【TRPG】あなたはTRPGの起源となったゲーム「ブラウンシュタイン」を知っているか!?【新発見】

DUNGEONS & DRAGONS ダンジョンズ&ドラゴンズ - Classic Red Dragon Battle/ポスター 【公式/オフィシャル】

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https://dnd.wizards.com/

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 最近、ちょっと「TRPGの起源」について興味が出て調べたくなり、日本語で出ている物では埒が明かないので英語のサイトを調べてみたら……、なんか今までの通説的な物とかなり違う話を発見してしまいました。

 皆さんはTRPGの歴史の話で「ブラウンシュタイン(Braunstein)」という名前のゲームを見たことがありますか? 私は今まで一度も見たことがありませんが、これが最初のTRPGD&D」の誕生に深くかかわっている、ってご存じでした?


日本での通説

 日本のゲーマーは大抵TRPGの起源についてこう説明されています。


「1970年代にゲイリー・ガイギャックスという人が、中世を舞台にしたウォーゲーム『チェインメイル』を製作した。このゲームは騎士などのミニチュアを使ってプレイするものだったが、ルールにはおまけとして、エルフや魔法使いを使ってモンスターと戦うようなファンタジールールが付いていた。ある日、ガイギャックスたちはこのルールを使ってダンジョン探索をするようなプレイを思いつき、それがTRPGの元となった」云々。


 日本語のWikipediaテーブルトークRPGD&Dの項を読んでも、およそこれ以上のことは書いていません……、しかし……


真実の物語

 英語版のWikipediaを読むと、日本語版ではそっくり抜けているD&D開発物語が書いてあり、そこからリンクを辿って調べ回っていくと、日本で説明されている「TRPG誕生物語」とは全く違う物が見えてきました……



[1]はじまり

 1967年にアメリカのゲーマー「デビッド・ウェズリー」は、19世紀にプレイされていたウォーゲームの資料を見つけ、それを復活させて自分たちのゲームクラブでプレイするようになりました。そのゲームはプレイヤーに加えて、ゲームの様々な判定を行う「審判」が必要でした。プレイヤーはルールに書いていない行動でも試みることが可能で、その可否を審判が判定するようになっていました。


参考

David Wesely
https://en.wikipedia.org/wiki/David_Wesely

機械翻訳

1967 年、ウェズリーはミネソタ大学の図書館で、チャールズ AL トッテン作の19 世紀のプロの戦争 ゲーム『ストラテゴス』を再発見しました。


Wesely は、これらのルールを理解し、その原則を中西部軍事シミュレーション協会(MMSA)がプレイするミニチュア ウォーゲームに組み込みました。これらには、審判の役割と、必ずしも成功するとは限らないがプレーヤーは何でも試みることができ、審判は通常ルールでカバーされないものをカバーする判断を下すことができるべきであるというフリー・クリークシュピールの原則が含まれていた。

 
 
 
[2]ゲーム「ブラウンシュタイン」誕生

 1969年。ウェズリーは新作ゲーム「ブラウンシュタイン」を作りました。これも審判を必要とするナポレオン戦争物のウォーゲームで、架空の町「ブラウンシュタイン」を舞台に、プレイヤーたちが軍人ではなく「町長」「銀行家」「大学総長」といったキャラクターを担当し、行動を審判に申告して成否を判定してもらうというものでした。

 ところがゲームを進めると、プレイヤーたちは審判を通さずにキャラ同士で会話を行い、町の中を動き回り、挙句の果てに決闘まで始める有様で、審判のウェズリーは即興で決闘ルールを作って判定する羽目になりました。ウェズリーはこのゲームは失敗だと考えましたが、参加者からは好評でまたプレイしたいと言われるほどでした。


参考

Braunstein (game)
https://en.wikipedia.org/wiki/Braunstein_(game)

機械翻訳

1969 年、デヴィッド ウェズリーは、ドイツの架空の町ブラウンシュタインを舞台にしたナポレオン戦争ゲームの審判を務めました。ウェスリーは、非軍事的な役割を含む個々の役割を各プレイヤーに割り当てた、マルチプレイヤー、複数の目的のゲームをセットアップしました。たとえば、町長、銀行家、大学総長の役を演じるプレイヤーがいました。


選手たちは本来、別室で審判とコミュニケーションをとることになっていた。


予期せぬことに、プレイヤーたちは自分のキャラクターを使って互いに会話し始め、ブラウンシュタインの町を旅しました。 2 人のプレイヤーが予期せず互いに決闘を挑んだとき、ヴェーズリーはその場で対戦のルールを即興で作成する必要があることに気づきました。Wesely さんは結果は混沌としており、実験は失敗だったと考えていましたが、他のプレイヤーはロールプレイングの側面を楽しみ、彼に別のゲームを実行するように頼みました。

