感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第166話(シーズン7 第17話)「不老長寿の泉」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン7」あらすじ・感想まとめ

 

第166話 不老長寿の泉 The Fountain (シーズン7 第17話)

 

あらすじ

犯罪組織の幹部同士の勢力争いで窮地に追い込まれたバックマンは、組織の極秘情報を記録したテープを盗みメキシコへ逃亡する。ケガを負わされ復讐に燃えるドレイク。しかし飛行機が墜落、たどり着いた屋敷で不老長寿の水を発見、ドレイクのケガを治すことで和解しようと思いつく。

※DVD版のタイトルは「怪奇!不老長寿の水」。
 
 
【今回の指令】
 シンジケートの幹部トム・バックマン(Tom Bachman)は、マシュー・ドレイク(Matthew Drake)との権力争いの末、シンジケートの極秘情報を記録したコンピューターテープを盗んで逃走した。その際に、バックマンは二名を殺害、ドレイクを含む四名を重傷を負わせたため、シンジケートはバックマンを捜索している。IMFはバックマンから極秘テープを入手しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:名前不明の協力者たち数人


【作戦の舞台】
 メキシコ


【作戦】
 冒頭。バックマンの管轄するコンピューター室にドレイクが乗りこんできて、バックマンに今後は自分がここを仕切ると言う。逆上したバックマンはドレイクを部屋に閉じ込めさせた後、コンピューターテープを持ち出し、さらに爆弾で部屋を吹き飛ばしてから逃げ去る。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ドレイクは爆弾のせいで左手を失い、個人的な恨みからバックマンを探している。

 IMFはバックマンがメキシコの田舎町に潜伏していることを掴み、バーニーが逃がし屋のパイロットのふりをしてバックマンを飛行機に乗せる。そして麻酔で眠らせてから地上に降ろし、飛行機が山の中に墜落したと思わせる。やがて二人は徒歩でフェルプス、ケイシー、ウィリーがいる屋敷にたどり着き、フェルプスは自分たちは「太陽教」の信者だと言って二人を歓待する。

 IMFはバックマンに、怪我をした動物が水をかけただけで元気になったり、バーニーの骨折が水をかけただけで治ったりした、と信じ込ませる。さらに偽装した写真を部屋においておき、ケイシーやウィリーが何十年も歳を取っていないように見せかける。

 夜。ケイシーは思わせぶりに隠し通路から地下の泉に降り、ケイシーを付けてきたバックマンはこの泉の水に特別な力があるのだろうと詰問する。ケイシーは最初はシラをきるが、やがてこの水は命を蘇らせる効果があり、自分は1831年生まれの140歳だと説明する。また水の効果は48時間しか持たないので、自分はここから離れられないともいう。

 バックマンは、ケイシーに上手く誘導され、水をドレイクに飲ませて左手を治せば和解できる、と考えつく。そして試しに自分で水を飲むが、IMF睡眠薬を混ぜていたので昏倒してしまう。IMFはその間にバックマンに若返りメイクを施し、目覚めたバックマンに水の効果で若返ったと信じさせる。

 そこにドレイクの手下がやってくるが、バックマンはドレイクと話したいと言ってケイシーを連れ、水を持っていく。そしてドレイクには不老長寿の水で手が治ると説明し、和解を申し入れる。ドレイクは最初は信じないが、ケイシーは水が切れたふりをして老婆のマスクをつけ薬で死んだふりをしたため、ついに話を信じる。

 そしてバックマンはコンピューターテープの隠し場所に行くが、尾行してきたIMFと警察が踏み込み、フェルプスがバックマンからテープを取り上げるシーンで〆。


監督: バリー・クレーン
脚本: ステファン・カンデル


感想

 評価は(ぎりぎり)○。

 今回は、ターゲットに超自然現象の「不老不死の水」を信じ込ませる、という奇想天外系のエピソードだったが、シナリオの質が低く、面白さはもう一つだった。
 
 IMFは過去にも、SF・オカルト系の突拍子もない設定で相手を騙すという作戦を敢行しており、タイムスリップや幽霊屋敷といった大芝居で視聴者を楽しませてくれてきた。今回は、傷にかければたちまち治癒し、飲めば永遠の若さが手に入る、という奇跡の水をでっちあげて相手を騙すというエピソードだったが、正直全く面白くなかった。

 不老不死をネタに相手を騙すというのは、シーズン6・第11話(通算第138話)「マスコミの裏の顔を暴け」でもやっているが、この時はIMFがUFOに乗って地球に飛来した異星人を演じ、小道具や巧みな変装で相手にSF小説めいたシチュエーションを信じ込ませてしまう過程が実に楽しかった。

 ところが今回は特に複雑な計略は無く、単に屋敷に相手を引き入れて、加工した写真やバーニーのちょっとした芝居だけで目的を達成してしまう淡白な物で、全く物足りなかった。今回の様なSF・オカルト系の作戦は、IMFが用意した設定が突拍子もないほど、相手が信じ込んでしまった時の反応がおかしくて仕方ないのだが、今回はそういう楽しさも無く、実に淡々とした展開だった。ステファン・カンテルがシナリオを書いた回は、こういう底の浅いエピソードばかりで、第7シーズンは質が落ちたなとつくづく実感させられてしまった。

 クライマックスでケイシーが老婆になって死んだふりをする、というシーンは、仕掛けが解りにくくて、どういうトリックで実現したのかよく解らず、冒頭のチームの打ち合わせシーンから見直してしまった。要するに、ケイシーは素顔の上に老婆マスクを付けた後、さらにその上に自分の顔のマスクをつけるという、二段重ねの変装をしていたのである。そして薬で一番上のケイシー自身に変装したマスクを溶かすと、その下から老婆マスクが現れて、バックマンたちはビックリ、というトリックだったわけである。

 しかし、不老長寿云々というネタは面白かったものの、別段テープを取り戻すためにこの超常現象ネタ作戦でなくてはならなかった、という事も無く、最終目的と取った手段がいまいちかみ合っているように思えなかったのも、評価を落とす要因となってしまった。というわけで、ハズレではないものの、内容の薄さが気になるエピソードであった。


 今回のサブタイトルの原題「The Fountain」は「泉」の意味。実にストレートなタイトルだった。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが扉の鍵を開けて、家の中(雑貨店?)に入り、木の箱の中から大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出し、近くの椅子に座る。その後、テープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。

参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。シンジケートの幹部トム・バックマンとマシュー・ドレイクの勢力争いの結果、バックマンはシンジケートの極秘情報を記録したテープを盗み出した。その時、バックマンは2名を殺し、ドレイクを含む4名に重傷を負わせたため、シンジケートはバックマン狩りを開始した。

 そこで君の使命だが、その極秘テープを入手することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン7(150~171話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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