【SF小説】感想「支配者ヘプタメルへの讃歌」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 691巻)(2023年6月20日発売)

支配者ヘプタメルへの讃歌 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-691)

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支配者ヘプタメルへの讃歌 (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-691) 文庫 2023/6/20
マリアンネ・シドウ (著), K・H・シェール (著), 工藤 稜 (イラスト), 嶋田 洋一 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/6/20)
発売日:2023/6/20
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

アトランらはウシャアル星系に到着したが、この周辺はハウリ人により厳重に防御されていた。惑星パガル潜入計画の成否やいかに!?


アトラン率いる遠征隊はウシャアル星系に到着した。だが、安全な距離からデータを収集した結果、ハウリ人によりこの星系が厳重に防御されていることが判明する。アトランはサラアム・シインにその歌唱によって星系内を混乱させてほしいと依頼する。“ハーモニー”が、支配者ヘプタメルへの讃歌を星系じゅうに響かせ、ハウリ人たちを魅了しているあいだに、物質シーソーのある惑星パガルに潜入しようと計画したのだが…

 

あらすじ

◇1381話 支配者ヘプタメルへの讃歌(マリアンネ・シドウ)(訳者:嶋田 洋一)

 タルカン遠征艦隊はウシャアル星系近傍に到着したが、星系はハウリ人に厳重に警備されていた。アトランは第22惑星パガル調査のため、オファラーのサラアム・シインに歌の力でハウリ人の注意を引き付けるように依頼し、サラアム・シインは支配者ヘプタメルを称える歌を披露してハウリ人に大歓迎される。サラアム・シインたちは、さらに物質シーソーの機密を入手しようとするが、ハウリ人に気が付かれて捕らえられてしまった。(時期:不明:NGZ447年10月頃)

※初出キーワード=衛星ジェゼトゥ(第22惑星パガルの)



◇1382話 “勝利の証し”の守護者(K・H・シェール)(訳者:嶋田 洋一)

 アトランとイルナはサラアム・シインが歌で陽動している隙をついて第22惑星パガルに潜入した。そのあとラトバー・トスタンたちは第59惑星ゼレンガアの調査に向い、この星が無人の氷惑星で自動機械が警備しているだけであると知る。トスタンたちは調査の結果、この星で五万年前に支配者ヘプタメルと超越知性体エスタルトゥが対決し支配者ヘプタメルが勝利したと推測する。直後拿捕されたサラアム・シインたちの宇宙船がゼレンガアに連行され、トスタンたちによって解放された。(時期:NGZ447年11月11日~23日)

※初出キーワード=FPA(異プログラミング・アダプター)。


あとがきにかえて

・三月に猪苗代のスキーや会津若松に行った話


感想

・前半エピソード 原タイトル:ROMANZE IN PSI(意訳:プシ・ロマンス)

 サラアム・シィンが歌の力でハウリ人を惑わせて敵地に忍び込む話。最近はシドウ作品は女性キャラを前面に押し出す作風で、本作でも今までは単なるわき役だったカルタン人ゲ・リアング=プオが主役級の大活躍でした。それにしてもカルタン人アルンド=ケルは一旦ギャラクティカー側に寝返ったのに、すぐに元に戻ってしまうなど主体性ゼロですな。



・後半エピソード 原タイトル:DAS SIEGESZEUGNIS(意訳:勝利の証明)

 トスタンたちが惑星ゼレンガアの調査をする話。敵の船を拿捕して、乗組員に変装して、敵勢力の惑星に乗り込んで調査、とか、もう「古き良き時代のローダン冒険談」そのままで「昔のローダンはこういう話だったよなぁ~」と、もの凄く懐かしくなりました。よく考えてみたら、作者がシェールだからですね。

 今回もまた、シェール作品らしくメカにこだわった描写が登場。実体弾を発射する銃がやたらお気に入りらしいのですが、軍隊経験者だからか? P190で「サボにつつまれた徹甲弾」という文章があり「サボとは?」と調べたのですが、軍事用語で「太い銃身から細い銃弾を発射するための詰め物」だそうです。なるほど。
 
 
 

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