【TRPG】TRPGの起源「ブラウンシュタイン」記事まとめページ

DUNGEONS & DRAGONS ダンジョンズ&ドラゴンズ - Classic Red Dragon Battle/ポスター 【公式/オフィシャル】

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 先日TRPGの起源を調査しているうち、D&Dの遥かな先祖にあたるゲーム「ブラウンシュタイン」(Braunstein)の事を知り、連続して記事したのですが、情報が散らかってしまったので改めてまとめページを作りました。

ブラウンシュタインとは

 書いた内容があっちこっち散らばっているので、以下に軽くまとめ直します。


●ブラウンシュタイン誕生

 「ブラウンシュタイン」とは、世界初のTRPGD&D」が生まれるきっかけとなったゲームで、遠い祖先と言えます。


 1967年頃に、アメリカのゲーマー・デビッド・ウェズリーたちは、ゲームクラブでナポレオン戦争南北戦争をテーマにしたミニチュア・ウォーゲームをプレイしていました。それらのゲームは対戦するプレイヤーたち以外に審判を必要としており、プレイヤーがルールに書いていない行動を取りたい場合は、審判が可否を判定していました。

 1969年。ウェズリーは、ナポレオン戦争ウォーゲームをプレイする前の一種の「前座」として、ある試みを行いました。それはプレイヤーたちに架空の町「ブラウンシュタイン」の住人の「町長」「銀行家」「大学総長」等を演じてもらうというものでした。

 ウェズリーは、これらのキャラクターの行動に応じて、その後に行うウォーゲームで軍隊がいつどこに到着するかを変化させる、ということを考えていました。そのため、プレイヤーたちは、何か行動したい場合は別室で審判に申告することになっていました。

 ところがいざゲームをはじめると、プレイヤーたちは審判を通さずにキャラ同士で会話を行い、町の中を動き回り、挙句の果てに決闘まで始める有様で、審判のウェズリーは即興で決闘ルールを作って判定する羽目になりました。ウェズリーはこのゲームは失敗だと考えましたが、参加者からは好評で、またプレイしたいとねだられるほどでした。

 しかしウェズリーは、その後はプレイヤーたちの行動を徹底的にルールで縛り、審判を無視して勝手な事が出来ないようにしたため、プレイヤーたちから不満の声が上がりました。



●ブラウンシュタイン・ラテンアメリカのどこかの国バージョン

 その後、ウェズリーはブラウンシュタインの別バージョンとして、1950年代の架空のラテンアメリカの国を舞台にしたマルチプレイヤーボードゲームを考案しました。

 この国は独裁者に支配されクーデターが発生しそうな雰囲気になっており、そんな中でプレイヤーは独裁者の部下の軍の司令官や秘密警察のトップ、あるいはCIA諜報員などを担当し、それぞれの勝利条件(大金を手に入れる等)を目指してプレイするというものでした。

 このゲームも審判が行動の可否を判定しましたが、プレイヤー同士の交渉も認められていました。



●別の人たちによるブラウンシュタイン

 1970年にウェズリーが軍隊に入ると、彼のゲーム仲間は独自の「ブラウンシュタイン」を作り始めました。その内の一つ「ブラウンストーン」は、西部開拓時代のテキサス州を舞台にしたものでした。このゲームの特徴は、ゲームをプレイするたびに最初からやり直すのではなく、プレイヤーに持ちキャラを与え、ゲーム毎に育成する、というシステムが導入された事でした。



●ファンタジー版ブラウンシュタイン

 ウェズリーと同じゲームクラブのメンバーだったデイブ・アーネソンは、ファンタジー世界を舞台にしたオリジナルのブラウンシュタインを作りました。

 アーネソンは小説「コナン・シリーズ」や「指輪物語ロード・オブ・ザ・リング」からインスピレーションを得て「ブラックムーア男爵領」を含む独自の世界を作り、その中でプレイヤーたちが活躍するゲームを開始しました。このゲーム世界にはファンタジー設定の他に、蒸気機関・戦車・潜水艦といったギミックも存在しました。

 このゲームは最初からプレイヤーの持ちキャラによる連続したプレイ(キャンベーン)を行う様になっていました。ゲームは最初は多人数によるウォーゲームでしたが、やがてアーネソンが考案したダンジョン探索ゲームが人気となっていきました。

 アーネソンは、戦闘のためのルールとして、知人のゲーマーのゲイリー・ガイギャックスがデザインしたウォーゲーム「チェインメイル」のルールを導入しましたが、やがてそれを捨て、別のルールを考案して使用しました。



●商業出版へ

 アーネソンは自分のブラウンシュタインにガイギャックスをゲストに招いてプレイに参加させ、その影響でガイギャックスも自分の独自世界「グレイホーク」を使ったゲームを始めました。

 やがてアーネソンとガイギャックスはこのゲームを商業出版しようと考えますが、これらのゲームは即興でルールを考えたか他のゲームのルールを借用しており、ちゃんとしたルールという物がありませんでした。二人は協力してルールを書き始めますが、やがてガイギャックスはアーネソンの意見を無視してルールを取りまとめ、ゲームを「D&D(ダンジョンズ&ドラゴンズ)」と名付けました。

 しかしこのゲームを出版してくれるゲーム会社が無かったので、ガイギャックスは知り合いたち(アーネソンは含まれない)と資金を出し合ってTSRという会社を興し、そこからD&Dを出版しました。


終り