【歴史】感想:歴史番組「ダークサイドミステリー」シーズン3(2021年版)「なぜ人は陰謀論にハマるのか? ~イルミナティからQアノンまで250年~」(2021年9月2日(木)放送)

ビジュアルストーリー 世界の陰謀論

ダークサイドミステリー NHK https://www.nhk.jp/p/darkside/ts/4847XJM6K8/
放送 NHK BSプレミアム。毎週木曜夜9時放送。

www.nhk.jp
【※以下ネタバレ】
 

他の回の内容・感想

perry-r.hatenablog.com
 

本当の謎は、人間の闇


背筋がゾワゾワ、心がドキドキ、怖いからこそ見たくなる。世界はそんなミステリーに満ちている。世間を揺るがした未解決の事件、常識を越えた自然の脅威、いにしえの不思議な伝説、怪しい歴史の記録、作家の驚異の創造力…。こうした事件・出来事を徹底再検証!
人智を超えた謎に迫る「幻解!超常ファイル」を拡大スピンオフ!今度は人間や自然が生み出した謎と恐怖に満ちた事件・伝説の正体に、栗山千明志方あきこ中田譲治のダークなトライアングルで引き続き迫ります。

 

なぜ人は陰謀論にハマるのか? ~イルミナティからQアノンまで250年~ (2021年9月9日(木)放送)

 

内容

ダークサイドミステリー「なぜ人は陰謀論にハマるのか?イルミナティアメリカ」
[BSプレミアム] 2021年09月02日 午後9:00 ~ 午後10:00 (60分)


世間を騒がす陰謀論とはそもそも何か?なぜ発生しなぜハマるのか?発信源アメリカの陰謀論を250年前から捉え直し、私たちの社会に影響を与える、危険なワナを検証する。


今、闇の巨大組織が世界を支配しようと私たちに悪事を仕掛けている!という架空のウワサを信じ込む「陰謀論」。その発信源アメリカ合衆国陰謀論250年の歴史をひも解き、なぜ人は陰謀論にハマるのか?陰謀論から抜け出すにはどうすれば?を紹介する。アメリカ建国時代の「イルミナティ陰謀論」からケネディ暗殺陰謀説、911同時多発テロ陰謀論、Qアノン、そしてハト型監視ドローンまで、その変化と発生の仕組みを徹底検証!


【ナビゲーター】栗山千明,【ゲスト】辻隆太朗,森本あんり,【語り】中田譲治,【司会】青井実

 
 今回のテーマは「陰謀論」。


●Qアノン

 2020年。アメリカでは陰謀論を信じる「Qアノン」という人たちが有名となった。「Q」とは2017年頃からネットで陰謀論を発信し続ける謎の人物の事。「アノン」とは「匿名」という意味の単語「アノニマス」の省略形。彼らはこの世は陰謀だらけと主張し、それらを関連付けた巨大な構成図「Q-Web」を信じている。そして彼らは陰謀の中心には「ニューワールドオーダー」という勢力がいると考えている。


陰謀論のハマり方

 人はどうやって陰謀論にハマっていくのか。アメリカ9.11テロを例にとり考える。

(1)社会で不思議な/理不尽な出来事が起きる

 飛行機が高層ビルに突入し、ビルが跡形もなく崩壊してしまう。


(2)「定説」に疑問を感じる

 最初は公式発表に納得するが、知り合いから「あのビルの崩壊の仕方は、爆弾による破壊だ。その証拠にテロの直前に怪しい連中がビルの内部に入り込んでいた」という話を聞かされる。


(3)「巨大な組織の陰謀」で筋が通る

 「そんな大規模な陰謀が有ったのなら、どうしてマスコミは取り上げないのか?」という疑問に、「それは政府の陰謀で、マスコミにも圧力をかけているから」と言われて腑に落ちてしまう。


(4)同じような怪しい情報が集まる

 他のハイジャックされて墜落した飛行機の破片が広範囲に散らばっているのは何故か? それは墜落したのではなく政府がミサイルで撃ち落としたからだ。云々というように、あやふやな証拠も積み重なれば陰謀があるという確信が深まっていく。


 こういう風な陰謀論が絡み合ってコントロール不可能になった状態を「超陰謀論」という。


●250年前の陰謀論

 実はアメリカの陰謀論の歴史は古く、アメリカ独立(1776年)にまで遡ることができる。

 アメリカが独立し1787年憲法が制定されると、「連邦派:13州を憲法で束ねた中央集権を主張」「反連邦派:13州の独立した自治を尊重」という二派にわかれて争いが起きた。連邦派の地理学者・牧師のジェディディア・モールスは、「秘密結社イルミナティのメンバーがアメリカに入り込み、憲法を破壊しようとしている」と主張した。

