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未来から来た盗賊 (ハヤカワ文庫SF) 文庫 2023/12/5
マリアンネ・シドウ (著), K・H・シェール (著), 井口 富美子 (翻訳), 増田 久美子 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/12/5)
発売日:2023/12/5
文庫:288ページ
【※以下ネタバレ】
惑星ブガクリスにて人類の末裔"空飛ぶ山の民"と会ったローダンらは彼らの来歴が記された『ログ』から695年前の事件の真相を知る
ローダンとアトラン、グッキーの3名は、約700年前の記録である『ログ』を求めて、山の民“テラの子供たち”のリーダー、コヴァル・インガードのあとを追った。コヴァルは前兆の印の刺青をもつ“選ばれし者”だったが、婚礼の日にサショイ帝国のIQハンターの襲撃を受けて連れ去られ、苦難の日々を過ごした経歴があった。ローダン一行がけわしい断崖絶壁を登り山の民の村テラニアに着いたとき、そこで待っていたのは!?
あらすじ
◇1403話 空飛ぶ民(マリアンネ・シドウ)(訳者:井口 富美子)
ローダンたちは惑星ブガクリスの「山の民」が先祖代々保存している本「ログ」を閲覧させてもらうため、彼らの村に向かった。ようやく発見した「ログ」はデータ記憶媒体で、中には695年前に《バジス》の副長だったサンドラ・ブゲアクリスのメッセージが保存されていた。NGZ448年3月10日、ハミラー・チューブは突然《バジス》を分散させてしまい、乗員たちは宇宙艦で脱出したものの、ハウリ人との戦闘でブガクリスへと不時着したのだった。ハミラー・チューブは銀河系は呪われていると警告し始めた。山の民コヴァル・インガードはローダンたちに同行することにした。(時期:不明:NGZ1143年3月頃)
※初出キーワード=特になし
◇1404話 未来から来た盗賊(K・H・シェール)(訳者:増田 久美子)
ラトバー・トスタン指揮する《ツナミ=コルドバ》は、銀河系・アンドロメダ間に存在するマークス種族の宇宙ステーション「宇宙駅」の偵察に向かったが、一つ目の「ミッドウェイ・ステーション」は650年に核兵器で破壊されていた。もう一つの「ルックアウト・ステーション」は健在だったが、マークスたちはトスタンたちをハウリ人として攻撃してきたため、トスタンたちはマークスに強引に過去の情報を提供させた。
約700年前、ハンガイ銀河第四クオーターの出現と共に局部銀河群は数十年間時空の変動に襲われ、同時に発生した原因不明の戦乱によって銀河間の交流は断絶し、過去の情報の大半はもはや失われていた。
トスタンたちはステーション内に「保存された伝説の語り手」なる存在がいると知り侵入すると、そこでバリアに包まれたイホ・トロトを発見した。トスタンたちはバリアごとトロトを回収したが、中にあったのはトロトの宇宙服だけで、トロトはローダンを探しているというメッセージを残していた。(時期:NGZ1143年4月9日~19日)
※初出キーワード=サイコ放射器(旧名:精神干渉装置)
あとがきにかえて
井口 富美子氏
シドウのエピソードで「十五少年漂流記」他を次々と連想した、父上が亡くなり母上が二度入院された
感想
・前半エピソード「空飛ぶ民」 原タイトル:DIE FLIEGENDEN MENSCHEN(意訳:空飛ぶ民)
ローダンたちが山の民の保存していた「ログ」の内容を知る話。
これは面白かった。多分作者のシドウがプロット作家から渡されたあらすじには「ローダンたちが冒険の末にログの内容を知る」程度しか書かれていなかったと思うんですけど(推測)、シドウが今回登場させた独自キャラのコヴァル・インガードの冒険談がめっぽう面白く、時間を忘れて読みふけってしまいました。
コヴァル・インガードは「未開惑星の住人がローダンたちに同行する」というあたり、大群サイクルに登場したサンダル・トークを思い出させましたね。
・後半エピソード「未来から来た盗賊」 原タイトル:DIEBE AUS DER ZUKUNFT(意訳:未来から来た盗賊)
ラトバー・トスタンたちはマークスの宇宙駅の偵察に向かうが……、という話。
トスタンがやたら体調悪そうなのがもう不安で不安でたまらない……、あとマークス種族は571巻・1141話「時間ダムの崩壊」(フォルツ)で精神生命体「影マークス」に進化していてルックアウト・ステーションは影マークスの巣窟になっていたのですが、そういう設定はなかったことになったようです……
P247「サイコ放射器」←懐かしい。あまりに便利すぎて存在が無いことにされた(笑)「精神干渉装置」じゃないですか(笑) ロストテクノロジー扱いにされてる(笑)
今回のタイトルはトスタンたちの「ツナミ艦は未来に移動できるから、そこから来た我々は未来から来た盗賊のようなものだ」云々というセリフから来ていますが……、ドイツ人ももう少しましなタイトル付けてもよかったのでは。カピンサイクルのエピソード「未来からの報告」並みに肩透かしでした。