感想:アニメ「タイムトラベル少女~マリ・ワカと8人の科学者たち~」第12話(最終回)「親愛なる科学者たち」:子供向け教育アニメにも関わらずSF要素も有ったりしてなかかなの好作品でした

タイムトラベル少女 -マリ・ワカと8人の科学者たち-?もふもふひざ掛け?キービジュアル柄

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タイムトラベル少女~マリ・ワカと8人の科学者たち~ http://mariwaka.com/
放送 AT-X。全12話。

【※以下ネタバレ】

第12話(最終回) 親愛なる科学者たち

 

あらすじ

 1879年アメリカ。真理・永司・御影たちの頭上に「時空間の裂け目」が発生し、猛烈な勢いで物を吸い込み始めた。さらにそれに連動してTSSもオーバーロードを起こしてしまう。永司は、自分と御影が持っているアーミラリーコンパスは同じものであり、同じ時間に同じ物がニ個存在してしまったため、タイムパラドックスが発生した結果だと気がつく。永司は真理だけでも現在に戻るように指示するが、TSSの暴走によりコンパスと現代のリンクが切れてしまう。しかし永司が御影のコンパスを破壊したことで時空間の裂け目は消滅し、TSSも機能を取り戻した。その隙に真理と永司は現代に帰還し、御影は過去に取り残された。現代に戻った真理・永司や旬たちは研究所の外に逃げ出すが、TSSの暴走により火事になり、機械は壊れ本も燃え尽きてしまった。

 御影の秘書のさつきたちは逮捕され、研究所は閉鎖された。永司は旬が未来にTSSの原理を発見することを本で見て知っており、旬にコンパスを手渡す。真理は本でエジソンの業績を調べていて、集合写真の中に御影の姿を見つける。

 はるか未来。女性科学者(どう考えても未来の真理)が、学者を目指すという孫娘にアーミラリーコンパスをプレゼントする。ところがその部屋に有った「磁気や電気の歴史を記した本」が無くなっており、代わりにリンゴが置かれていることが解る。科学者は、その本は一人の少女を導くために飛んでいったのだと説明して〆。


感想

 破綻も無くきちんと完結して、好感の持てるラストでした。ひとつのものが時間移動により同じ時間に二つ存在してしまい、それにより時空の裂け目が出来る、云々というのはアイデアとしてはそう斬新なものでも有りませんが、話をまとめるためにここでそれを持ってくるか! という使い方には感心しました。未来の真理が科学者になっている、というのも予想の範囲内でしたが、最後に本が消えて物語の最初に繋がる、という展開は、SF好きならちょっとニヤっとしちゃうオチでしたね。


総括

 評価は○(まずまず面白かった)。

 テレビ東京系で早朝7時に放送される、科学者たちの業績を紹介する作品、という事で、「まんがはじめて物語」のような解りやすい子供向け教育アニメだと思っていたのですが、意外にも謎解き要素が有ったりして、予想外に楽しめた作品でした。

 主人公・早瀬真理(中学二年生)の父・永司は高名な科学者でしたが、三年前から行方不明になっていました。ある日、真理は親友の水城和花の家に遊びに行き、和花の兄・旬の部屋で本を開いたところ、突然姿が消えてしまいます。その本は、電気・磁気の発見や発明の歴史をしるした本で、その本に載っている偉人たちの写真に触れると、彼らが生きていた時代にタイムスリップしてしまうことが解ります。やがて、真理・和花・旬たちは永司が過去をタイムトラベルしてることを知り、永司が残したタイムマシンTSSを使い、永司の行方を求めて過去への旅を繰り返すことになるのでした。

 視聴前は、単純に「真理が過去に行って偉人の業績を色々体験して、はい今回はこれでおしまい」という教育的内容のアニメかと思っていたのですが、意外にも失踪した永司の消息を追うミステリー仕立てになっていたりして、結構意表を突かれました。また物語のキーとなる謎の本が物質転送装置の実験中にどこからともなく現われた(多分未来からやってきた)とか、本の中に旬や真理の未来のことが書かれている、とか、結構SFしていて、見ていてそれなりにワクワクさせられましたね。

 また本題(?)である偉人たちの業績紹介も、教科書的にやったことをそのまま紹介する、のではなく、彼らの研究に到る動機や人間関係や、そういう側面をメインに描いていたのもちょっと面白かったですしね。

 それと、なんと言ってもキャラクターデザインがすんごく良かった。デザイナーは「小林多加志」氏という人で、良く知らないのですが、女の子の顔つきがどう見ても「1990年代」していて、あの頃にはテレビ東京系アニメでこういう感じのキャラが一杯いたなぁ、とすんごく懐かしくなりました。明らかに「今風」の絵柄では無いのですが、そのレトロっぷりがこっちのハートを直撃でしたよ。特に和花ちゃんはサイコーでしたね。

 声優は、レギュラー枠は売れっ子で固めていますが、目を引くのはスフィアの四人(豊崎愛生寿美菜子戸松遥高垣彩陽)がレギュラーとして四人揃って出演していることです。この面子が大集合したのは2013年放送の「夏色キセキ」以来だと思うのですが、これって意図的な顔合わせなのか、単に普通にキャスティングしたらたまたま四人そろっちゃいました、ということなのか、どっちだったのでしょうかね。凄く気になります。

 まあ、目の肥えたアニメ好きが注目するような作品ではなかったのですが、見てみるとなかなか味があって、思わぬ拾い物だったという感じですね。結構満足できる作品でした。


アニメの「原典」

スタッフ情報
【監督】ヤマサキオサム
【シリーズ構成】ヤマサキオサム
【脚本】広田光毅中村能子、久保幸湖、ヤマサキオサム
【助監督】久城りおん
【キャラクターデザイン・総作画監督】小林多加志
【サブキャラクターデザイン・総作画監督補】佐々木敏
【プロップデザイン】水谷麻美子
色彩設計】辻田邦夫
美術監督】安田ゆかり
【音響監督】長崎行男
【音楽】黒石ひとみ
【アニメーション制作】ワオワールド


音楽
【OP】A応P「希望TRAVELER」
【ED】エラバレシ「ミス・ラビット」


キャスト
早瀬真理:豊崎愛生
水城和花:寿美菜子
水城旬:木島隆一
早瀬永司:森川智之
御影丞:坪井智浩
早瀬晶:戸松遥
早瀬理香:福緒唯
水城麗:井上喜久子
市川風太山下大輝
黒木さつき:高垣彩陽
大川透
三木眞一郎
中村大樹
森久保祥太郎
遊佐浩二
前野智昭
石田彰
羽多野渉