておらず、「恐喝者が相手を脅しに行った翌日に、刑期二年で刑務所に放り込まれる」という初期設定からして何か妙で、すんなりと受け入れられないものがあった。今後二年間娑婆にいられない人間が、恐喝対象を訪問して毎月金を振り込んでくれ、と要求するのは変な話では無かろうか。

 また、レオナというキャラクターが登場する前に既に死んでおり、IMFメンバーの打ち合わせ時点で延々と彼女についての設定が口頭で説明されるのも、もう一つスマートとは思えず、最初からかなり興を削がれた感があった。

 さらに、フェルプスたちが脱獄した直後に刑務所の外に行くと、(協力者がいるわけでもないのに)既に逃亡用の車がきちんと用意されており、そのままさっさと逃亡できてしまう、という展開も、見ていておかしくないかと突っ込みたくなった。まあ車はIMFが事前に用意していた、と言えばそれまでだが、エジソンがその事を不審に感じてフェルプスに問いただしたら一巻の終わりだったという気がする。

 まあ脱獄した後の、エジソンを上手く誘導してレオナの家からフィルムの隠し場所まで案内させる、というあたりの展開になるとそれなりに面白くなっていったが、そこまでの話が粗が多すぎたという気がしてならない。

 また、そもそも「刑務所に入っている相手を上手く逃亡させて、最終的に本人しか知らない秘密の隠し場所まで行かせる」という展開自体が、視聴者的にすべて予想の範囲内に収まっており、全く意表をつく要素が無かったので、全体に退屈さが否めなかった。スパイ大作戦ならば、IMFの目論見が最後の最後まで見当が付かず、最後にあっと驚かされる。という事をやってほしかったところである。結局のところ、全く駄目と言う程でも無かったものの、全体に面白みはもう一つだった。

 ただし、印象に残るシーンも一つだけあり、インテリ囚人に扮したフェルプスが、投獄初日から既に気が滅入っているエジソンに「刑期の長さも、昨日のことも明日の事も考えず、今日のことだけ考え続ける。そうすれば、釈放される日が来ても、刑務所には一日しかいたことにしかならない」云々とアドバイスする場面だけは、妙に心に残ってしまった。


 今回のサブタイトルの原題「Stone Pillow」は、直訳すると「石の枕」だが、枕と今回の話とどう関係するのか全く意味が分からない。おそらくアメリカのスラングでは、今回の内容と関係するような意味合いがあると思うのだが、一体何なのだろうか? 気になって仕方がない。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが森を監視している森林警備隊員に近づき、合言葉を言うと、隊員は車を残して立ち去る。フェルプスは車に乗りこんでダッシュボードから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。そしてフェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。写真は西海岸一帯に勢力を張っているシンジケートの首領ビンセント・ボチェックと、すでに刑務所入りが決定している元私立探偵ラリー・エジソンである。ボチェックは警察のスパイ・クローナーを殺害した容疑者であり、一方エジソンはその証拠のフィルムを握って、それを種にヴォチェックをゆすっているという事実が解った。

 そこで君の使命だが、エジソンが握っている証拠フィルムの所在を突き止め、それを警察の手に渡して、ボチェック逮捕に踏み切らせることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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