感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第171話(シーズン7 第22話(最終話))「王冠すりかえ」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第171話 王冠すりかえ Imitation (シーズン7 第22話)(シーズン7最終話)

 

あらすじ

ある美女一味により強奪された国宝の王冠を取り戻せという指令が下り、IMFは奪われた王冠がイミテーションだったと思い込ませるため、バーニー(グレッグ・モリス)が彼女に接近、巧みな罠を仕掛ける。


ある美女一味により強奪された国宝の王冠を取り戻せ、という指令が下る。IMFは奪われた王冠がイミテーションだったと思い込ませるため、バーニー(グレッグ・モリス)が彼女に接近、巧みな罠を仕掛ける。

※DVD版のタイトルは「王冠すりかえ大逆転」。
 
 
【今回の指令】
 昨日、マンスバーグ国(Marnsburg)の王冠と、それに付随する宝石一式が、国連ビルに展示するため同国領事館から国連ビルへの輸送中、何者かに強奪された。宝石類の時価総額は1000万ドル以上だが、王冠の価値はその性質上金銭では換算できない。犯人はジェナ・コール(Jena Cole)の一味と推測されるが、未だ手掛かりは見つかっていない。IMFは三日後の展示期日までに王冠を奪還しなくてはならない。


【作戦参加メンバー
 レギュラー:フェルプスバーニー、ウィリー
 ゲスト:デュバル(変装担当)


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。ジェナ・コールの一味が王冠と宝石の入った箱を強奪する。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 バーニーは前科者に扮し、ジェナの処刑された弟と刑務所で親しかったという設定でジェナを訪ね、800ドルを借りる。しかし直後に金庫を破って中の12,000ドルを盗み出す。ジェナたちは残っていた指紋からバーニーの犯行と突き止め、ジェナの部下がバーニーの宿泊しているホテルの部屋に押し入るが、バーニーは不在で部屋には金庫破りの道具やマンスバーグ領事館の図面が置いているのを見つける。

 直後フェルプスがホテルにバーニーを訪ねて来たので、ジェナの部下がジェナのところに連れて行くと、フェルプスバーニーが20万ドルの借金を期限を過ぎても返さないという。そして一週間以内に返さなければ殺すつもりだというが、同時に返済のあてがあると聞いているとも伝える。ジェナの部下はフェルプスが宝石ブローカーだと信じ込む。

 IMFメンバーのデュバルは、ジェナと付き合いのある宝石商に変装する。またウィリーはマンスバーグ領事館に対して、盗まれた王冠は盗難防止のための偽物で、本物はこれから持っていくと連絡する。ジェナたちは領事館内のスパイから知らせを受け、慌てて宝石商(デュバル)に盗んだ宝石を鑑定してもらうと、デュバルは本物の宝石をすり替えて偽物を取り出し、これは真っ赤な偽物だと断言する。

 ジェナは盗みの依頼主であるシンジケートの幹部から、王冠を見せてほしいと言われて焦るが、バーニーを利用することを思いつく。そしてバーニーを捕まえて、自分から盗んだ12,000ドルで金庫破りの道具をそろえたのだから、自分たちは仲間だと言う。バーニーはフェルプスへの借金を返すため、マンスバーグの王冠を盗んでフェルプスに渡すつもりだといい、領事館の金庫室に忍び込んで無事(ニセの王冠の入った)箱を盗み出してくる。

 ジェナはこっそりバーニーの盗んできた箱と、自分たちの持っていた箱をすり替え、バーニーは何も知らないふりをして箱を抱えて立ち去る。そしてバーニーたちは箱の中身が本物の王冠や宝石であることを確認する。一方ジェナたちはシンジケートの幹部に王冠を見せるが、真っ赤な偽物だと知らされ驚く。そこに警官隊が踏み込んできて、シンジケートの幹部共々逮捕される。最後、連行されるジェナが、入り口でバーニーが待っているのを見て薄笑いを浮かべて通り過ぎるシーンで〆。


監督: ポール・クラズニー
脚本: エドワード・J・ラク


感想

 評価は○。

 今回はシーズン7の最終回であると同時に、スパイ大作戦という番組のラストでもある特別な回で、クオリティは傑作とは言えずともまあまあのレベルで、それなりには満足できた。シーズン7は、さすがにスタッフが長期間の制作で疲れはてたのか低品質のシナリオの作品が多かったことを思えば、ラストが駄作ではなく「それなり」のレベルの話だったことには救われた気がした。

 今回はIMFの作戦は、盗まれた宝石を奪還するため、犯人たちに盗み出したものが偽物だと思い込ませる、というもので、かつてシーズン3・第8話(通算第61話)「美しき外交官夫人」で展開した「敵対国に盗まれた機密情報を偽物と思い込ませる」という話に似ていなくもいなかった。もっとも「美しき~」が複雑なストーリーで、敵国側だけでなく、視聴している方も混乱してくるような複雑なプロットだったのと比較すると、今回の話は良くも悪くも分かりやすく単純だった。

 また、展開も全盛期のノリが往々に見られ、こっそり金庫室に忍び込んで中の物を盗み出すとか、王冠を収めた箱に秘密装備が仕込んであり、遠隔操作でふたが開いてパラボラアンテナが飛び出してくるとか、変装して相手を見事にだますとか、懐かしい展開のオンパレードだったのは結構嬉しかった。

 まあ今回出てきた秘密小道具は、現代科学を超越しているような品物ばかりで、「持ち主が壁の金庫のダイヤルを回すと、手元の装置がそれを勝手に読み取って装置にとりつけてあるダイヤルがくるくる連動して回る」とか、「金庫室に運び込んだ宝石の入れ物に装置が仕込んであり、そこから電波を発信すると勝手に金庫が開く」とか、もう訳が解らない機械のオンパレードで、この辺りはもうちょっとリアリティを見せてくれても良かった気がしなくもない。

 とは言え、終盤の、女首領ジェナがバーニーの盗んで来た「偽の宝石」と、自分たちの持っている「本物の宝石」をこっそりすり替えさせ、バーニーを騙したつもりで逆に自分たちが騙されてしまう、というクライマックスはそこそこ痛快だった。またラストでジェナが警官に連行される際、入り口で待っているバーニーを見て、全てを悟ったのか微かに笑いを浮かべるシーンは結構印象的だった。

 今回のエピソードは、ケイシー役のリンダ・デイ・ジョージが産休で不在の際に撮影されたため、最初から最後までケイシーは一度も姿を見せないまま終わってしまう。やむを得ない事情があったとはいえ、ケイシー抜きでの最終回になってしまったのは返す返すも残念だった。


 今回のサブタイトルの原題「Imitation」は「偽物」の意味。IMFが盗まれた本物の宝石類を偽物と思い込ませる展開をよく表したタイトルと言えよう。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが精巧な置時計が置いてある部屋に入り、鍵のかかった引き出しから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出すと、デスクの上に腰掛ける。そしてその後、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。国連ビルに展示するため我が国に持ち込まれたマンスバーグ国の王冠と、それに付随する宝石一式が、昨日、同国領事館から国連ビルへの途中で強奪されてしまった。宝石だけでも時価1000万ドルは下らないとされているが、王冠というものの性質上、金には換えがたい価値がある。警察では、この強奪事件の背後にはジェナ・コールがいると見ているが、まだ何の手がかりも掴めていない。

 そこで君の使命だが、王冠を奪回し、3日後に迫った展示期日に間に合わせることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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