 
 
 
[3]「ブラウンシュタイン」の別バージョン生まれる

 その後ウェズリーたちは「ブラウンシュタイン」と同じようなタイプの「南米の国でクーデターを防ぐゲーム」とか「西部劇ゲーム」を作ってプレイし、もはや「ブラウンシュタイン」はゲーム名ではなくゲームのジャンルへと昇格しました。

 特に西部劇ゲームでは、一回ごとのプレイで内容をリセットするのではなくキャラを継続的にプレイする、つまり「キャンペーン」の概念が導入されました。


参考

Braunstein (game)
https://en.wikipedia.org/wiki/Braunstein_(game)

機械翻訳
デュアン・ジェンキンスは、「テキサス州ブラウンストーン」を舞台にした「ワイルド・ウェスト・ブラウンシュタイン」シリーズを制作


「ブラウンストーン」ゲームでは、ゲームをプレイするたびに最初からやり直すのではなく、ゲームごとに育成できる歴史を持つ独自の「プレイヤー キャラクター」をプレイヤーに与えるというコンセプトが導入されました。

 
 
 
[4]ファンタジー版ブラウンシュタイン『ブラックムーア』

 ウェズリーのゲーム仲間だったデイブ・アーネソンは、自分流の「ブラウンシュタイン」として、剣と魔法系ファンタジー世界を舞台にした新作「ブラックムーア」を作ってプレイし始めました。このゲームは、最初からキャンペーン形式でプレイするようになっていました。


参考

Braunstein (game)
https://en.wikipedia.org/wiki/Braunstein_(game)

機械翻訳
1971年、アーネソンは「ブラックムーア男爵領」を含む「北の行進」と呼ばれるファンタジーの世界を舞台にしたブラウンスタインを開発した。


デイブ アーネソンはウェズリーのブラウンスタインを、各プレイヤーが演じる「役割」を持ったゲームであると説明しました。彼はまた、彼のブラックムーアゲームはデイブ ウェズリーの初期のブラウンスタインのバリエーションであり、ロールプレイングに関するウェズリーのアイデアに基づいているが、ファンタジーの世界を舞台にしていると説明しました。オリジナルのブラウンスタインのシナリオとは異なり、ブラックムーアのゲームと設定は、無限に進行する一連のキャンペーン プレイを目的としていました。

 
 
 
[5]そして「D&D」へ

 やがてアーンソンは、ゲイリー・ガイギャックスと知り合い、彼の作った「チェインメイル」を「ブラックムーア」の戦闘ルールに使用しました。そして最終的に、ガイギャックスとアーンソンは協力して「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のルールを書き上げました。


参考

Dungeons & Dragons
https://en.wikipedia.org/wiki/Dungeons_%26_Dragons

機械翻訳
ダンジョンズ & ドラゴンズの直接の前身は、ジェフ ペレンによって書かれた中世のミニチュア ルールのセットでした。これらは、ゲームがChainmailとして出版される前に、 Gary Gygaxによって拡張され、その追加にはファンタジーの補足が含まれていました。


デイブ アーネソンは、プレーヤーが軍隊ではなく個人をコントロールする、ウェズリーのブラウンシュタインゲームの中世版を始めました。アーネソンは戦闘を解決するためにチェーンメイルを使用した。プレイが進むにつれて、アーネソンはキャラクター クラス、経験値、レベルの向上、アーマー クラスなどの革新を追加しました。


アーネソンはガイギャックスを彼のブラックムーア ゲームに紹介し、その後二人はダンジョンズ & ドラゴンズとなるゲーム「ザ ファンタジー ゲーム」の開発に協力

 
 
 

感想

 こうして眺めると、D&D、つまり最初のTRPGの誕生の歴史では「ブラウンシュタイン」を無視することはできないと解ります。しかし日本語Wikipedaでは、その辺りの説明が面倒くさいのか、ウォーゲームにはまるで興味がないからか、「アーンソンも自分のゲームを作っていた」云々で済ませて『ブラウンシュタイン』という単語を一切使ってないんですよね。なんなんだ。

 まあ、私はこの一連の英語テキストを読んだことで「チェインメイルから全てが始まった」史観から脱出できたことを嬉しく思います。TRPGには最初からキャンペーンの概念があったんじゃん。


 それにしても、D&D誕生前夜の、まだ「ファンタジー版ブラウンシュタイン」時代のゲームをプレイしていたゲーマーたちは、「自分たちは何か物凄いものをプレイしている」と感じて身震いしていたんじゃないでしょうかねぇ。なんとなくそんな想像をしてしまいます。