ゲーム感想「逆転裁判2(DS版)」

■タイトル等

・タイトル =逆転裁判2 Best Price!
・メーカー =CAPCOM
・機種   =ニンテンドーDS
・ジャンル =アドベンチャー
・発売日  =2006年10月26日
・プレイ時間=23時間15分


■簡単紹介

 証人のウソ発言を打ち砕き、依頼人の無罪を勝ち取れ! 「法廷バトル」という新ジャンルを確立した人気推理アドベンチャーの第二弾。


■ゲーム豆知識

・2002年にゲームボーイアドバンスで発売されたタイトル「逆転裁判2」をニンテンドーDSに移植した作品。
・ゲーム内容に変更は無い。


■粗筋

 前作から1年が経ち、主人公の弁護士「成歩堂 龍一(なるほどう・りゅういち)」もそこそこ名前が知られるようになってきていた。しかし相変わらず彼のところに来る依頼人は誰も彼も絶対絶命の状況に陥っている人ばかり。成歩堂は毎回ギリギリの状況に追い込まれながらも、常に依頼人の無実を信じて法廷で戦うのだった。


■紹介

1.概要

 推理アドベンチャーゲームに法廷バトルの要素を組み込んだ人気ゲームの続編です。あらかじめ事件の物的証拠や証言を集めておき、いざ法廷の場では裁判長・検事・証人にそれらを叩き付け、ウソ証言を打ち砕き、唯一絶対の真実にたどり着き、依頼人の無罪を勝ち取るのです。勝利の瞬間の爽快感がたまらない作品です。


2.ゲームシステム

 基本的に第一作目と変化は有りません。

 ゲームは全4話で、いずれも『[探偵パート]→[法廷パート]』の組み合わせで構成されています。短いシナリオならばこの組み合わせは一回だけ、長いシナリオになると複数回の繰り返し、ということになります。


 探偵パートは、証拠集めのためのパートで、事件に関係する証拠・証言を集め、続く法廷パートに備えます。全てのフラグを立て終わると自動的に法廷パートに移行します。逆にいえば、証拠が全て揃わな無い限り次の法廷パートに行くことは無いので、証拠の集めモレでハマリに陥ってしまう、ということはありません。なお「2」での新要素として証言集めに「サイコ・ロック」というシステムが追加されています(後述します)。


 法廷パートはこの作品の目玉といえる部分です。法廷を舞台に、探偵パートで集めた証拠を武器に、検事が用意した証人と対峙し、その発言を切り崩していきます。証人の発言には基本的にウソが含まれているので、手持ちの証拠と証言を照らし合わせ、矛盾を見つけ出し、その部分に対し「つきつける」コマンドを使って証拠を組み合わせます。

 もし矛盾を正しく指摘し裁判長に納得させることができれば、「この証言/証人は信用できない」となり、裁判の流れが少しだけ有利な方へ傾きます。これを繰り返す事で、当初圧倒的に不利だった状況を覆し、最後の逆転勝利を掴むのです。ただし、逆に間違った指摘をすれば、裁判長は呆れて得点(メーター)を減らしてしまいます。もし、得点を全て使い切ればゲームオーバーになってしまうので、矛盾の指摘は当て推量ではなく、きちんとした根拠を元に行わなければなりません。


 「サイコ・ロック(心理錠)」は2作目に追加された要素で、証言集めに関係するシステムです。成歩堂はある理由から人が隠し事をしているのを見抜く事が出来るようになっており、その隠し事が錠の形で表示されます。相手の問いかけに対し、手持ちの証拠から正しい物を選んで突きつければ錠は少しずつ解除されてゆきます。それを繰り返し全ての錠を解除する事が出来れば、証人は今まで隠していた真実を語ってくれます。法廷パートでの証人喚問を探偵パートに応用した物です。


3.ストーリー

 全4話。第1話はシステムに慣れる為の練習用シナリオなので、事実上は全3話といえるでしょう。いずれもギリギリまで追い詰められた依頼人を救うため成歩堂が大活躍します。

 でもキャラクターたちが大抵「変な口調」「大げさな身振り」「派手な服装」なので誤魔化されている感も有りますが、シナリオの中身自体は人間のドロドロとしたものを見せ付けられる、かなり暗い話ばかりだったりします(プレイしていて憂鬱に成ったりはしませんけどね)。


■ゲーム感想

(1)まずは良い所

 第一作目と同じく、法廷パートの緊張感がたまりません。証言の矛盾を見つけ出して突きつけ、裁判長たちが「何! それでは今まで●●と思われていたことは、実は■■ではありませんか!?」と驚愕し、音楽がいきなりアップテンポになり、裁判の流れがはっきりと変わるあの瞬間の鳥肌が立つような感覚は健在です。

 成歩堂自身、「依頼人は無実である」という確信だけが頼りで、事件の全貌を掴んでおらず、勝利への見通しがあるわけではないのに、さらに検事が召喚した証人の爆弾発言や予想もしない証拠の前に、それこそ絶体絶命のピンチに追い込まれます。

 しかし希望を捨てず、「真実を見つけ依頼人を救う」というその一念で証言と証拠にくらいつき、たまには(というかいつも)ハッタリで裁判長と検事に対抗して裁判の流れを変え、最後の最後に誰もが(成歩堂自身も)驚くような真相に辿り付く、というジェットコースター的な法廷闘争はもうプレイしていて痛快の一言です。

 その辺りの一作目の良さは全く失われておらず嬉しい限りでした。


(2)気になったところ

 「2」で成歩堂のライバル?となるのは「狩魔 冥(かるま・めい)」検事(18)。前作で登場した「狩魔 豪」検事の娘で、13歳で検事になってから不敗、法廷でムチを振り回して弁護士や裁判長をひっぱたく、成歩堂を憎んでおり勝利のためならどんな手でも使う、という強烈なキャラのはずなのですが・・・

 どうも1作目に出てきた先輩たちと比較してキャラが弱いというか、今ひとつパンチ力が無く、成歩堂を追い詰める、というところが弱かったと思いました。敵が弱ければ戦いもあまり燃えないわけで、法廷闘争も1作目と比較してもう一つ盛り上がりませんでした。

 また、シナリオのボリュームに差があり、4話目こそたっぷりなのですが、その分2,3話目が薄めでした。これが狩魔冥の迫力不足とあいまって、プレイしていて「面白いことは面白いが、話が薄いし、前作ほどでは・・・」という不満を抱かせました。

 また「2」から採用されたサイコ・ロックもあまり成功していたとは思えません。探偵パートに悪戯に時間を喰うようになっただけで、ゲームの面白さの向上にはさほど寄与したとは感じませんでした。


(3)最終的な感想

 最終的な感想を言えば「満足度として前作より僅かに劣る」というところでしょうか。キャラ立ての弱さ、サイコロック、という要素も有りますが、何よりシナリオが前作と比べてやや爽快さに欠けると感じました。「勝利してももう一つ素直に喜べない」という話ばかりだったような気がします。プレイしているときは夢中で気がつきませんでしたが、全てを終えてみると「1作目ほど気持ちよさが無かったな」としみじみ感じさせられました。そういう面が多少のマイナスとなりました。


■まとめ

 評価=(10点評価で)9点。

 前作と比較して評価は多少辛くはなりましたが、それでも推理物として超一級の出来栄えです。全く先が読めない波乱万丈疾風怒濤な展開がプレイしていて時の経つのを忘れさせてくれました。

 推理物好きのゲーマーならば絶対遊ぶべき傑作です。