感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第33話(シーズン2 第5話)「人身売買の闇を葬れ!(前編)」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ
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第33話 人身売買の闇を葬れ!(前編) The Slave Part1 (シーズン2・第5話)

 

あらすじ

近東における奴隷売買を撲滅するため、奴隷に扮してエルカバールに潜入したバーニー(グレッグ・モリス)。一方ジムも首謀者の1人に近づき、シナモン(バーバラ・ベイン)の売り込みをはじめる。


世界中で奴隷制度が廃止された中、中近東の小国エル・カバールでは近隣諸国から若い男女を誘拐、毎年何千という人身売買が闇で行なわれていた。その中心となるのが専制君主のボルカと手下のデ・グルート。IMFは人身売買をやめさせるべく、彼らを一掃するため動き出す。まずバーニー(グレッグ・モリス)がわざと彼らに捕まり潜入、隠れ家の詳細を調べる。
フェルプス(ピーター・グレイブス)は、デ・グルートに接近、妻役であるシナモン(バーバラ・ベイン)の売買を持ちかける。一方、ローラン(マーティン・ランドー)はボルカの弟ファサールにインターポールとして近づき、人身売買調査に弟夫妻を巻き込む。そして…コウモリを使ったIMF史上かつてない程非情なミッションが実行される!果たして彼らは、ボルカによる人身売買の実態を暴くことができるのか!?

※DVD版のタイトルは「対奴隷作戦(前編)」。


【今回の指令】
 近東の小国「エル・カバール(El Kabar)」の絶対君主ポルカは、周辺諸国の男女を誘拐し、奴隷として売買している。そしてポルカの手先として働いているのがデ・グルートという男である。IMFはこの奴隷売買を止めさせるため、エル・カバールからポルカとデ・グルートの勢力を一掃しなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、ローラン、シナモン、バーニー、ウィリー
 ゲスト:アキム(国際司法委員)


【作戦の舞台】
 近東の小国エル・カバール


【作戦】
 フェルプスはならず者に扮してデ・グルートに接近し、近々やってくる白人の歌姫(=シナモン)を奴隷として売ってやるので、金をよこせと交渉する。デ・グルートは用心しつつも取引に乗ってくる。

 一方、バーニーはわざとデ・グルート一味に奴隷候補として捕まるが、奴隷を収容する監獄の内部を撮影すると、さっさと逃げ出す。ウィリーたちは、その写真を元に監獄そっくりの部屋を作る。

 ローランは、ポルカの弟で穏健派のプリンス・ファサールに、インターポールの捜査官という設定で近づく。そしてバーニー・ウィリーと協力して、ファサールの妻でイギリス人のアバーラを誘拐し、IMFはアバーラをあらかじめ作っておいた監獄そっくりの部屋に閉じ込める。続く。


監督: リー・H・カッツィン
脚本: ウィリアム・リード・ウッドフィールド&アラン・バルター


感想

 評価は○。

 シーズン2初の前後編だが、二回分必要な大作エピソードではなく、1時間で済むエピソードをスローテンポにして引き伸ばした、という印象が強く、満足度は大して高くないイマイチ回だった。


 今回はローランが変装に大忙しで、国際刑事警察機構の捜査官としてボルカたちに会う一方で、足の不自由な物乞いに変装して車に細工を行い、さらに通りすがりの一般人としてデ・グルートの車の運転を邪魔する、と、大活躍だった。

 また、普段は裏方のバーニーが珍しく今回は表に出てきていて、捕まった旅人として奴隷施設に放り込まれるが、練習していた手錠抜けの技術を使いさっさと脱走し、さらに車の底に張り付いて逃走するなど、これまた大活躍だった。ところでバーニーは荷物の中に、組み立てると銃そっくりになるカメラを持っていたのだが、荷物は取り上げられなかったのだろうか。ちなみに同じように裏方専門のウィリーも今回はマント売りに変装して表に出てきており、IMFメンバー総出演だった。

 今回IMFがアバーラ誘拐の際に使った秘密兵器が「コウモリ」の群れで、あらかじめ仮死状態にしておいたコウモリを自然解凍(?)すると、部屋の中をバタバタ飛び回り、その混乱に乗じて誘拐を敢行する、という、なんというか茶番めいた小道具だった。そのコウモリが仮死状態から目覚めるシーンは、明らかに作り物をぶるぶるふるわせているのが丸わかりだったし、部屋の中を飛び回っているときは明白に小鳥だし、と、撮影時の苦労がしのばれて、ちょっと微笑ましくなってしまった。

 それにしても、いつもはスマートに作戦を運ぶIMFが、今回は何の罪もないアバーラを巻き込んで犠牲を強いているのは、正直どうかと思ってしまった。後編で見事にオチをつけてくれないと、かなり低評価のエピソードになる予感である。

 今回は、DVDで追加吹き替えしたカットがあり、フェルプス役を麦人氏が宛てていたが、どうも違和感がぬぐえなかった。やはりフェルプス若山弦蔵氏の声でなくてはしっくりこないと痛感させられた。


 中近東の人たちが頭に巻いている布は「クーフィーヤ」というそうです。今回調べて初めて知りました。


 今回の悪役デ・グルートの声は森山周一郎氏でした。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが公園の中にある火災報告用の電話ボックス(棒の上に赤い木箱が付いており、中に電話が入っている)の蓋を開けると、中には大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーが入っている。フェルプスは封筒の中から写真を取り出して見つつ、テープを再生して指令を確認する。指令は最後に「なおこの録音は自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはようフェルプス君。第二次大戦終了以来、国連によって近東諸国の奴隷市場は廃止されてきたが、ここに例外が一つ。これはエル・カバールというペルシャ湾に面した小国で、その支配者ボルカは絶対専制君主であり、依然として毎年何千という奴隷を売買している。ボルカの奴隷供給源は、主にこのデ・グルートであり、隣接諸国の男女を誘拐しては奴隷にするため、近東の国際情勢はとみに緊張の度を加えるに至っている。

 そこで君の使命だが、この奴隷売買を止めさせるとともに、エル・カバールからデ・グルートとボルカの勢力を一掃することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、この録音は自動的に消滅する。成功を祈る。

シーズン2(29~53話)の他のエピソードのあらすじ・感想は、以下のページでどうぞ

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