感想:映画「海底二万哩」(1954年:アメリカ)(2013年4月26日(金)放送)


 BSジャパンでの視聴です(放送:2013年4月26日(金) 20:00〜22:00)。
(※以下、結末まで書いてありますのでご注意ください)

■BSジャパン シネマ・アディクト 〜BSジャパン映画情報〜
http://www.bs-j.co.jp/cinema/d130426.html

>世界中の海で、軍艦や船の沈没事件が続発!一体、何者のしわざなのか・・・?
ジュール・ベルヌの傑作小説を映画化し、アカデミー賞2部門に輝いたSFアドベンチャー!(2ヶ国語放送)

>19世紀半ば、世界中の海で船の沈没事件が続発。航行中の船が謎の怪物に襲われるらしく、米国政府は調査艦を派遣することに。海洋学者アロナクス教授と助手コンセイユが調査団に加わり、銛打ちの名手ネッドも怪物を仕止めようと乗艦する。3カ月の調査が続いたが怪物は現われず、帰国を決意した夜、調査艦は怪物の体当りで沈没してしまう。博士、コンセイユ、ネッドの3人は漂流の末、巨大な潜水艦に辿りつくが・・・。


■概要

 ジュール・ベルヌの同名の超有名SF小説の映画化。ディズニー映画。原作の「海の生物に偽装した潜水艦」という姿を見事に実現したノーチラス号であまりにも有名。ストーリーは原作準拠ですが、結末は全く別物。ネッド・ランド(カーク・ダグラス)がやたらと活躍します。


■あらすじ

 1868年。海で「怪物」が船を襲って沈めていた。アメリカ政府は「怪物」が本当に存在するのか確認するため、軍艦を派遣することになり、船にはアロナクス教授、助手のコンセイユ、銛打ちネッド・ランドも乗り込んでいた。三ヶ月の調査でも怪物は見つからず、艦長は調査打ち切りを決めるが、まさにその日怪物が現われて船が襲われ、三人は海に放り出される。漂流していたアロナクスたちは、発見した「怪物」が実は超技術で作られた潜水艦だと知るが、船長ネモに捕まって捕虜となる。

 アロナクスは、ノーチラス号が人類の知らない「宇宙の真のエネルギー」で動いていること、またネモはそのエネルギーの秘密を求める某国に捕らえられ、彼の妻子は拷問で殺されたこと、などを知る。ネッドはノーチラス号の拠点が「バルケニア」という島だと知り、その島の位置の情報をビンに詰めて流す。

 この間に、「海底での狩り」「ニューギニアでの人食い人種の襲撃」、「巨大イカに襲われて嵐の海で大激闘」といった原作のエピソードが色々。

 実はネモはノーチラス号のエネルギーの秘密を公開しても良いと考えており、その使者にアロナクスを立てるつもりだった。しかしノーチラス号がバルケニアにたどり着いてみると、ネッドの情報を見た某国の軍艦が島を包囲していた。ネモは秘密を守るため島を爆破することにしたが、爆弾をセットした後、撃たれて大怪我をする。ネモはノーチラス号も自沈させることにしたが、ネッドは道連れを逃れるため大暴れしてアロナクス・コンセイユをつれてノーチラス号を逃げ出す。三人の前でバルケニアは大爆発を起こし、ノーチラス号も沈んでいった。終わり。


■感想

 1954年の映画ということで、もう何も期待しておらず、退屈しながら見るかと思ったのですが(昭和の日本の特撮映画を見ると大体そういう感じでしょ?)、これが意外に面白かったのです。さすがディズニー(?)、もしくはさすが「ミクロの決死圏」のリチャード・フライシャー(?)。

 途中までは原作に準拠しており、「人食い人種がノーチラスに迫る→電撃で撃退」とか「イカが船に絡み付いてきたので、乗員総出で攻撃」などの有名エピソードが使われています。さすがに小説全てを使うことはできないので「紅海地下トンネル」「アトランティス」「南極探検」etcは省かれていますが、少なくとも「原作と全然違う!!」と原作好きが暴れまわるものでは有りませんでした。

 そして、最大の改変は、原作ではあくまで背景設定の一つだった「ネモと敵対する某国」が話に積極的に絡んでくること。ノーチラス号は電気では無く、未知のエネルギーで動いていることになっており、某国はそれを狙っているという設定が、最後の展開に上手く結びついています。まあ21世紀感覚で見ると、最後に「バルケニアを舞台にしたネモたちと某国兵との大銃撃戦とか、ノーチラス号対某国艦隊の大海戦」が無いのは問題外でしょうが、少なくとも映画を見ている最中はそういう不満は抱きませんでした。

 劇中音楽のノリが「トムとジェリー」みたいだったのが50年以上前だなぁとか思ったりもしましたが、意外に面白かったですよ。あと、レトロっぽい趣向の水中服のデザインが今の目で見ても古くないのが凄いと思ったりいたしました。