感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第144話(シーズン6 第17話)「死を呼ぶカード」

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【※以下ネタバレ】
 
シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン6」あらすじ・感想まとめ

 

第144話 死を呼ぶカード Image (シーズン6 第17話)

 

あらすじ

国外逃亡を画策する犯罪組織のボス。脱出後も買収した官僚のリストを使い莫大な報酬を受け取るつもりでいる。そのリストを奪うため、バーニー(グレッグ・モリス)が占い師になりすましボスに接近、自分に双子の弟がいると思い込ませ、彼を精神的に追い込んでいく。

 
【今回の指令】
 合衆国北東部の巨大犯罪組織のボス・エミール・ガドセン(Emil Gadsen)は、政府の追及を逃れるため海外逃亡を予定しており、組織はパートナーのソア・コフィン(Thor Coffin)に任せるつもりである。ガドセンの強力な武器は、組織が買収した高級官吏のリストで、海外逃亡後もリストを活用すると思われる。IMFはリストを入手し、ガドセンとコフィンを再起不能にしなければならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、バーニー、ケイシー、ウィリー
 ゲスト:デイブ(変装担当)、トム・ホーキンス


【作戦の舞台】
 アメリカ国内


【作戦】
 冒頭。ガドセンがコフィンを訪問し、海外タンジールに逃亡する予定を告げる。コフィンはリストを渡すように言うが、ガドセンはリストの隠し場所は秘密で、たとえ実の息子のトニーにでも渡さないという。

 フェルプスがテープで指令を受け取る。

 ウィリーはソアの屋敷の地下の酒蔵までトンネルを掘って侵入し、ソアがコレクションしていた高価な切手500万ドル分を盗む。一方、バーニーはエミールが心酔している占い師に変装してエミールに面会し、エミールに対する陰謀が進行中で、またエミールも存在を知らない双子の弟の命が危ないと言う。さらにエミールを薬で催眠状態にして、タロットの「死」のカードを見ると体の調子がおかしくなるように暗示をかける。

 IMFメンバーのデイブはエミールそっくりに変装してエミールと偶然のふりをして接触し、シシリー島出身の「ガザラス教授」だと名乗る。直後、IMFはガザラスを誘拐する芝居を行い、エミールはガザラスが生き別れの双子の弟で、自分と間違われて連れ去られたと信じ込む。

 バーニーは密かにエミールに「死」のカードを見せて体調不良を起こさせておいて、エミールとガザラスは近づいた結果、心霊現象で一心同体になってしまったので、ガザラスのダメージがエミールにも伝わっていると言う。また占いでは誘拐犯はエミールの身近な人物で、ガザラスは地下に監禁され拷問されているので、ガザラスが死ねばエミールも死ぬと脅す。

 エミールは犯人はリストを狙ったソアに違いないと思い込み、息子トニーにソアの屋敷を偵察させる。IMFは地下トンネルから酒蔵に入っておいて、トニーにガザラスを拷問しているふりのシーンを見せ、それを聞いたエミールはソアが犯人だと信じ込む。

 フェルプスはソアから盗んだ切手をエミールの知り合いの故買屋に売りに行き、それを知ったエミールはフェルプスを捕まえ、フェルプスはトンネルからソアの屋敷に忍び込んで盗んだという。エミールたちは、そのトンネルから酒蔵に侵入するが、ガザラス(デイブ)は死んでいるふりをしてみせ、またエミールは暗示のせいで身動きできなくなる。

 トニーはエミールを問い詰めて、リストはエミールの腕時計の中にフィルムとして隠されていると聞き出すと、腕時計を持って一人で逃げ出す。そのあとIMFはエミールを助けてやはり外に出るが、外には警官が待ち構えており、既にトニーは捕まっていた。そして逮捕されたエミールはガザラスが生きているのを見て驚くが、さらに顔がマスクの変装だったと知り唖然とする。最後、IMFメンバーが車で立ち去るシーンで〆。


