※作者＆イラストレイターが同じ本
https://www.daiso-syuppan.com/gamebook/
大創出版
きみが決めるストーリーブック
\110（税込）
文・藤浪智之
（講談社/だんじょん商店会 講談社/怪盗クイーンはサーカスがお好きゲームブックなど）
★★【以下ネタバレ】★★
物語の主人公になって、本の中を旅しよう！
“きみが決める”選択は、どんな出来事や結末にたどり着くかな？
ここは、魔法と冒険の世界。
相棒のドラゴン「ソー」と旅立ったきみは、ある町で話を聞いた。
おそろしい巨人が、町の大事な像をうばいさったというのだ！
森や山をこえて、キミは「宝物」をとりもどすことができるだろうか？
あらすじ
「きみ」は相棒のミニドラゴン「ソー」と旅をしている少年だ。旅の途中、きみはとある町に立ち寄ったが、その町では、おそろしい巨人がみんなが大事にしている像をうばいさってしまったのだという。きみはソーと共に像を取り戻すために出発した。きみは「宝物」をとりもどすことができるだろうか？
ゲームシステムなど
パラグラフ数130。
キャラメイク・サイコロ振り等は無し。アイテム管理あり。
感想
評価は○（入門用ゲームブックとして最適）。
100円ショップのダイソーから今年（2023年）5月に発売されたゲームブックシリーズ「きみが決めるストーリーブック」の第一弾。小学校中学年（３～４年生）辺りをターゲットにした子供向けの体裁ですが、ゲームブックとしてしっかりした内容の良作でした (^_^)b
作者の藤浪智之氏は、過去にも佐々木亮氏とのコンビで、子供向けレーベル「角川つばさ文庫」からゲームブック
バニラのお菓子配達便！ スイーツデリバリー
や
バニラのお菓子配達便！2 スイーツ女王と秘密のドレス
を出されているので、本作もなかなかに期待していましたが、それを裏切らない好作品でした。
本書はゲームブックを全く知らない読者を念頭に置いていて、読みながらゲームブック独特の「パラグラフ分岐」に慣れていけるように、序盤はチュートリアル的に「パラグラフ１の次は２、２の次は３」というように一直線に進んでいきます。
そのため、最初の頃は「もしかすると本書は、実はあまりゲームブック的な要素は無いのでは……？」と疑いが頭をもたげたのですが、ある程度のウォーミングアップ期間が済めば、その後は縦横無尽にストーリーが分岐・展開する本格的なゲームブックで、しっかり冒険の旅を堪能できました ヽ(´▽｀)ノ
本書は、文章もストーリー展開もイラストも優しい雰囲気で、プレイしていてほんわかする内容でしたが、ゲームブックとしての造りは実に本格的。フローチャートを書いてみるとストーリーは結構複雑に分岐しながら進んでいくため、一回のプレイで全てを味わいつくことは出来ず、子供向けにも関わらずなかなか歯ごたえがありました。最初は適当に読んでも楽にクリアできると思ったのですが、とてもではありませんが見通しが甘すぎました(笑)
また、分岐を選んでストーリーを進めていくだけではなく、
・アイテムの入手イベントがあり、何を所持しているかで展開が変わる（メモ必須）
・冒険の途中であることをすると隠しパラグラフに飛べるようになる
・パズルや暗号解読で答えを見つけられると、やはり隠しパラグラフに飛べる
と、本格なゲームブックと同等の仕掛けがあり、子供向けでここまでやるかと唸らされました。
プレイ時間は真面目にフローチャートを書いても約一時間で終わる程度でしたが、前述のように色々な仕掛けがしてあり、単純な一本道ではなかったため、十分に堪能できましたね。
本書は、実物を入手する前は「110円」という安さから、もっと手軽で薄い小冊子のような物かと予想していたのですが、実物は小ぶりながらも本格ゲームブックのエッセンスを十分に味わえるしっかりした作品で、大いに満足できました。
書店に行けばおそらく500円はするような本で、しかもきっちりゲームブックしているのに、これが僅か110円で入手できるのですから本当に良い時代になったものです。本作は初心者にゲームブックを体験してもらうための入門用として文句なしにお勧めできる一冊でした。
おまけ
年若い少年が主人公で、口から雷（電気）を発射するミニサイズのモンスターと一緒に冒険の旅をする……、あれ？ ポ○ットモン○ターかな？(笑)
2023年の読書の感想の一覧は以下のページでどうぞ
perry-r.hatenablog.com
※作者＆イラストレイターが同じ本
