感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第94話(シーズン4 第16話)「王家の血 (後編)」

スパイ大作戦 シーズン4<トク選BOX> [DVD]

スパイ大作戦BSジャパン http://www.bs-j.co.jp/missionimpossible/
スパイ大作戦 パラマウント http://paramount.nbcuni.co.jp/spy-daisakusen/
放送 BSジャパン

【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ

 

第94話 王家の血 (後編) The Falcon Part3 (シーズン4 第16話)

 

あらすじ

最後に残された、刑務所に監禁された王子救出作戦。フェルプス(ピーター・グレイブス)が鮮やかにトリックを決められるか!?
一方、爆弾で変装がバレて捕らわれの身になったパリス(レナード・ニモイ)。そこへ皆が忘れかけていたあいつが戻ってくる。


最後に残された刑務所に監禁された王子救出作戦。フェルプス(ピーター・グレイブス)が鮮やかにトリックを決められるか!?一方、爆弾で変装がバレて捕らわれの身になったパリス(レナード・ニモイ)。そこへ皆が忘れかけていたあいつが戻ってくる。

【今回の指令】
 承前


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:トレーシー、セバスチャン


【作戦の舞台】
 某王国


【作戦】
 「王家の血 (中編)」の続き。

 パリスがサバティーニ将軍の部屋を出た直後、入れ替わりでバルガス大佐とトレーシーがやって来る。バルガス大佐は隠し金庫の中の粛清リストに自分の名前が載っているのを見て、ついに将軍を殺す事を決意する。そして部下に時計に偽装したリモコン爆弾を用意させ、ニコライ国王(実は変装したパリス)ともども爆殺しようとする。

 一方フェルプスは、将軍と共にステファン王子の幽閉されている刑務所に乗りこみ、ステファン王子に宝石のの隠し場所を喋れと脅す。しかし宝石盗難とは何の関係も無いステファンは、知らないと言い続けるだけなので、将軍は苛立つ。

 やがて将軍はバルガスに呼び出されて宮殿に戻り、バルガスに騙されてニコライ王(パリス)の部屋に向かうが、直後爆弾が爆発し、将軍は重傷を負い、パリスも失神した上に変装していたことがばれてしまう。将軍はニコライ王に扮していたのが奇術師ザストロだと知り、全てはバルガス大佐の仕組んだ事と判断して、バルガスを射殺する。トレーシーは刑務所のフェルプスに、計画が上手くいかなかったことを電話で連絡するが、直後彼女も捕まってしまう。

 将軍はフランチェスカの「死体」が納骨堂から消えていることを知らされ、パリスとトレーシーたちの次の狙いがステファン王子だと気が付き、フェルプスがパリスたちの仲間だと悟る。そして重傷にも拘わらず刑務所へと向かう。

 一方バーニーは、刑務所の空調にガスの匂いを発する円筒を打ち込んだ後、ガス修理の業者を装って刑務所に入り、王子の牢の壁の外までたどり着く。そして壁に小さな穴を開けて、看守と王子の間に幕を張り、そこにフェルプスが持ち込んだ小型映写機で映像を流して看守をごまかす。そして、映像の陰でバーニーが壁に脱出口を開け、フェルプスとステファンは逃げ出す。

 パリスとトレーシーは兵士に監視されていたが、パリスはウィリーに信号を送ってハヤブサのサタンを放してもらう。サタンは一直線に王宮にやってきて兵士にとびかかり、その隙にパリスは兵士たちを殴り倒して王宮を脱出する。

 将軍は刑務所に戻ってくるが、ステファン王子に逃げられたことを知り、ショックで死んでしまう。パリスとトレーシーもフェルプスたちに合流し、IMFメンバーがステファン・フランチェスカ・ニコライの三人と車で立ち去るシーンで〆。


監督: レザ・S・バディイ
脚本: ポール・プレイドン


感想

 評価は○。

 スパイ大作戦初にして唯一となる「前・中・後編」の三部作の後編。中編が結構盛り上がったので後編への期待が高まったのだが、いざ見てみると、ダラダラした展開のイマイチ回で、失望させられた。

