感想:映画(アニメ)「マイマイ新子と千年の魔法」(2009年)


 2010年12/25(土)にWOWOWで放送した映画。

■「マイマイ新子と千年の魔法」公式サイト
http://www.mai-mai.jp/index.html

■概要

 芥川賞作家・郄樹のぶ子の自伝的小説「マイマイ新子(2004年)」のアニメ化作品。


■あらすじ

 昭和30年代頃の山口県防府市。小学三年生の新子は、祖父から聞いた千年前にこの地に有ったという平安時代の都の事をいつも想像して過ごしている。ある日、新子の学校に東京から島津貴伊子が転校してきた。貴伊子は東京とは全く違う環境に馴染めずにいたが、積極的な新子と友達になる内、町に溶け込んでいき・・・


■感想

 「ハイジ」みたいな感じの絵柄のキャラと、奇麗な背景で、新子たちの一夏の物語を描いています。大きなストーリーという物は無く、新子と貴伊子の出会いから始まって、新子たちがウイスキーボンボンで酔っ払ってみたり、みんなで小川をせき止めてダムを作ったり、防空壕を探検したり、といった、細かなエピソードをつなぎ合わせ、その合い間に、新子が空想した千年前の貴族のお姫様のエピソードをはさみこむ形で構成されています。基本的に子供たちの世界のお話ですが、ほんわかした話ばかりではなく、子供たちの世界に大人の世界の事情が割り込んでくる苦い展開も(多少)有ります。

 この作品は、公式サイトでは『切ない』とか表現されていますが、それは違う気がします。そういう「泣かせてくれる」というタイプの物語ではなく、「児童文学」という言葉からイメージする内容そのものです。元気で空想好きの少女とその友達たちが、自然の残る町で元気に遊びまわる姿を、奇麗な映像とグッとくる音楽で穏やかに描いています。

 正直、「ストーリーのダイナミックさに引き込まれた」とか「結末に号泣した」等の強烈なアピール点は無いため、どこが良いのか説明し辛く、「雰囲気が良い」としか言いようが無いのですが、見終わって「ああ、良いものを見せてもらいました」という満足感が漂う好作品でした。これは機会が有れば見てもらいたいですよ。全然期待していなかったのに大当たりでした。


★おまけ1

 このアニメは、タイトルが良くないのでは・・・、なんとなく「田舎物+”魔法”云々というタイトル」という事で、ジブリアニメの劣化コピーみたく思われて無視されているのではないかと心配になります(というか、私はすっかりそういうジャンルの物だと思い込んでスルーしてました)。もっとこの作品の中身をズバッと表すタイトルをつけるべきだったのでは・・・


★おまけ2

ま、まさか、マッドハウスの作画だったとは。