感想:NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)『File-28 シリーズ アメリカUFO神話(3) ロズウェル事件・完結編』(2015年2月7日(土)放送)

 NHK番組「幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー」(NHK総合版)の感想です。
(※以下、今回の話の結末まで書いてありますのでご注意ください)

■幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリー - NHK
http://www4.nhk.or.jp/darkside/

 NHK総合での視聴です。(放送:毎週土曜 22:30〜22:50)

『File-28 シリーズ アメリカUFO神話(3) ロズウェル事件・完結編』


■内容

アメリカ政府は墜落した空飛ぶ円盤と宇宙人の死体を隠している?疑惑を検証、真相に迫る!くつがえされる目撃証言。軍が本当に隠した光る物体とは?知られざる現代史の闇!


>政府は本当に墜落した空飛ぶ円盤と宇宙人の死体を隠し続けているのか?「Xファイル」など、さまざまなドラマや映画に影響を及ぼしたロズウェル事件。アメリカUFO事件史上、最大の陰謀疑惑を徹底検証する完結編!謎の残骸の正体に迫った元軍人に直撃取材!軍が隠し続けた光る物体、驚きの正体とは?「宇宙人を見た!」目撃証言を確認していくと、意外な事実が!そして、政府最強の機関が調べ上げた、巨大な陰謀の真相とは?

 BSプレミアム版の「File-10」(2014年8月16日(土) 放送)から。

 1979年、特別番組「UFO's ARE REAL」が放送され、32年前の1947年にニューメキシコ州ロズウェルに円盤が墜落したという衝撃の事実が公表された。その後、ロズウェルの住民からそれを裏付ける証言が次々と飛び出した。果たして軍は本当に空飛ぶ円盤と宇宙人を回収し、しかもそれを隠しているのか?


 しかし、証言を検証してみると……

・証人1 グレン・デニス「当時陸軍病院に勤めていた女性看護師ナオミから『宇宙人を見た』という話を聞いた」

 当時陸軍病院にナオミという看護師はいなかったことが判明。デニスはあとから「実はナオミは偽名」とか言い出したが、もう信憑性は疑わしい。


・証人2 バーニー・バーネット「サンアグスティン平原に円盤が墜落していて、側には宇宙人の死体が有った。その後軍が円盤と死体を回収して口止めしていった」

 これはバーネット当人の証言では無く(バーネットは1969年死去)、知人の「当時彼がそんな風に話していた」という伝聞的な証言に過ぎなかった。またバーネットの妻の日記の当日分を読むと「バーネットは一日オフィスにいた」と記されていた。


 と、裏づけの取れない怪しいものばかり。唯一確実なのは、元軍人ジェシー・マーセルが「1947年にロズウェルの牧場で謎の金属片を回収した」というもののみ。



 1994年、空軍は高まる疑惑の解明のため、本気で調査を行ない、結果、墜落したのは軍の極秘器機「モーガル気球」だと結論を出した。この気球は、音響センサーを高度20〜50kmに運び、ソビエトの核実験の音を捉えるというもので、軍の一部しか知らない極秘器機だった。そのため軍がロズウェルに落下した物を「実は気象観測気球だった」と誤魔化したと推測される。この気球は気象観測用とはまるで形が違っており、マーセルが「気象観測気球ではなかった」と証言したのも道理である。


 また意外な方向からも「隠蔽とかは無かった」という裏づけが取れている。会計検査院は当時の軍の記録を調べ、ロズウェルとか円盤とかいった項目の支出が無いことを確認している。


 しかし2001年、宇宙飛行士や科学者たちからなるグループが「ディスクロージャー(暴露)プロジェクト」を立ち上げ、以降政府に隠蔽工作について明かすように要求している。彼らによれば「政府はUFO関係について隠し続けており、言わば宇宙版ウォーターゲート事件」だという。


 何故アメリカではこんなに円盤とかが盛り上がるのか。理由その一が「政府への不信」。ベトナム戦争ウォーターゲート事件以降、アメリカ人はもう政府は信用できない、と考えている。本気で「円盤について隠している」と信じ込んでいるというよりは、「とにかく何か隠しているのだろう!?」という疑いの気持ちがある。

 第二の理由が、「神話が無い」こと。アメリカは建国から歴史が浅く、他国(日本とか欧州の国々)のような「神話」が無いため、代わりの神話を求めているから。しかし機械文明の国なので、「未知の存在が【機械】に乗って地球外からやってくる」という話が、アメリカ人はすっと受け入れられるのである。


■感想

 オカルト話の王道・空飛ぶ円盤テーマ回その3/最終回。ロズウェル事件めった切りというか、しかしこういうズバッと「無いものは無い!」と言い切る姿勢が好ましいです。