感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第130話(シーズン6 第3話)「死のロープウェイ」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第130話 死のロープウェイ The Tram (シーズン6 第3話)

 

あらすじ

全国の犯罪組織のボスが集まって組織の親会社を設立しようとしている、という情報が入る。もし現実となれば、アメリカの産業界にとって大きな脅威となりかねない。集会の舞台となる山頂の別荘は厳重な警備が敷かれている。果たして警備をかいくぐって計画を阻止できるのか…。


全国の犯罪組織のボスが集まって組織の親会社を設立しようとしているという情報が入る。もし現実となればアメリカの産業界にとって大いなる脅威となりかねない。集会の舞台となる山頂は厳重な警備が敷かれている。果たして警備をかいくぐって計画を阻止できるか…。

【今回の指令】
 シンジケートの二人の大物ビック・ハッチャー(Vic Hatcher)とジョニー・ソーン(Johnny Thorne)は、シンジケートによる巨大企業の設立を企んでおり、その計画のために全国のシンジケートのボスたちに招集をかけた。IMFは企業設立を阻止し、二人を再起不能にしなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:無し


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 ビックとジョニーはスイスの銀行に5000万ドルの金をため込んでおり、IMFはその口座番号を突き止めることが目的である。

 IMFは会議に招集されているボスの一人でビックの娘婿に怪我をさせて会議に出席できないようにした後、さらに代理として派遣される部下を捕まえ、フェルプスがすり替わる。

 シンジケートのボスたちの会議は山頂の山荘で行われ、行き来する手段はロープウェイしかなく、乗り場ではシンジケートのメンバーが厳重に見張っている。ビックは会社を南米に設立してアメリカの法の目から逃れると説明し、会社設立の資金として、ボス一人当たり50万ドル、合計400万ドルを出資させる。

 ウィリーとケイシーはニセの電話でジョニーをおびき出し誘拐したあと、ビックに連絡し、身代金として400万ドルを要求し、1時間後にビック一人で指定の場所に持ってこいという。そして約束の場所で隠れて待ち構えていたバーニーは、カバンごとまんまと金を奪い取る。ビックは事態に不自然さを感じ、今回の件はジョニーの狂言ではないかと疑い出す。

 ウィリーとケイシーは、誘拐したジョニーに、自分たちは黒幕に雇われていて、あとはジョニーを殺すだけだと言い、ジョニーはその黒幕こそビックだと信じ込む。そのあとケイシーは買収された振りをして、ジョニーを逃がす。同じころ、バーニーは奪ったカバンに偽札を400万ドル分入れてから山荘に忍び込み、こっそりビックの金庫の中に入れる。

 ジョニーは山荘に電話し、ビックこそ裏切り者だと伝える。ボスたちがビックに金庫を開けさせてみると、400万ドル入りのカバンが見つかり、ビックはこれは罠だと弁解するが、ボスたちは聞く耳を持たない。フェルプスはバーニーを呼び込んでボスたちを制圧し、ビックと共にロープウェイでふもとに向かって逃げ出す。

 フェルプスはビックに対し、持病の心臓発作そっくりの症状を起こす薬を盛り、ビックはもうこれまでだと弱音を吐く。そしてフェルプスにスイスの銀行の口座番号が刻まれたペンダントをわたし、娘婿のところに逃げろと言う。IMFはふもとにつく前にロープウェイを止め、鉄塔でフェルプスとバーニーが降りる。そのあとロープウェイは再度動き出してふもとに降り、ビックとジョニーたちは撃ち合いを始め、二人とも死んでしまう。最後IMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: ポール・クラズニー
原案: ポール・プレイドン
脚本: ジェームズ・L・ヘンダーソン&サム・ローカ


感想

 評価は○

 今回のエピソードは、第3・4シーズンにメイン級ライターとして活躍していたポール・プレイドンが原案を担当しており、そのおかげか、IMFの策略がかなり手の込んだもので、結構見ごたえのある話だった。

 IMFが計略でターゲットのメンバー間で仲たがいを起こさせ自滅にもっていくというのは、毎度毎度のおなじみの手だが、ジョニーに上手く策略のストーリーを信じ込ませて対立にもっていく過程がなかなか緻密で、スパイ大作戦らしいノリで楽しかった。

 今回はケイシーの特技として声帯模写が披露され、ケイシーがジョニーの愛人の声色を使って電話をかけ、ジョニーをおびき出すという計略に使用される。この声帯模写は、1~3シーズンはローラン、4~5シーズンはパリス、の得意技だったが、ある人間が全く別人の声で話すシーンというのは、何度見ても視聴者的に凄く面白い。

 今回のエピソードは、山頂に有る(という設定の)屋敷の中のセットが中心で進むが、もう一つの重要な舞台とでも言うべきものが、サブタイトルにもなっているロープウェイで、IMFは車体の秘密の荷物入れを活用して、誘拐したジョニーを隠しておいたり、忍び込んで山頂まで登ったり、とフルに利用する。

 ちなみにこのロープウェイは、カリフォルニア州パームスプリングスにある「Palm Springs Aerial Tramway」とのことで、確かに劇中で登場したふもとにある乗りこみ口が、ウィキペディアの写真そのまんまであった。→

https://en.wikipedia.org/wiki/Palm_Springs_Aerial_Tramway#/media/File:PS_Tramway_Valley_Station.jpg

 
 誘拐されたジョニーを救うため、ビックが馬鹿正直に一人で金を持って目的の場所に行き、そしてまんまと金を奪われてしまう展開には、ちょっと笑いが込み上げてしまった。シンジケートのボスなら部下の百人でも連れて行って金の受け渡し場所を包囲させておく、くらいのことは簡単にできそうだが、まるで無垢な善人のようにIMFの言うことを聞いて一人で出かけてしまう。まあこのあたりは、そうしないと話が進まないと言うのもあるわけだが、もうちょっと納得できる理由付けをしてほしかったと言えなくもない。

 最後は、IMFがビックを裏切り者の汚名&心臓発作そっくりの状態、という極限状況に追い込み、ビックとジョニーが金をため込んでいるスイス銀行の口座番号を、自らフェルプスに伝えさせるように持っていく。この手の、本人しか知らない秘密情報を策略で聞き出す、というのはスパイ大作戦で往々にして見られるパターンだが、計略がズバリと決まって相手が口を割ってしまう、というクライマックスシーンは何度見ても痛快である。

 悪党たちを大金を巡って対立に追い込む、相手だけが知る秘密情報を聞き出す、といった要素は、今まで何度も見てきたシチュエーションで新鮮味はあまりなかったが、全体によくまとまっており、なかなかに楽しめるエピソードだったことも確かで、今回は「当り」の回だった。

 今回のサブタイトルの原題「The Tram」とは、辞書では「路面電車」という意味しか載っていないが、ロープウェイの意味も持っているようである(例:前述の Palm Springs Aerial Tramway)。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが車で海辺の、クルージングボートが多数引き上げられている場所に行き、あるボートの上に乗って後甲板の床の荷物入れから大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。暗黒街の二人のリーダー、ビック・ハッチャーとジョニー・ソーンは、財界に隠然たる勢力を築く第一歩として、シンジケートの親会社の設立を計画、これを披露するために、このたび全国のシンジケートのリーダーたちに招集をかけたが、もしこの計画が成功すれば、アメリカの産業界が極度の腐敗堕落に陥ることは必至である。

 そこで君の使命だが、その計画を叩き潰し、二人を再起不能に至らしめることにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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