監督: ドン・マクドゥーガル
脚本: サム・ローカ&ジェームズ・ヘンダーソン


感想

 評価は(まあ)○。

 IMFが、占い師の予言という形で、ターゲットに対して、存在しない双子の弟や心霊現象を信じ込ませるという荒唐無稽系のエピソード。やや痛快さというものには欠けたが、それなりに入り組んだ作戦は見ていてそこそこ面白かった。

 今回はバーニーが髭+サングラスで、ターゲットのエミールが心酔している占い師「レバリエ」に変装する。エミールは、レバリエの言う事は何でも鵜呑みにするくらい信じ込んでいるのに、文通だけしていて直接会ったことが無かった、という設定は、あまりにも都合良すぎてちょっと白けてしまったが、バーニーのうさん臭さ満点の変装は見ていて楽しかった。またバーニー役の田中信夫氏も、普段とは違う重々しい口調で演じているのが妙におかしかった。

 IMFは、ゲストメンバーのデイブをエミールそっくりに変装させてから、偶然を装ってエミールと出会わせ、さらにバーニーの口からは双子の弟がいるはずと吹き込ませ、エミールに大嘘を信じ込ませていく展開はちょっと笑ってしまった。またバーニーの催眠術によって暗示をかけられたエミールが、IMFメンバー(フェルプス・ケイシー・バーニー)によってたかってタロットの「死」のカードを見せられるたびに、調子が悪くなって倒れ込む、という展開も楽しかった。

 やはりIMFの実行する作戦は、堅実であるよりも、こういう大げさな嘘を強引に信じ込ませていく、という展開の方が、視聴者としては面白いので大歓迎である。

 今回はIMFは久々に変装マスクを使用するが、着用するのはゲストキャラのデイブ、というのがちょっと考えさせられる。4~5シーズンに出演していたパリスことレナード・ニモイは、劇中でパリスが変装マスクを着用したあとは、自分(ニモイ)が演技するシーンが無くなってしまうので番組に不満だったらしいのだが、そういう事情でレギュラーメンバーを変装させるのは止めてしまったのだろうか。

 ゲストと言えば、今回はデイブ以外に、もう一人若手のトム・ホーキンスという青年が登場するが、出番はデイブを誘拐する芝居をするところと、クライマックスでソアの屋敷で撃ち合いをするシーンくらいのものである。いてもいなくてもほぼ話には関係が無く、この人物は一体何のために出てきたのかさっぱりわからない。

 今回は「ターゲットだけが隠し場所を知っている物を見つけるため、極限状況に追い込み、自ら隠し場所を明かすように持っていく」という、IMFが得意とする作戦がズバリと成功する。その状況にもっていくための仕込みが、双子の弟や心霊現象という、ある意味無駄に派手な設定なのだが、シナリオライターの二人は「ファンの望むものが解っている」という感じだった。

 ところで、終盤にトニーが、酒蔵で死んでいる(ふりをしている)ガザラス教授(デイブ)の死体を改めて、胸の真ん中の傷跡を見て、何かを納得するような顔をするのだが、あれはいったい何だったのだろうか? ここだけが意味不明で妙に気になって仕方がないのだが……


 今回のサブタイトルの原題「Image」は「像、姿」などの意味だが、今回のエピソードの何を示しているのか、イマイチ判然としない。想像をたくましくすれば、IMFが暗示に使用したタロットの「死」のカードの骸骨イラストの事、と推測されるが、正解は何なのだろうか。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスが立ち入り禁止の建物に入り、地下の機械室で壁の金属の箱を開けて大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。その後、フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」と言い、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。この男エミール・ガドセンは、合衆国北東部の巨大な犯罪組織を長年にわたり支配してきたが、連邦政府の追及を逃れるため、パートナーのソア・コフィンに後を託し、海外逃亡を策している。このガドセンの強力な秘密兵器は、組織が買収した高級官吏のリストで、海外逃亡後も支払いを続けるものと思われる。

 そこで君の使命だが、ガドセンとコフィンを葬り去るために、そのリストを入手することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 
 

シーズン6(128~149話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

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