【記事】講談社作品のアニメ化の裏側を説明『「あの漫画はどうアニメになっていったのか」ライツ事業部副部長に聞いた』

五等分の花嫁(11) (講談社コミックス)

「あの漫画はどうアニメになっていったのか」ライツ事業部副部長に聞いた マガポケベース
https://pocket.shonenmagazine.com/article/entry/interview_20190919

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 講談社WEBコミックサイト「マガポケ」の記事で面白い物が掲載されました。

1クール3カ月のアニメ作品。
制作に3億円、構想からオンエアまで3年がかかると聞けば、「え、そんなに?」と思うかもしれません。

今回はアニメ化の裏側……アニメ制作に欠かせない「委員会」の仕組み、またわたしたち読者が“推し作品のアニメ化”に微力ながらお手伝いできる方法について、講談社のライツ事業部副部長古川慎にうかがいました。

 
 と、こうですよ。確かに漫画のアニメ化とかその裏側なんてなかなか語られるのを見たことが無いですよね。という事で興味津々で読みました。引用多めでお送りします。
 
 

●アニメ化を決めるのは誰?

五等分の花嫁(1) (講談社コミックス)

――最初にうかがいたいのは「誰がアニメ化を決定するのか」。出版社なのか? 編集部? ファン? 外の会社なんですか?


古川:
出版社であり、外の会社であり、ファンの後押しのお蔭でもあります。
それを具体的にお話する前提として、アニメ制作には多額のお金がかかる、ということをちょっとだけお話させてください。


ざっくりですが、1話30分の作品を12本制作して3カ月間放送するのに、だいたい3億円かかります。手の込んだものだと5億円以上かかるということもあります。

 

古川:
日本のアニメーション制作には、30分1話でざっくり2,000万円前後かかります。


世界的に見れば安いですが、日本の企業が1社でかかえるにはコストが高い、という状況の中で生み出されたのが「製作委員会」というシステムです。


分かり易く言えば「一人で戦うのはツライから仲間集めてみんなで頑張ろう」という仕組みですね。出版社1社では金額負担も大きいですし、ビジネスにするには各パートナーの力が必要不可欠なので、アニメ化するには賛同してお金を出してくれる出資者を探す必要があります。


その観点に立つと、「誰がアニメ化を決定するのか」とは「誰がその作品に興味を持ってくれて、誰が映像化に必要なお金を出してくれるのか」ということになります。それはアニメを作ることでプラスになる人、アニメ化によって利益を期待する人たちです。

 
 まあ要するに「儲かりそうだと思って金を出す会社」の有無が決めるという事ですよね。
 
 
 

●製作委員会の参加企業

五等分の花嫁(2) (講談社コミックス)

その人たちの中身は、市況に合わせて変遷してきています。
以前はDVDやBlu-ray Discなど、パッケージを作って販売するメーカーがアニメ化にかかる資金の大半を出資してくれていました。


――現在は、どんな会社が出資をしてくれるのですか?


古川:
海外の事業者やゲームメーカーが出資してくれることが多くなってきています。


ソーシャルゲームやストリーミング放送が、市場で大きな売上を上げるようになって、国内外問わず当該業種からの引き合いが多くなっています。

 

――海外にある企業でも、売れるか売れないかの判断ができるものなんでしょうか。


古川:
映像がなくても、原作があればどんなストーリーでどんなキャラが出てくるのかがわかります。また、1巻あたり何部売れている、という数字が具体的に示せるのです。


既に世に出ている原作を武器に「こういう作品です。一緒にやりませんか」と提案出来る点が、アニメ化の企画営業において出版社が持っているストロングポイントの一つだと思います。

 

アニメ化作業においては、企画立案からOAまで2~3年かかることがざらです。


その期間を一緒に過ごして作品を作り上げる仲間となれるかどうかが判断基準の一つなので、そこが金融商品のような投機的な投資との決定的な差だと思います。だからこそ、「この企画はいける」と相手に思ってもらうためには、その作品に対する情熱が絶対に必要不可欠です。


数字と情熱の両軸をもって営業して、「この人たちとだったら仲間になってもよい」と思ってもらえるプレゼンテーションができるかどうかが重要、ということだと思います。

 
 んん? 五等分の花嫁って連載開始からまだ二年くらいじゃね? 一体いつからアニメ化の企画が始まっていたのか……、なんか計算が合わないような気がするんだけど、どこか勘違いしてる?
 
