【歴史】感想:歴史番組(新番組)「ダークサイドミステリーE+」2022年版「なぜ人は陰謀論にハマるのか? ~ケネディ暗殺からQアノンまで~」(2022年4月5日(火)放送)

ビジュアルストーリー 世界の陰謀論

ダークサイドミステリーE+ NHK https://www.nhk.jp/p/ts/ZG5NQK3K3P/
放送 NHK Eテレ。毎週火曜夜10時45分~11時15分放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

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驚きと感動の「闇」が、地上波に登場!


BSプレミアムでシーズン4が4月14日(木)スタートする話題の番組「ダークサイドミステリー」。その名作の数々が、コンパクト30分版に見やすくなってEテレに登場!


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!


ナビゲーター・栗山千明、語り・中田譲治、テーマ音楽・志方あきこのダークなトライアングルで迫ります。

 

なぜ人は陰謀論にハマるのか? ~ケネディ暗殺からQアノンまで~ (2022年4月5日(火)放送)

 

内容

ダークサイドミステリーE+[新] なぜ人は陰謀論にハマるのか?Qアノン・ケネディ
[Eテレ] 2022年04月05日 午後10:45 ~ 午後11:15 (30分)


今話題の陰謀論、役に立つ基礎知識をバッチリ紹介!ケネディ暗殺、911同時多発テロ、Qアノン、ハト型監視ドローンまで!BSプレミアム版をコンパクトに地上波で!


あなたの知らない社会と人間の闇に迫る!BSプレミアム話題の番組がコンパクトに見やすくなってEテレに登場!闇の巨大組織が世界を支配し悪事を仕掛けている!というウワサ「陰謀論」の基礎知識をバッチリ紹介。発信源20世紀アメリ陰謀論の歴史をひも解き、なぜ人は陰謀論にハマるのか?抜け出すにはどうすれば?に迫る。ケネディ暗殺陰謀説、911同時多発テロ陰謀論、Qアノン、そしてハト型監視ドローンまで、総登場!


【出演】栗山千明,【語り】中田譲治

 今回は「2021年9月2日放送分」のダイジェスト版。
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【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン3(2021年版)「なぜ人は陰謀論にハマるのか? ~イルミナティからQアノンまで250年~」(2021年9月2日(木)放送)
https://perry-r.hatenablog.com/entry/2021/09/19/004720

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 今回のテーマは「陰謀論」。


●Qアノン

 2020年。アメリカでは陰謀論を信じる「Qアノン」という人たちが有名となった。彼らは民主党が陰謀を企んでおり、共和党トランプ大統領が光の救世主だと主張するなどしている。

 「Q」とは2017年頃からネットで陰謀論を発信し続ける謎の人物の事で、「アノン」とは「匿名」という意味の単語「アノニマス」の省略形。彼らはこの世は陰謀だらけと主張し、それらを関連付けた巨大な構成図「Q-Web」を信じている。そして彼らは陰謀の中心には「ニューワールドオーダー」という勢力がいると考えている。



陰謀論へのハマり方

 人はどうやって陰謀論にハマっていくのか。アメリカ9.11テロを例にとってみると、


(1)社会で不思議な/理不尽な出来事が起きる

 飛行機が高層ビルに突入し、ビルが跡形もなく崩壊してしまう。


(2)「定説」に疑問を感じる

 最初は公式発表に納得するが、知り合いから「貿易センタービルの崩壊の仕方は、爆弾による制御破壊だ。その証拠にテロの直前に怪しい連中がビルの内部に入り込んでいた、とネットに書いてあった」と聞かされる。


(3)「巨大な組織の陰謀」で筋が通る

 「そんな大規模な陰謀が有ったのなら、どうしてマスコミは取り上げないのか?」という疑問に、「陰謀は政府の仕業で、政府がマスコミにも圧力をかけているから」と言われて腑に落ちてしまう。


(4)同じような怪しい情報が集まる

 国防総省の建物に旅客機が激突したという件についても、「本当は巡航ミサイルが命中した、とネットに書いてあった」と言われ、陰謀があるという確信が深まっていく。



ケネディ暗殺事件の裏に陰謀が!?

