【SF小説】感想「パガル特務コマンド」(宇宙英雄ローダン・シリーズ 692巻)(2023年7月4日発売)

パガル特務コマンド (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-692)

http://www.amazon.co.jp/dp/4150124132
パガル特務コマンド (ハヤカワ文庫SF SFロ 1-692) 文庫 2023/7/4
H・G・エーヴェルス (著), クラーク・ダールトン (著), 星谷 馨 (翻訳)
出版社:早川書房 (2023/7/4)
発売日:2023/7/4
文庫:272ページ

【※以下ネタバレ】
 

惑星パガルに潜入したアトランとイルナは、そこに広がる精神集合体ハヌマヤが作り出す"アヴァタル夢"に閉じ込められてしまう!


サラアム・シインの歌唱による混乱に乗じて、アトランとイルナは惑星パガルに潜入した。だが、そこには恐るべき罠が待ち構えていた。惑星じゅうにひろがる精神集合体ハヌマヤが作り出した“アヴァタル夢”に閉じこれられてしまったのだ。一方アトランからの連絡がないことを憂慮したジュリアン・ティフラーは、ラトバー・トスタンをはじめとする七名のパガル特務コマンドをテレポーテーションで惑星に送りこんだが…!?

 

あらすじ

◇1383話 パガル特務コマンド(H・G・エーヴェルス)(訳者:星谷 馨)

 アトランとイルナはウシァアル星系第22惑星パガルに潜入したが、ハウリ人の防衛システムの前に行動不能に陥り、救援にやって来たラトバー・トスタンたちも同じ運命をたどった。しかし勝手について来たトヴァリ・ロコシャンとルログの力で状況は好転し、一行は物質シーソーが稼働する寸前で破壊に成功した。アトランは、次の目的地としてローダンのいるという「ナコード・アズ・クール」を探すことにした。(時期:NGZ447年11月11日~11月30日)

※初出キーワード=衛星リレー(惑星パガルの)。ハヌマヤ/ハヌマ(精神集合体)。アヴァタル夢。Yゲート。



◇1384話 成就の地、到達!(クラーク・ダールトン )(訳者:星谷 馨)

 精神存在エルンスト・エラートとテスタレは、バルコン老人と共に「成就の地」を求めて旅を続けていた。やがて彼らはとうとう銀河系の無名惑星にある成就の地に到着するが、そこはバルコン人たちが眠る施設だった。バルコン人とは、130万年前に銀河系に襲来したスープラヘトの危機に対処するため、集合知生体クエリオンから離れ再度肉体を持った者たちのことだった。エラートとテスタレは二人のために用意された肉体を手に入れるが、謎の存在から「アムリンガルの時の石板」を見つけるように命じられた。(時期:不明。NGZ447年頃)

※初出キーワード=恒星ウェロク/惑星ザトロン。ザトロン人。アムリンガルの時の石板。惑星ケムバヤン。


あとがきにかえて

変形性股関節症の手術をした話。


感想

・前半エピソード 原タイトル:TODESKOMMANDO PAGHAL (意訳:パガルの決死コマンド)

 アトランたちが惑星パガルに潜入し物質シーソーを破壊する話。相も変わらずのエーヴェルス節で、突然暗黒エレメントの話(P27)とか、IPCの話(P35)とか、アトランの過去話(P111)とか、本筋に関係ない描写が次々と飛び出してくるのでやたら読みにくく、また翻訳家も話の筋が追い辛くて大変だと思いました。



・後半エピソード 原タイトル:ORT DER ERFULLUNG(意訳:成就の地)

 エラートたちが目的地「成就の地」に到着する話。前半のエーヴェルス担当エピソードに比べてなんと読みやすいことでしょうか。

 ついにエラートたちが目的地に到着し、バルコン人が実はクエリオンと同一種族たったという驚愕の謎が明かされます。第三勢力サイクルに登場したバルコン人が、ここまで話が膨らむとはなんとも感慨深いです。

 しかし、このエピソードは本当にタルカン宇宙の話とまるで関係がないですね。やはり「功労者特別枠」的なもので、ダールトンはサイクルとは関係無く好きな話を書いても良いというような契約なのでしょうか。今回までは「成就の地」で引っ張り、次回以降は「アムリンガルの時の石板」で引っ張り、とどこに着地するのか全く見えません……

 ところでP200の用語「スープラヘトの調教師」は、683巻(1366話)では「スプラヘトの制御者」と書いてあったものと同じなのでは? 編集部はもう少し訳語の統一に気を使っていただきたいものです。

 
 

675巻~700巻(「タルカン」サイクル)の他の巻の内容・感想は以下へどうぞ

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ローダン・シリーズ翻訳者一覧は以下へどうぞ

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