 
 

●「五等分の花嫁」はウケが悪かった(笑)

五等分の花嫁(3) (講談社コミックス)

――制作はたいへんだったけど、アニメ化して「うまくいった!」という作品はありますか?


古川:
最近で言えば、『五等分の花嫁』です。
当初は、5人の女の子が五つ子という設定なので「みんな同じに見えるからちょっと……」とか散々な言われようでした(笑)。


でも、地道に企画営業し続け、1社興味を持ってくれる会社が見つかったことで一気にアニメ化の座組が組みあがりました。ベストと思われる時期にアニメ化できたこと、二期の発表を最高のタイミングで行えたこと、原画展を夏休み時期に仕込めたことなど、ビジネス側の様々な努力によって原作の増売にも貢献ができたと思います。

 
 クソワロタ。「みんな同じに見える」その発想は無かったわ(笑)
 
 
 

●アニメ化を発表するタイミング

五等分の花嫁(4) (講談社コミックス)

――アニメ化決定の発表ってどのタイミングで行われるものなんですか?


古川:
アニメ化の発表というのは、1つの宣伝行為です。


特に決まりはありませんが、その時が最もバズるタイミングなので、アニメ化プロジェクトの中で「ここを盛り上げたい」「バズらせたい」というタイミングを編集部と二人三脚で練りに練って、戦略的に行います。


――最近の発表の傾向というものはあるんでしょうか。


古川:
「制作会社が決まりました」とか「キービジュアルが上がりました」といった情報を小出しにしていくより、映像と共に多くの情報を一気に出していく「垂直立ち上げ」が最近のトレンドだと思います。


作品数が多いこともあり、ファンの皆さんも小出しの情報を追うよりもストレスなく一気に情報を得たい、というニーズが高まっている印象があります。

 
 解る。掲載誌で「●●のアニメ化が決定! でもその他の細かいことは何一つ発表できないよ」とかいうの、ムカつくわ。
 
 
 

●原作サイドとアニメスタッフの調整は誰が行う?

五等分の花嫁(5) (講談社コミックス)

――「編集部と二人三脚で」というお話ですが、アニメ制作陣と原作側との調整は編集部が行うんですか? アニメでは大きくキャラデザインが変わったりすることもありますが……


古川:
調整は基本的にライツ事業部が行います。
アニメスタッフもクリエイターなので、アニメ側が映像で表現したいことと、著者が求める映像の方向性が異なる場合があり、それをうまく擦り合わせるのもライツの仕事の一つです。


例えば、アニメのキャラデザインで言うと、漫画の1枚絵で成立する絵とアニメで動かすための絵は本質的に異なる作り方をします。


その差異を理解した上で、原作の魅力を可能な限り良いカタチで表現する、というのがベストなアニメ化だと言えます。そのためには原作側とアニメ制作陣のスムーズな意志疎通が重要なので、お互いが忌憚なく会話できる環境づくりというのもライツの大切な仕事の一つになります。

 
 調整って出版社が行うんだ。アニメスタッフの偉い人が原作者に話に行くんだと思ってた。
 
 
 

●原作ファンが応援のために出来る事

五等分の花嫁(6) (講談社コミックス)

――私たちファンや読者が自分の好きな作品のアニメ化をお手伝い、後押しすることはできるのでしょうか?


古川:
好きな作品について、どんどんソーシャルメディアに投稿していただきたいです。
感想とかコメントとか、「好きだ!」という想いとか、どんどん投稿してほしいです。


先ほどお話ししたように、出資社を募る際、私たちライツ事業部は営業を行っています。その際に、作品にとってプラスになる情報が「視覚化されている」ということはけっこう重要なんです。


例えば、アニメ化したい作品の原作本の棚が書店で作られていると、わたしたちはそれを写真に撮って、「いま、この作品はこれだけすごいんですよ」と見せることができます。


同じように、ソーシャルメディアでの投稿があれば「これだけ情熱を持ってもらえている、ファン層が厚い作品なんですよ」「反響があるんですよ」とお伝えできます。


私たちは作品に関するソーシャルメディアの投稿を細かく見ていますし、それを読んで自分たちの力にしています。それを持って営業にも行ける。「好き」ということをどんどん表現していただき、一緒にアニメ化に繋げる仲間になっていただきたいと思います。

 
 へー、ツイッターに書くだけで助けになるんだ……、良い事聞いた(というか読んだ)。
 
 
 とまあ、アニメ制作の裏側というか、原作物をアニメ化するとき、出版社側がどう動いているのか、が良く解る良記事でした。ためになりましたね。
 
 
 
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