 アメリカの陰謀論の中でも最も有名なのが「ケネディ大統領暗殺」である。

 1963年11月22日にケネディ大統領が暗殺され、逮捕された犯人のオズワルドもすぐに別人に殺されてしまった。アメリカ国民は不安に陥り「何故ケネディは殺されたのか? 何故オズワルドは殺されたのか?」と答えを探し求めた。

 12年後の1975年に暗殺の様子を撮影した「ザプルーダー・フィルム」がテレビで放映された。視聴者は「撃たれたのは後ろからという話だったが、映像を見ると前から撃たれているのでは?」とか「晴れの日に傘をさしている人物がいるが狙撃の目印だったのでは?」とか「妙に近くから撮影している人物がいるが狙撃犯の仲間なのでは?」とか、いろいろ想像し「政府の発表はおかしい。これは政府の陰謀だ!」と考えるようになった。

 実際、1971年のトンキン湾事件アメリカ軍がベトナムに攻撃されたと主張したが実はウソだった)、1972年のウォーターゲート事件ニクソン大統領が盗聴事件に関与した)などが次々と発生し、国民は政府を信用しなくなっていた。

 そして、以後アメリカ国民は、

「アポロ宇宙船は月に行っていない!」
エリア51には宇宙人が隠されている!」
「ハープ(HAARP)は秘密兵器だ」
アメリカにいるハトは全てCIAが作った監視用ロボット≪ハトボット≫だ」
といった陰謀論を信じ込むようになってしまった。



●ネット時代の陰謀論

 さらに21世紀に入りインターネット時代が来ると、個人で陰謀論が発信しやすくなり、陰謀論が暴走していった。そんな中の一つが 2016年の「ピザゲート陰謀論」。

 当時の民主党の大統領候補ヒラリー・クリントンの側近ジョン・ポデスタの私用メールが流出したが、その中に「ピザ」という単語がいくつも使われていた。そして誰かが「ホットドッグ=少年」「ピザ=少女」「チーズ=幼女」と置き換えて読むように示唆。すると、この一連のメールは、少女人身売買を意味しているメールということになってしまった。

 さらに、陰謀論者たちは、過去2008年に、ワシントンにあるピザレストラン「コメット・ピンポン」が、オバマ大統領の政治資金調達パーティーを開く、というメールを出していることを発見した。そして「ピザ」の店「コメット・ピンポン」こそ、少女人身売買の拠点だと騒ぎだし、地下には少女たちが監禁されていると信じ込んでしまった。その挙句、2016年12月4日には、これを真に受けた男が銃を持って店に押し入ったが、もちろん人身売買とは全く関係なく、そもそも店には地下室すらないというオチだった。


 専門家はこういう群衆(クラウド)が、思想も何も無く、適当に作り上げる陰謀論を「クラウド陰謀論」と名付けている。



●そしてQアノンへ

 2017年10月。ネットに「Qクリアランス(機密文書へのアクセス権がある)の愛国者」と名乗る人物が、様々な陰謀論を書き込み始めた。そしてその書き込みを信じた「Qアノン」たちは、「闇の政府ディープ・ステートが政府を支配している」「ドナルド・トランプはその勢力と戦う光の救世主」だと信じ込んだのである。

 世の中に出回る「フェイクニュース」は結構アメリカ外で作られているが、そういう記事の製作者たちは、アメリカ人があまりにもあり得ないニュースでも簡単に信じるのでアメリカ人はバカだと思っているという。



●身近な陰謀論

 調査によると、80パーセントの人はフェイクニュースの真偽を見抜けないと言う。自分もまた騙されていないか注意する必要がある。

 身近な人物が陰謀論にハマったらどうすれば良いのか。真っ向から否定するのは逆効果。親が娘の付き合っている悪い恋人を否定するような物で、そうすれば娘はますます意固地になって反発するだけ。同様に陰謀論を正面から否定しても効果なし。理解を示しつつ、自分で考えて確かめるように諭してあげること。


感想

 2019年からBSプレミアムで放送している歴史ミステリー番組「ダークサイドミステリー」(一時間番組)を編集した地上波版がスタート。司会者とゲストの識者とのトーク部分をばっさりカットしたり、その他の内容を色々カットすることでスリム化して30分にまとめています。

 初回のお題は陰謀論ネタ。昔は陰謀論は「ケネディ暗殺はCIAの陰謀だ」とか「エリア51では宇宙人技術由来のUFOが作られている」とかいう、無邪気に喜んでいられるような物しか無かったのですが、最近は「コロナワクチンを注射すると5Gを受信できてしまうので、ワクチン注射阻止を企む」とかいう迷惑な物が流行り始めているので、ホントこういう陰謀論否定番組は何度でも放送してほしいですよね。


 しかし「ハトボット」って(笑) アメリカ人は想像力がたくましすぎ(笑)
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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