 イルミナティとは、1776年にドイツ・バイエルンで誕生した組織で、神への信仰や国王への忠誠を否定した、一種の啓蒙組織だったが、それゆえに危険思想と見なされていた。

 しかし、モールスがイルミナティ陰謀論を主張する6年前にはイルミナティは解散していた。モールスは人々から陰謀の証拠を出せと言われて「あまりにも多すぎて出しようがない」と答えたという。


●20世紀の陰謀論

 時は流れ、テレビの発達が陰謀論の広まる形を変えた。

 1963年のケネディ大統領暗殺に関して、1975年に暗殺の様子を撮影した「ザプルーダー・フィルム」がテレビで放映された。視聴者は「撃たれたのは後ろからという話だったが前から撃たれているのでは?」とか「晴れの日に傘をさしている人物がいるが狙撃の目印だったのでは?」とか「妙に近くから撮影している人物がいるが狙撃犯の仲間なのでは?」とか、いろいろ想像し、「政府の発表はおかしい。これは政府の陰謀だ!」と考えるようになった。

 実際、1971年のトンキン湾事件アメリカ軍がベトナムに攻撃されたと主張したが実はウソだった)、1972年のウォーターゲート事件ニクソン大統領が盗聴事件に関与した)などが次々と発生し、国民は政府を信用しなくなっていた。

 そして、以後「アポロ宇宙船は月に行っていない」とか「エリア51には宇宙人が隠されている」とか「ハープHAARPは秘密兵器だ」とかいう陰謀論が次から次から現れた、そんな中には「アメリカにいるハトは全てCIAが作った監視用ロボット≪ハトボット≫だ」という荒唐無稽な物すらある。

 さらに21世紀に入りインターネット時代が来ると、個人で陰謀論が発信しやすくなり「9.11は政府の陰謀だ」というサイトが山のように現れた。


●暴走する陰謀論

 2016年には「ピザゲート陰謀論」がネットで話題となった。当時の大統領候補ヒラリー・クリントンの側近ジョン・ポデスタの私用メールが流出したが、その中に「ピザ」という単語がいくつも使われていた。そして誰かが「ホットドッグ=少年」「ピザ=少女」「チース=幼女」の事だと書き込んだ。すると、このメールは少女人身売買を意味しているメール、ということになってしまったのである。

 さらに、陰謀論者たちは、過去2008年に、ワシントンにあるピザレストラン「コメット・ピンポン」が、オバマ大統領の政治資金調達パーティーを開く、というメールを出していることを発見した。そして「ピザ」の店「コメット・ピンポン」こそ、少女人身売買の拠点だと騒ぎだし、地下には少女たちが監禁されていると主張した。2016年12月4日には、これを真に受けた男が銃を持って店に押し入ったが、もちろん人身売買とは全く関係なく、そもそも地下室すらなかった。


●最新陰謀論

 2017年10月。ネットに「Qクリアランス(機密文書へのアクセス権がある)の愛国者」と名乗る人物が、様々な陰謀論を書き込み始めた。そしてその書き込みを信じた「Qアノン」たちは、闇の政府ディープ・ステートが政府を支配しており、ドナルド・トランプはその勢力と戦う光の救世主だと信じ込んだのである。

 世の中に出回る「フェイクニュース」は結構アメリカ外で作られているが、そういう記事の製作者たちは、アメリカ人があまりにもあり得ないニュースでも簡単に信じるのでアメリカ人はバカだと思っているそうである。


●身近に人が陰謀論にハマったら

 身近な人物が陰謀論にハマったらどうすれば良いのか。

 真っ向から否定するのは逆効果。親が娘の付き合っている悪い恋人を否定するような物で、ますます意固地になって反発するだけ。陰謀論にハマっていると、ある特定の自分が見たい情報しか見なくなるので、そういう環境にしないようにして、複数の情報に接することが出来るようにすること。


感想

 今回のテーマは、おなじみの陰謀論。最近はコロナワクチン絡みでも陰謀論が盛んですが、さすがにそこまで踏み込むのは身近すぎてヤバいと思ったのか、アメリカで大流行のQアノンをネタに番組を組み立てていました。

 冒頭でナビゲーターの「黒い栗山千明」が「今頃陰謀論にハマった? 250年遅い!」と一括したのには笑ったなぁ(笑)
 
 

光と闇のナビゲーター 栗山千明
MC 青井実 (アナウンサー)
語り 中田譲治
テーマ音楽 志方あきこ

 
 

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