感想：ビジネス本「ホビーパソコン興亡史国産パソコンシェア争奪30年の歴史」(前田尋之)(2014年9月発売)

　「ホビーパソコン興亡史国産パソコンシェア争奪30年の歴史」(前田尋之)の感想です。

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ホビーパソコン興亡史国産パソコンシェア争奪30年の歴史単行本（ソフトカバー） 2014/9/26
前田尋之 (著)
単行本（ソフトカバー）: 255ページ
出版社: オークラ出版 (2014/9/26)
言語: 日本語
ISBN-10: 4775523287
ISBN-13: 978-4775523285
発売日： 2014/9/26

●株式会社　オークラ出版 / ホビーパソコン興亡史　国産パソコンシェア争奪30年の歴史
http://www.oakla.com/www.oakla.com/products/detail.php?product_id=3703
＞栄枯盛衰の歴史を読む大好評シリーズ第2弾!
＞国産独自のパソコン規格が生まれてから終焉を迎えるまでをメーカー戦略視点で俯瞰して読み解く、現代の歴史絵巻!!
＞さあて、思い出のパソコンの話でもしようか
第1章:パーソナルコンピューターの先駆け?TK-80
第2章:NEC・シャープ・富士通パソコン御三家の台頭
第3章:玩具メーカーが参戦低価格ホビーパソコン覇権争い
第4章:パソコンの統一の規格への野望「MSX」
第5章:バブルを飾った華やかりし8ビットホビーパソコンたち
第6章:時代は16ビット。新たなフィールドへ
第7章:DOS/V、Windowsの登場国産パソコンの終焉。

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■内容／感想

　タイトルの「ホビーパソコン」とはイマイチ聞きなれない言葉ですが（少なくとも私にとっては、ですが）、この本では「Windows 普及以前のパソコン」のことをこう呼んでいます。つまり、この本は、キットのTK-80から始まって、ぴゅう太とかのおもちゃコンピューター、PC-8801・X-1・FM-7・MSXといった8ビット機、PC-98・X68000・FMタウンズのような16/32ビット機、などを全て「ホビーパソコン」という名前で括ることで、日本のパソコンの黎明期から、1990年代半ばにWindows一色に塗りつぶされるまでの間の日本のパソコンを大つかみで取り扱っています。

　実に多くの機種を網羅しているだけではなく、パソコンがどのようにユーザに受け入れられていったか、ゲーム市場がどう立ち上がって行ったか、PC-8801やX-1やFM-7の個性、etcの情報が記載されています。また若い読者向けに「カセットテープ」「フロッピーディスク」などの説明も有ったりします。ということで、70年代後半〜90年代末くらいのパソコン業界の発展史が良く解る、教科書的な一冊と言えると思います。

　ただし、この本、当時これらの機種を愛用したユーザーが、往年を懐かしむために買ったとしたら、肩透かしかもしれません。機種の情報は多いのですが、あくまで「ビジネス書」であり、淡々と各社の機種と販売戦略、当時の状況、その顛末、などを書いているだけだからです。帯のコピーに「さあて、思い出のパソコンの話でもしようか」とか書いてありますが、こんな風に心地よい思い出に浸れるような内容ではありません。あくまでビジネス書の範疇です。例えば、ゲームユーザーに愛されたMSXもX68000シリーズも、この本のなかでは単に販売戦略に失敗して消えていったダメ機種扱いです。まあ後世から見ればそういう見方もできるかもしれませんけど、そんな話を読みたかったわけではないのです。

　ということで、日本のパソコンの発展の流れをおおまかに掴むには悪くない本ですが、「自分の青春はあの機種と共に有った、いっちょ当時のコトを思い出したい」といったノスタルジーを求めてこの本を買うとガクッと来るのではないでしょうか。少なくとも私は「なんか期待と違った……」という軽い失望を抱いてあとがきを読む事になりました。まだ買ってない人はそこをご注意された方がよろしいと思います。

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■評価

（5段階評価の）3点。

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