【コミック】「彼女の腕は掴めない」(理央)からなんとなく目が離せない

彼女の腕は掴めない 1巻 (ZERO-SUMコミックス)

月刊コミックZERO-SUM | 一迅社WEB
http://www.ichijinsha.co.jp/zerosum/

彼女の腕は掴めない | ゼロサムオンライン | 一迅社オンライン
http://online.ichijinsha.co.jp/zerosum/comic/kanoude
生まれつき腕のない女の子は、周りからの同情にうんざりする毎日を送っていた。
そんなある日、彼女は、腕の欠損に興奮を覚えるアポテムノフィリアの男・白鷺に、誘拐・軟禁されてしまう。
男と同居生活をすることとなった彼女は、逃げ出す機会をうかがっていた。
しかし、その男が彼女に向けるのは、憐れみなどではなく、純粋な愛で――?

アポテムノフィリア×女子高生。
誘拐・軟禁生活、その先にある二人の関係は――?


 一迅社から発行されている「月刊コミックゼロサム」という雑誌があります。まあオタ女性向けの雑誌なのですが、「ストレンジ・プラス」(美川べるの)というギャグマンガが死ぬほど面白いので毎月愛読中です。それはさておき。

 この雑誌に連載されている「彼女の腕は掴めない」(理央)という漫画が、あまりにも設定が凄いので目が離せないというか、引き付けられています。というか、こんな企画を商業誌でよく通せたな……


設定が強烈すぎる……

 主人公の女子高生(柚木崎遼)は、生まれた時から両腕が無い(!) しかし、彼女にとってはそれが当たり前の事であり、周囲の人から哀れまれたりすることに倦んでいた。ある日、遼は下校途中で「白鷲」という若い男に出会い、彼に「誘拐」される。白鷲は「アポテムノフィリア」(四肢欠損性愛)という特殊な性癖の持ち主で、遼に一目ぼれしたと言い、彼女を自宅に軟禁して、何不自由ない暮らしを送らせるが……


ハードな内容かと思いきや……

 主人公の遼の初登場シーン、「セーラー服姿で両腕が無い」という絵でいきなりウっと来ましたよ。その時点でこのマンガを読むべきなのかと躊躇したことも事実ですが、意外にマイルドな作風で最後まで一気に読まされてしまいました。


 この漫画、設定だけを冷静に見ると、むちゃくちゃハードです。

・主人公の女子高生は両腕が無い
・下校途中で突然異様な嗜好の若い男に拉致される
・以後彼の部屋に軟禁状態で外に一歩も出られない

と、見るだけで息が苦しくなりそうな設定の塊なのですが、意外にも雰囲気はマイルドの一言。主人公の体の事を除けば、若い女の子とお兄さんのほのぼの日常漫画のノリです。

 別に遼は強引に監禁されている訳ではなく、ある程度自分の意思で白鷲の家に留まっているし、白鷲は(異常な嗜好であることを除けば)顔良し・性格良し・料理得意・面倒み良し・多分大金持ち、の好物件。基本的に漫画は、二人が部屋の中でたわいもない会話を延々としている漫画、というところです。おかげで、あまりにも凄い設定にもかかわらず、毎回結構気楽に読めます。

 しかしまあ、いくらほのぼの漫画のふりをしていても、「女子高生誘拐監禁漫画」には違いないので、何らかの決着が必要だし、それに白鷲には何か暗い過去があるみたいだし、と、話の先行きが妙に気にかかる作品です。途中で打ち切られたりせずに完走してほしいですよねぇ。
 

追記

 このマンガ、ネット連載が先行していて、雑誌連載は後追いなんですね……
 
Comic ZERO-SUM (コミック ゼロサム) 2017年8月号[雑誌]