感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第71話(シーズン3 第18話)「ウィークポイント」

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【※以下ネタバレ】
 
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海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン3」あらすじ・感想まとめ
 

第71話 ウィークポイント Live Bait (シーズン3 第18話)

 

あらすじ

潜入中の二重スパイ、セルビイは、国家保安長官のケラマンに疑われる中、今度は彼の正体を知る工作員マルソーが捕まってしまい危機的状況に…。IMFメンバーは二人を救うため某国に潜入、ケラマンに揺さぶりをかける。


某国に潜入中の二重スパイ・セルビイは、そこの国家保安長官のケラマンに疑われる中、今度はセルビイの正体を知る工作員のマルソーがケラマンに捕まってしまう。マルソーが自白させられるのは時間の問題…。危機的状況にIMFメンバーは二人を救うため某国に潜入、ケラマンに揺さぶりをかける。

※DVD版のタイトルは「ウィークポイントをつけ!」。


【今回の指令】
 アメリカのスパイであるセルビー(Orin Selby)は、今は敵国の情報機関に潜入し幹部として活動中である。しかし、最近、敵国の国家保安局(Internal Security)の長官であるケラマン(Helmut Kellerman)が、セルビーを疑い始めた。さらに、セルビーの正体を知っているアメリカのスパイ・暗号名マルソー(Marceau)がケラマンに捕まってしまった。IMFはセルビーの安全を確保しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 某敵国


【作戦】
 情報機関の幹部のセルビーと国家保安局の長官のケラマン大佐は犬猿の仲で、ケラマンがセルビーにつけているブロック少尉は実はケラマンの送り込んだスパイである。セルビーは、捕まったスパイのマルソーは情報機関が取り調べるのが筋だと主張するが、ケラマン大佐は取り合わない。怒ったふりをしたセルビーは、第三の組織である「OGU」に苦情を申し立て、OGUの人間だと言ってローランがやって来る。(もちろんセルビーはローランが味方だと知っている)。

 セルビーはローランに対し、ケラマン大佐はアメリカの二重スパイだと申し立てるが、ケラマン大佐もローランにセルビーこそスパイだと主張する。そしてケラマン大佐は、セルビーがスパイだという確証をつかむため、部下のブロック少尉をおとりに使おうと提案する。アメリカのスパイがブロック少尉からマルソー救出のための情報を得るため近づいてくるだろうから、それを逆に捕まえてやると言う。

 IMFは、ブロック少尉にはシナモンが接近し、またブロック少尉の恋人・ステファニーはフェルプスが誘拐する。そしてフェルプスたちは、編集した偽映像でフェルプス(=アメリカのスパイ)とケラマン大佐がつながっていて、ブロック少尉は使い捨てにするつもりだ、というシーンを見せる。そのあとわざとステファニーを逃がす。ケラマン大佐たちは、フェルプスたちの動きを見て、アメリカのスパイが罠にかかったと喜ぶ。

 ブロック少尉はステファニーからの話を聞き、ケラマン大佐こそアメリカのスパイだと信じ込み、対立するセルビーにそのことを教えるが、セルビーは「ブロックのいう事など信用できない」と突き放す。進退窮まったブロック少尉は、ステファニーと国外に逃げようとするが、ケラマン大佐たちに捕まってしまう。ケラマンは狙い通りブロックはアメリカのスパイに取り込まれたと信じ込み、裏切り者は処刑すると言う。

 やがてローランが国家保安局の建物に睡眠ガスを流して、ケラマン大佐たちを眠らせ、その隙にIMFは捕まっていたマルソーを助け出す。次にIMFは眠っているケラマン大佐をマルソーが捕まっていた部屋に連れて行き、最後にローランがブロック少尉を起こす。ブロック少尉はマルソーが逃げ出していて、部屋にはケラマン大佐がいるのを見て、ケラマン大佐=アメリカのスパイだと確信する。

 ローランは、ブロック少尉に、セルビーに上手くとりなしてやるので、今回の件は全て忘れろ、と指示する。ブロック少尉は了解し、ケラマン大佐を撃ち殺してしまう。最後にIMFがマルソーを連れて車で逃走するシーンで〆。


監督: スチュアート・ハグマン
脚本: ジェームズ・D・ブキャナン&ロナルド・オースティン&マイケル・アダムス(原案: マイケル・アダムス)


感想

 評価は◎。

 スパイ大作戦のエピソードの特徴は、複雑な仕掛けで相手を見事に騙すという点にあるが、今回のエピソードはそういった話の中でも複雑さにおいて最高レベルの、極めて難解な回だった。

 基本的には、IMFがメインターゲットのケラマン大佐を引っ掛けようと工作を行うのだが、敵側のケラマン大佐もまたアメリカのスパイを罠にかけようとして策略を張り巡らせており、両者の計略が複雑に絡み合う、気合を入れて視聴しないと混乱してくる展開となっている。そのため、視聴しながら、こんな難解な話をよく思いつくものだと心底感心してしまった。まあ、だからこそ、今回はシナリオライターが三人も必要だったのかもしれない。

 サブタイトルの「ウイークポイント」とは、ケラマン大佐の部下ブロック少尉の事。ケラマン大佐はブロック少尉こそが関係者の中で最も脆弱な弱点だと認識しており、そしてそれを逆手にとってアメリカのスパイがブロックを攻めてきたところを捕まえよう、としている。しかし、IMFはローランがケラマン大佐のそういう計略を一から十まで全部聞いて把握しており、罠を知ったうえでなおかつ罠にかかったふりをする、という高度な騙し合いが展開され、見ていてワクワクさせられた。

 途中、ローランとケラマン大佐の会話シーンをバーニーが撮影し、上手く編集して、フェルプス(アメリカのスパイ)とケラマン大佐の会話シーンに作り変え、最後にステファニーに見せる、という計略のシーンについ笑ってしまった。この手のシーンの場合、えてしてローランが関係者に変装して撮影する、という手が使われるが、フイルム編集という手口はそれはそれで何か偽装工作ぽくて、つい嬉しくなってしまった。

 最後、二転三転する状況の末に、ブロック少尉が恨み骨髄のケラマン大佐を射殺する展開は、IMFの計略でお馴染みの「敵に仲間割れさせて、敵自身に手を汚させる」というパターンが炸裂しており、相も変わらずIMFのやり口はえげつないとしみじみさせられた。

 という事で、今回はもう大満足としか言いようがないエピソードだった。


 ところで、劇中に登場したブロック少尉を演じたのはなんとマーティン・シーン。撮影当時29歳くらいのはずだが、やたら若く見えて驚いた。渋い親父のイメージが強い俳優だが、若いころは物凄い童顔だったみたいである。

 今回のサブタイトルの原題「Live Bait」とは「生餌」の意味。つまり劇中でのブロック少尉の事である。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが屋外にある望遠鏡の横の扉を開けると、オープンリール式テープレコーダーが現れる。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、望遠鏡をのぞくと、指令内容に合わせて、望遠鏡内に関係者の顔写真が映し出される。指令は最後に「なおこの録音は自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。(※第29話(シーズン2の第1話)「強欲の代償」のシーンの使いまわし)


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。この男はセルビーといって、敵国情報機関の高級メンバーになりすましたわが国の諜報員である。ところが最近、その国の国家保安長官ケラマンがセルビーに対して疑惑を抱き始めたところへもってきて、セルビーの正体を知っているマルソーという工作員がケラマンに捕まってしまったのだ。

 そこで君の使命だが、ケラマンの追求を排除し、セルビーの安全を確保することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

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