【ゲームブック】感想：ゲームブック「火吹山の魔法使いふたたび」（イアン・リビングストン／2021年）【クリア】

Return to Firetop Mountain (Fighting Fantasy S.)

http://www.amazon.co.jp/dp/4815606951
ファイティング・ファンタジー・コレクション ~火吹山の魔法使いふたたび単行本（ソフトカバー） 2021/7/16
安田均とグループSNE (著)
出版社:SBクリエイティブ (2021/7/16)
発売日:2021/7/16
単行本（ソフトカバー）:1416ページ

★★【※以下ネタバレ】★★
　
　

火吹山の魔法使いふたたび
初代「火吹山の魔法使い」の続編でありながら日本語での展開がなかった幻の名編。今回が初邦訳となる。たんなる迷宮探索ではなく、風雲急を告げる中、火吹き山に至る過程までも含め、全編にわたる冒険が緊迫感を持って描かれる。

　
　昨年2021年7月に発売されたゲームブック5冊詰め合わせセット「ファイティング・ファンタジー・コレクション～火吹山の魔法使いふたたび～」
↓

ファイティング・ファンタジー・コレクション～火吹山の魔法使いふたたび～ | SBクリエイティブ
 https://www.sbcr.jp/product/4815606954/

www.sbcr.jp
　
　の中の一冊「火吹山の魔法使いふたたび」（イアン・リビングストン／本国イギリスでは1992年発売）をクリアしたので感想をば。

概要

　「ファイティング・ファンタジー（FF）・シリーズ」50作目。FFシリーズ一作目である「火吹山の魔法使い」の10年後を描いた続編。

あらすじ

　「火吹山の魔法使い」として悪名高かった魔術師ザゴールが死んでから十年が経った。しかしザゴールは、魔法の力で死から蘇り、完全復活のために人間の肉体を求めているらしい。火吹山近傍の村を訪れた傭兵の君は、村人たちから蘇りつつあるザゴールを倒すように懇願され、火吹山へと向かった。君は火吹山の迷宮を突破し、ザゴールを倒す事が出来るか？！

ゲームシステムなど

　パラグラフ数は400。ファイティング・ファンタジー・シリーズ共通の「サイコロを振ってキャラクターの３つの能力（技術点・体力点・運点）を決定」、「必要に応じてサイコロで判定を行い、戦闘や運試しなどを行う」というシステム。

　特別ルールは無し。

感想

　評価は○（そこそこには面白かった）。

　FFシリーズの伝説的な一作目「火吹山の魔法使い」の続編。本作はジャクソンは参加せず、リビングストン単独の執筆のためか、一作目とは結構ノリが違いましたが、まあ、それでもそれなりには面白かったです。

　一作目は、いきなりパラグラフ１から迷宮探索が始まりましたが、本作は「まず魔術師ヤズトロモを探し出し迷宮攻略のヒントを聞き」、「しかるのちに火吹山の迷宮を攻略する」という二部構成となっており、一冊で二度美味しい構成になっていました。

　ヤズトロモに会いに行く途中も、情報をもらってから火吹山に向かう道中でも、とにかく次から次へと危機が襲い掛かってくるので、迷宮探索オンリーだった一作目とは別物ではあるものの、これはこれで面白くはありました。

　また火吹山の迷宮の攻略に取り掛かると、迷宮の構成が一作目と同じになっており、懐かしいやら、「あの迷宮のあの場所が10年経つとこんなになってしまったのか……」と妙に感慨にふけったりできたり、で、この辺りは一作目をプレイした人間に対するボーナスのような感覚がありましたね。

　しかし、本作は、良いことばかりでは無く、ゲームブックとしてイマイチな点もやたら目立ちました。

　まずアイテムが多すぎる。主人公は火吹山に行く前に十二種類のアイテムの中から五点を選び持って行くことができますが、この時の選択が誤っていれば、のちのち詰みになってしまいクリア不可能になります。また屋外の冒険や迷宮探索の途中でも、イベント毎にやたらとアイテムが手に入るのですが、それらは後で役立つ物もありますが、全然必要のない物もあります。

　「アイテムには、役立つ物もあれば外れもある」という発想は解るのですが、あまりにもアイテム数が多すぎて、途中でメモするのが嫌になりました……

　また、迷宮が単調過ぎて、なおかつ短すぎ。迷宮に入ってすぐは、十年前と同じ構成の道筋であることにワクワクして、あの複雑な迷宮を再体験できるのかと思ったのですが、先に進んでいくと、進める方向がかなり制限されており、事実上の一本道になってしまい、しかも結構短いので、あっという間に復活したザゴールのいる場所までたどり着いてしまいました。これは拍子抜けでしたね。

　本作は一作目とは違いザゴールとの対戦がクライマックスのため、「ザゴールとの最終決戦の前にアイテムと情報を集めていないと勝てない」という作りになってはいますが、迷宮の正しい道（ほぼ一本道）を辿って来ればアイテムも情報も集まっているので、特に紆余曲折も無いまま話がサクッと終わってしまいます。

　一本道をやたらメモを取らされるだけのまま進んでいき、予定調和で勝利して〆、と、なんというか期待したほどには盛り上がらなかったです……

　FFシリーズ50作目という記念すべき作品ではありましたが、作品の質はそれほどでも無かったです。うーん、残念。
　
　