幻解!超常ファイル ダークサイド・ミステリーE+(プラス) https://www.nhk.jp/p/ts/R88ZYP985X/
放送 NHK Eテレ。毎週月曜午後7:25~午後7:50(25分)
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【※以下ネタバレ】
他の回の内容・感想
超常現象の謎を楽しみながら、その正体を徹底検証!
BSプレミアムで大好評を博したシリーズが、地上波・Eテレの夜に出現!
2014年に放送した総合テレビ版から名作をセレクト。最新情報などを加え再構成。
みなさんの心に引っかかっている謎と神秘と不思議の真相に迫ります!
内容
幻解!超常ファイルE+(プラス)「アメリカUFO神話(3)検証ロズウェル事件」
[Eテレ]2020年11月2日(月) 午後7:25~午後7:50(25分)
空飛ぶ円盤は、本当にアメリカ・ロズウェルに墜落、その機体と異星人を軍は隠しているのか?そして今年話題になった、アメリカ軍が撮影したUFO映像が意味するものとは?
アメリカ最大のUFO疑惑・ロズウェル事件。1947年、空飛ぶ円盤は本当に墜落、軍が回収したのか?70年におよぶ事件の謎を、当時の資料や証言などから徹底検証。政府は異星人の遺体を本当に隠しているのか?いよいよ解決!?▽最新情報!今年世間を騒がせた、アメリカ軍が撮影したUFO映像。なぜ軍は映像流出を認めたのか?そこにどのような思惑があるのか?3回シリーズ・アメリカUFO神話、完結!
●ロズウェル事件とは
1979年。アメリカのテレビ番組で、32年前の1947年7月にニューメキシコ州ロズウェルに円盤が墜落し、破片を軍が回収したものの軍はそれを隠している、という衝撃の事実が報道された。元陸軍航空隊少佐ジェシー・マーセルは、番組内で円盤の破片を回収したと証言したのである。これに触発されるように、次々と事件について証言する人たちが現れた。
土木技師バーニー・バーネットの証言。7月3日にロズウェルから西に300キロ離れたサンアグスティン平原で墜落した円盤を発見。円盤の中にも外にも宇宙人の死体が転がっていた。そこに軍のトラックが現れ、円盤と宇宙人の死体を回収した。
ロズウェル在住のグレン・デニスの証言。ロズウェル陸軍病院に勤務する看護師ナオミから、宇宙人の死体三体の話を聞いた。
果たして軍は本当に空飛ぶ円盤と宇宙人を回収し、しかもそれを隠しているのか?!
●証言を検証する
・グレン・デニスの証言について
1995年。科学雑誌オムニが、デニスの証言を検証するため、当時の記録を調べたり関係者に当たったところ、事件当時陸軍病院でナオミという看護師は働いていなかったことが判明した。デニスはあとから「実はナオミは偽名」と言ったり別の人物の名前を挙げたりし始めた。もはや証言の信ぴょう性は低いと言わざるを得ない。
・バーニー・バーネットの証言について
そもそも、彼の証言はバーネット当人が語った物ではなく、友人が1950年頃にバーネットから聞いた、とするまた聞きにすぎなかった。バーネット自身は事件が話題となるはるか前の1969年に既に亡くなっていた。さらに1990年に発見されたバーネットの妻の日記を見ると、事件があったという1947年7月3日分には「バーネットは一日オフィスにいた」と記されており、夫が大事件に遭遇したとは一言も書かれていなかった。
その他の人物の証言も
1)物故者からのまた聞き
2)記憶があいまいで整合性が無い
3)匿名での証言
と信頼性に欠けているものばかり。
●回収されたものは何か?
