【※以下ネタバレ】
4人のスーパーイリュージョニストチーム“フォーホースメン”彼らはラスベガスでショーをしながら遠く離れたパリの銀行から金を奪い、観客を驚かせた。FBIとインターポールから追われることになったホースメン。彼らはどうやって金を盗んだのか? 彼らの目的はいったい何なのか?!最後のショーが終わる時、すべてのトリックが暴かれる!
あらすじ
◆プロローグ
マジシャンのダニエルとヘンリー、メンタリストのメリット、マジックを利用してスリをしているジャック、の四人は、それぞれ何者からか招待状を送られ、四人である部屋に入り何かを見つける。
◆第一のイリュージョン
一年後、四人はイリュージョンチーム「フォーホースメン」として、ラスベガスでショーを行なうまでになっていた。四人はショーの最中、突然「観客の指定した銀行を襲撃してみせる」と宣言し、ランダムに呼び出した観客がパリの銀行を指定すると、すぐさま映像でそのパリの銀行の金庫室から札束を吸いだすシーンを見せ、紙幣を会場にばら撒いてみせる。しかも現実に銀行から札束は消えていたため、四人はFBIに捕まるものの、証拠不十分のため釈放される。
FBI捜査官ローズとICPO捜査官アルマは、マジシャンのマジックのネタばらしを仕事にしている元マジシャン・サディアスに助けを求める。サディアスの推理によれば、映像で見せられた金庫室は本物そっくりのセットであり、四人は既にショーの前、現金が銀行に搬入される前に盗んでいたのだという。
◆第二のイリュージョン
ローズとアルマはフォーホースメンが次のショーを行なうニューオリンズに向かう。そこでフォーホースメンは、ショーのスポンサーのトレスラーの口座から観客の口座に現金が振り込まれる、というマジックを見せる。トレスラーの経営する保険会社は、ニューオリンズの被災者たちに保険金を支払っていなかったのだった。トレスラーは自分の金が盗まれたことに激怒するが、フォーホースメンはFBIの包囲を逃れて行方をくらましてしまった。
ローズは失態のため現場指揮官を外されヤケになる。アルマは、フォーホースメンは、魔法を追求する伝説的組織「アイ」に関係があるのでは、と推測する。
◆最後のイリュージョン
やがてFBIはフォーホースメンの隠れ家を突き止めて襲撃し、三人は取り逃がすものの、ジャックは車で逃走中に事故死してしまう。隠れ家に残された資料から、フォーホースメンの次のターゲットはエルコーンという警備会社の脱税による隠し資産五億ドルだと判明する。ところがFBIはフォーホースメンを罠にかけたつもりが逃げられ、しかも五億ドルは消えていた。さらにその金はサディアスの車から見つかり、サディアスはフォーホースメンの共犯者として逮捕される。サディアスはフォーホースメンの使ったトリックをローズに説明する。隠れ家を襲撃させたのも実はフォーホースメンの計画の一部であり、ジャックも死んではいなかったはずである。しかし、ローズは聞く耳を持たずそのまま立ち去る。
◆エピローグ
フォーホースメンは謎の相手に指定されたミッションを全てこなした後、指定された場所にたどり着く。そこで彼らを出迎えたアイのメンバーこそ、あのローズだった。一年前四人をスカウトしたのはローズだったのである。実はローズの父はライオネル・シュライクというマジシャンだったが、サティアスにマジックのネタばらしをされ、起死回生で脱出マジックを試みたものの失敗して消息不明になっていた。シュライクはトレスラー保険に入っていたが、保険会社は金を払わなかった。また支払いをするはずだったのがパリの銀行だった。またエルコーンはかつて粗悪な金庫を作っており、シュライクが脱出マジックでそのエルコーン製金庫を使ったために失敗して死んだのだった。つまり全てはローズの復讐劇だったのである。こうしてフォーホースメンはアイの一員となったのだった。
感想
評価は◎。
四人のイリュージョニストたちが派手なマジックのショーを行いながら同時に大金を盗み出す、というテンポの良い痛快犯罪映画。一瞬たりとも退屈しないジェットコースター型面白映画でした。
イリュージョニスト4人組のチーム「フォーホースメン」は、ラスベガスのショー会場にいながら、大西洋の向こうのパリの銀行から大金を奪い取り、観客の頭の上から降らせる、という一大マジックを演じて見せる。しかも銀行からは現実に大金が消えうせていた。果たしてフォーホースメンはいかなるトリックでこの強盗を行なったのか?
序盤から魔法としか思えない強盗事件が描かれ、その後も第二・第三の、文字通りの「劇場型」の犯罪が実行されていくという展開が実に楽しい。しかも主人公たちがこっそりどこかに侵入するとか地味に犯罪を行うのでは無く、官憲が厳重に警戒している中、しかも観客の目の前でド派手なショーを演じつつ同時に犯罪を成功させる、というストーリーは犯罪物ストーリーとしてはまさに新境地。邦題の「グランド・イリュージョン」というタイトルは実に上手いこと名付けたものだと思いました。
しかし、最初から最後まで派手なショーの連続のあまり、主人公たちの個性を描くシーンがほとんど無く、キャラクターの掘り下げというものは殆ど行なわれなかった結果、主役たるフォーホースメンの四人の名前を最後まで覚えられませんでした……、まあ、フォーホースメンというチームの活躍話だから、ホースメンのメンタリストとかリーダー役とか紅一点とか若いやつ、と区別できれば十分、というつくりだったのかもしれません。実際名前を覚えていなくても困らなかったしね。
また、とにかく最初から最後まで派手な展開で緩急が無かったため、最後にサディアスが罠にはめられた、とか、実はローズが全ての黒幕だった、とかいう「どんでん返し」があんまり効いていなかった、という感は否めませんでした。実はローズこそアイの一員で、動機は父親の復讐でした、という結末も「実はパリの銀行と見えたのはセットでした」とか「実はジャックは死んだはずが生きていました」と同レベルのイベントになってしまっていて驚きを呼ばなかったですね。スタッフにはあんまりにも「実は」「実は」とやりすぎると、最後の一番大事な「実は」が効果がなくなるので注意しましょう、と言いたくなりました。
また視聴後冷静に振り返ってみると、派手なだけで意外と中身が無かった、というか殆どカラだった、という気もしますしね。
しかしまあ、視聴中は楽しめたので良しとします。
原題: Now You See Me
●スタッフ
監督 ルイ・レテリエ
製作 ボアズ・イェーキン マイケル・シェイファー スタン・ヴロドコウスキー
脚本 エド・ソロモン ボアズ・イェーキン エドワード・リコート
●キャスト
J・ダニエル・アトラス ジェシー・アイゼンバーグ(武藤正史)
ヘンリー・リーブス アイラ・フィッシャー(木下紗華)
メリット・マッキニー ウディ・ハレルソン(内田直哉)
ジャック・ワイルダー デイヴ・フランコ(細谷佳正)
ディラン・ローズ マーク・ラファロ(宮内敦士)
アルマ・ドレイ メラニー・ロラン(加藤優子)
サディアス・ブラッドリー モーガン・フリーマン(坂口芳貞)
アーサー・トレスラー マイケル・ケイン(小川真司)