 三部作のラストとなる今回は、救出対象三人のうちの最後の一人であるステファン王子を刑務所の厳重な監視の中から救い出す、という、いかにもIMFが担当しそうなミッションで、その救出の過程はそこそこは面白い。ただ、放送時間を埋めるため、バーニーがガス会社の修理担当のふりをして刑務所に乗りこみ、そのあとステファン王子の牢の側に接近するまでの描写が実にまだるっこしかった。

 普通のエピソードなら、瞬時に牢の側まで近づいて終わりとなるところを、尺を埋めるため、バーニーが階段を上ったり降りたり、あるいは人に見つからないようにあちこちに身を潜めたり、というシーンが延々と続けたため、最初は緊張してみていたものの、やがて退屈してしまった。こういう間延びしたことをされたため、折角中編で盛り上がったのに、後編ではテンションがまた下がってしまった感が有った。

 また「中編」では、トレーシーが透視(というか未来予知)能力を持つマダム・ビンスキーを演じて楽しませてくれたが、後編ではまことしやかな予言でバルガスをコントロールすることも無く、アクシデントによってなすすべもなく捕まってしまうだけで、彼女の活躍が無いのにはがっかりさせられた。


 さて「中編」の感想でも触れたように、スパイ大作戦の続き物エピソードの定番として、放送時間を引き延ばすため、「メンバーに不測の事態が発生し計画が失敗しそうになる」というイベントが発生する。今回は、バルガス大佐の動きがIMFの思惑と違っていたために、パリスがリモコン爆弾の爆発に巻き込まれて変装がばれてしまい、さらにパリスとトレーシーが捕まってしまう、という緊急事態が発生する。こういう展開は一時間枠のエピソードではまず発生しないので、実に新鮮な感じがした。

 もっとも、パリスとトレーシーがいかにこの危機を切り抜けるのかと思っていたら、パリスがハヤブサを呼び寄せて監視の兵士を襲わせ、その隙をついて脱出する、という荒唐無稽な展開なのは正直興ざめだった。パリスがハヤブサをいかに訓練していたかは知らないが、何に指示もしていないのにいきなり王宮まで飛んできて兵士に襲い掛かってくれる、など、ご都合主義が過ぎると言わざるを得ない。ここはもう少しましな脱出法を見せてほしかったところだった。


 このように不満の多い回ではあったが、ステファン王子救出の仕掛けそのものは結構面白かった。ステファンは奥に向けて細長い部屋の奥の壁に貼り付け状態にされており、看守からは7~8メートルほど離れている状態となっている。バーニーは部屋の中央に横につっかえ棒みたいなものを通した後、そこから映写用の幕を下ろし、その幕にフェルプスが持ち込んだ映写機で「壁にステファン王子が張り付けられている映像」を上映して看守の目をごまかすのである。

 幕の奥では、バーニーは壁に穴を開け、フェルプスはステファンの手足の鎖をせっせと取り外して脱出の準備を進めているのに、看守からは「壁に張り付いたステファンと部屋をうろうろしているフェルプス」の画像しか見えない、という状況が実にシュールと言うかで笑ってしまった。こういう「事情が解っている視聴者の視点では滑稽にすら映る仕掛け」というものが、いかにもスパイ大作戦らしく、もう一つ盛り上がらなかった今回のエピソードでもこの部分だけは楽しめた。

 最終的にこの三部作は、二話分のアイデアを混ぜあわせて三話に水増ししたエピソードとなった。まあ三部作という言葉のイメージ程のゴージャス感はなかったものの、過去に放映された「前後編」が殆どテンションの低いイマイチ回だったことを想えば、それよりは上だったという気はする。

参考:今回の指令の入手方法

 承前

参考:指令内容

 承前
 
 

シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のリンクからどうぞ

perry-r.hatenablog.com