こうなると唯一確実なのは、元軍人ジェシー・マーセルが1947年にロズウェルの牧場で謎の金属片を回収した、という事のみ。軍は破片は気象観測用の気球だと発表したが、マーセルはそれを否定した。
1994年。空軍は高まる疑惑の解明のため公式調査を行ない、報告書「ロズウェル・リポート」を発表した。そして結論は「墜落したのは軍の機密兵器『モーガル気球』である」というものだった。モーガル気球とは、音響センサーを積んだ気球で、それを高度20Kmから50kmの位置に浮かべ、ソビエトの核実験の音をキャッチするというものである。
モーガル気球は最高機密兵器で、また気球によるソビエトの探査も極秘プロジェクトだったため、それを知っていたのは軍の高官のごく一部に過ぎず、公式調査の時点で皆亡くなってしまっていた。それでも家族や周囲の人間の協力で故人の日記などを読むことができ、それでようやくモーガル気球について調べることが出来たという。
モーガル気球にはデータを集めた計測器の回収のため、電波を反射しやすいレーダー反射板(薄いアルミ製)が取り付けられていた。これがロズウェルに墜落した破片とされるものと実によく似ている。一方、当時使用されていた気象観測用気球にはこのような部品は無い。マーセルが墜落したのは気象観測用の気球ではないと否定したのも頷ける。
軍は、ロズウェルに落下した物体の正体を公表するわけにはいかず、気象観測用気球だったと誤魔化したが、それが陰謀疑惑に繋がった、と推測される。
●会計検査院の調査
またアメリカ会計検査院も軍とは別にロズウェル疑惑を調査していた。会計検査院は行政が税金を正しく使っているか調査する組織で、議会や議員の要請に基づき、ほぼあらゆる省庁の内部資料を調査し不正の有無を確認できる強い権限を持つ。
会計検査院は事件当時の軍の記録を調べ、円盤や宇宙人の死体の回収等についての予算は見つからなかったと報告した。
●ディスクロージャー・プロジェクト
しかし2001年以降、宇宙飛行士、元軍人、政治家といった人たちからなるグループが「ディスクロージャー(暴露)・プロジェクト」を立ち上げ、政府に対して、ロズウェル事件など、地球外知的生命についての情報を公開するように迫る記者会見を行っている。
アメリカ人がUFOにこだわるのは、謎や地球外生命云々という部分ではなく、「政府は国民に何かを隠している」という疑いを抱き続けているからである。
●アメリカ軍が撮影したUFO映像?!
2017年、アメリカ軍の戦闘機が赤外線カメラで撮影したと思しきUFO映像が出回った。
第一の映像:撮影時期は2015年1月21日。撮影場所はフロリダ州沖合。高度7600メートル。時速440キロ。強い向かい風に逆らって飛ぶ楕円形の物体を撮影。
第二の映像:撮影時期は2004年11月14日。撮影場所はカリフォルニア州サンディエゴ沖。高度6000メートル。時速460キロ。楕円形の旅客機サイズの物体。物体は撮影の途中で方向転換し、急加速して戦闘機を振り切って姿を消した。
2018年3月には第三の映像が流出。
2020年4月には、ついに国防総省は一連の映像が軍が撮影したものと認めた。軍は写っているものを「未確認空中現象(Unidentified Aerial Phenomena|UAP)」と分類しているとした。そして「宇宙人の乗り物と認めている訳ではない」とも付け加えた。しかし、マスコミはUAPという言葉は無視して、一斉に「軍が『UFO』を認めた」と書き立てた。
実はUFOという言葉はあくまで「未確認飛行物体」であって「宇宙人の乗り物」という意味はない。また軍のパイロットは未知の物体や現象に遭遇することはまれにあるという。しかし、パイロットたちにしてみれば「UFOに遭遇した」と報告すれば、宇宙人の来訪を信じていると思われて、失職すると恐れ、そのため何かを目撃しても口をつぐんできた。
軍はそういう認識を変えようと「UAP」という言葉を使い、積極的に報告するようにさせるようにしたという。近年無人偵察機やドローンなどの技術が進み、アメリカ領空で正体不明の飛行物体は増えているとされる。それについての軍の危機感の表れと言える。
また今回軍が謎の飛行物体の映像を認めたのにも意味があるとされる。軍は以前は「未確認物体がアメリカの空を飛んでいる」という事を国防上の弱点ととらえ認めようとはしなかった。しかし最近は未知の事は解らないと認めて、理解しようとする方向に方針転換していると思われる。国防省の発表は、宇宙人とは関係なく、軍の国防上の課題が関係していたのであるる
●総括
アメリカでは、UFOは、世間では「異星人の訪問」と捕え、軍は「国防上の問題」と認識している。その世間と軍のギャップがUFO神話を生み出し続けているのである。