日本D&D興亡史|柳田真坂樹
https://note.com/d16/n/n55da80519277
2024年3月27日 12:15
TRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」(D&D)が日本でどう展開されたかの記事。素人じゃなくてD&Dの翻訳に関わったというプロが書いているのでありがたみ強いです。
以下引用多めでお送りします。
D&D上陸前夜(1970~1984)
かくして1985年前後の時点で日本では、ファンタジー世界の物語が人気を博し、さらなる”剣と魔法の冒険”が望まれていた。
ベーシックルールセット、上陸(1985~
1985年6月、株式会社新和から『ダンジョンズ&ドラゴンズセット1:ベーシックルールセット』が発売された。
安田均氏の語るところによれば“赤箱”は発売後一年で10万セットが売れた。
追い風(1986~
この『D&D誌上ライブ ロードス島戦記』は当時の読者の心を鷲づかみにした。
おそらく、この頃が日本においてダンジョンズ&ドラゴンズがTRPGのトップに立っていた時代である。
グループSNEのD&D離脱
TSRを介さない独自のD&D製品として販売することをTSRは認めなかったのである。
そして文庫で刊行されたTRPGリプレイは、D&Dではなく『ロードス島戦記RPG』によるものとなった。
文庫TRPG、国産TRPGの台頭
かくしてこの時代、日本のほとんどの書店にTRPGが置かれる、という状況が完成したのである。
かくして『ソードワールドRPG』は充実した製品展開と、その入手のしやすさ、雑誌での継続的なサポートにより日本産TRPGのフラッグシップモデルとなり、国内のTRPGシーンを席巻した。
AD&D2版への移行失敗(1991)
かくしてAD&D2版への移行は成功せず、新和による日本でのD&Dの展開は終了した。
メディアワークスでの再浮上(1994年~1996)
そしてメディアワークスはD&Dの翻訳を行なうことを発表。翻訳するのは、AD&D2版ではなく『Dungeons & Dragons Rules Cyclopedia』である。
しかし、1997年にTSRがウィザーズ・オブ・ザ・コースト(以下WotC)に買収され、前後の混乱により、予定されていた10レベル以降のデータやルールは刊行されないまま、メディアワークス版D&Dは終了した。
D&D3版、ホビージャパン時代(2002~2022)
2000年、WotCから『Dungeons & Dragons 3rd Editon』が発表される。
2002年ホビージャパンが『ダンジョンズ&ドラゴンズ第3版』翻訳・出版した。
D&D3版のPHBは8000部弱、3.5版PHBは6000部強、売れた。
D&D4版のPHBは5000部弱。
D&D5版のPHBは9000部弱。
2022年7月1日、WotCによるD&D公式サイトがオープンし、今後のダンジョンズ&ドラゴンズの展開はWotCが行なうことが発表された。
WotC時代(2022年12月~現在)
WotCは初心者向けにスターターセットやデラックスボックスを、そしてコアルールを刊行すると発表。
SNSやネットのニュースなどを見る限り、これらの施策は確かに話題になった。だが、それを見た人が実際にゲームを遊ぶようになったのかどうかには疑問が残る。
WPN加盟店とのくいちがい
すぐに明らかになった問題は、日本のWPN加盟店でD&Dをイベントを行うことは難しいと言う事実だった。
映画やBG3との連携が不十分
2023年は日本でもD&Dの映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』が公開され、さらに年末にはゲーム・オブ・ザ・イヤーを獲得したゲームとして『バルダーズ・ゲート3』が完全日本語訳されて発売された。
だが、映画やゲームの世界を深く知ることのできる『ソード・コースト冒険者ガイド』や『バルダーズゲート:地獄の戦場アヴェルヌス』といったホビージャパン時代の製品は絶版で、WotCからは発売されていない。
しかも、日本語版D&Dのサイトには映画やBG3に関する情報が一切掲載されていない。
二年目から始まる挑戦
一方、日本でのD&D展開が2年目に入り、独自の動きも始まっている。