感想:海外ドラマ「スパイ大作戦」第91話(シーズン4 第13話)「死人に口あり」


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【※以下ネタバレ】
 
シーズン4(79~104話)の他のエピソードのあらすじ・感想は以下のページでどうぞ
海外ドラマ「スパイ大作戦 シーズン4」あらすじ・感想まとめ
 

第91話 死人に口あり The Amnesiac (シーズン4 第13話)

 

あらすじ

2年前に盗まれ、行方不明になったトリバニウム。実は核兵器を安く製造できる核原料物質だった。この盗みに関わった3人から隠し場所を突き止め奪還する指令に、パリス(レナード・ニモイ)が事故死したと思われていた1人が実は記憶喪失となり生きていたという役で登場、果たしてトリバニウムを取り戻すことは出来るのか!?


2年前に盗まれ、行方不明になったトリバニウム。実は核兵器を安く製造できる核原料物質だった!この盗みに関わった3人から隠し場所を突き止め奪還する指令を受けるIMF。パリス(レナード・ニモイ)は、事故死したと思われる1人になりすまし、記憶を失いヤケドで顔が変わり生きていたことにして、実際に奪い隠したメンバーを揺さぶる。果たしてトリバニウムを取り戻すことは出来るか!?

【今回の指令】
 二年前、某国によってアメリカから核兵器の原料となる物質トレバニウム(Trivanium)が盗み出された。トレバニウムは従来より格段に安価に核兵器を開発できる物質である。この盗み出し工作に関わった者は、オットー・シルフ(Otto Silff)、ポール・ヨハン少佐(Major Paul Johan)、二人の上司の保安長官アレックス・ボルダ大佐(Colonel Alex Vorda)、の三人である。IMFはトレバニウムの隠し場所を突き止め奪回しなくてはならない。


【作戦参加メンバー】
 レギュラー:フェルプス、パリス、バーニー、ウィリー
 ゲスト:モニック、無名の劇団員たち(「グローブ・レパートリー劇団」所属)


【作戦の舞台】
 某国


【作戦】
 トレバニウム盗み出し犯の一人ヨハン少佐は、トレバニウムをどこかに隠した後、部下のシルフを殺し、上司のボルダ大佐には「シルフが裏切ってトレバニウムをどこかに隠してしまった」と嘘を報告していた。ヨハン少佐は、その秘匿してあるトレバニウムを近々売却して大金を手に入れる腹積もりである。

 一方、ボルダ大佐もトレバニウムを某国に横流しして、その見返りに某国にクーデター計画を支援してもらい、自国の権力を握る野望を抱いていた。

 IMFの作戦は、まずメンバーのモニックが、故シルフの恋人に接近し、自分の友人のパリスを紹介する。その恋人はパリスの言動やその他が二年前に死んだはずのシルフにそっくりであることに驚き、上司のボルダ大佐に調べてくれと直訴する。IMFはあらかじめシルフの指紋が記録されている資料をすり替えてあり、ボルダ大佐たちは、パリス=シルフだと信じ込む。

 ボルダ大佐はパリスを捕まえて尋問するが、パリスは二年前に大事故で大火傷を負ったうえ記憶喪失になったので、何もわからないと訴える。ボルダ大佐は、精神科医で記憶喪失研究の権威という設定のフェルプスを呼びつけ、パリスの記憶を取り戻させてトレバニウムの在処を聞き出すように命じる。

 一方、ヨハン少佐はモニックが何か怪しいので銃を突き付けて問い詰めると、途端にモニックはふてぶてしい態度に一転し、「パリスがシルフであることも、トレバニウム盗み出しに関わった事も知っている」と言い出す。そしてヨハン少佐がトレバニウムを隠していることを黙ってやる代わりに、分け前を半分よこせと脅しをかける。ヨハン少佐は自分の身の安全のため、渋々要求を呑む。

 そのあとウィリーはヨハン少佐を目立つように尾行し、ヨハン少佐はボルダ大佐が自分を疑っているのではと心配し始める。そしてパリス(オットー・シルフ)がトレバニウムの隠し場所を思い出せば、大佐は自分は構わないだろうと判断する。そしてモニックにトレバニウムの隠し場所(軍地基地の倉庫)を教えて、それをパリスに伝えるように言い含める。

 それを聞いたバーニーたちは、早速基地に潜入し、トレバニウムを確保し偽物とすり替える。一方、モニックはパリスと面会し、暗号でトレバニウムの隠し場所を伝える。途端にパリスは記憶が戻ったようなふりをして、トレハニウムの隠し場所を白状し、また同時にヨハン少佐が自分を殺そうとしたとも告白する。

 ボルダ大佐は基地に急行し、偽のトレバニウムの容器を見つけて大喜びすると共に、ヨハン少佐を撃ち殺す。そしてIMFメンバーがトレバニウムを持ってトラックで逃亡するシーンで〆。


監督: レザ・S・バディイ
脚本: ロバート・マルカム・ヤング&ケン・ペットス(原案: ロバート・マルカム・ヤング)


感想

 評価は○。

 きわめて複雑に込み入ったプロットだったが、それだけに「スパイ大作戦の醍醐味」というものが楽しめる好エピソードだった。

 視聴していて、あまりのストーリーの複雑さに、よくこんな話が考え付けるなと感嘆したが、今回のエピソードはシナリオライター二人がかりなので、それで密度が濃かったのかもしれない。


 今回のエピソードは、死んだ人間を実は生きていたと偽装し、ターゲットたちを引っ掛ける、といういかにもIMFらしい作戦が展開される。「死んだはずの人間が全く別人となって生きていたが、記憶喪失となっていた」という設定は、いかにもサスペンス風味で、視聴者的に見ていて楽しかった。また日本語サブタイトルの「死人に口あり」とは、実に上手い事をつけたもので、心底感心してしまった。

 パリスが死んだ人間に化けてボルダ大佐たちを騙すだけでもなかなかの展開だが、さらにモニックもわざとヨハン少佐に自分が怪しいと見破らせて、そこから別の作戦を展開していく、というのが実に手が込んでいて感心させられた。パリスとモニックが、それぞれボルダ大佐とヨハン少佐を上手く誘導し、事態を目指すゴールへと転がしていく様が、これぞスパイ大作戦、という展開で本当に楽しかった。

 また細かい所では、ウィリーが、ボルダ大佐の秘書のところに来て、しれっと電話帳を取り換えておいて、そのあと秘書がその(インチキな)電話帳に従って電話を掛けるとバーニーのところにつながる、という展開が、あまりにもうまくいきすぎて笑ってしまった。

 ところで、ボルダ大佐たちの着ている軍服が、デザインも色もそのまんまナチスドイツの服なので、危うさというかが半端ではなかった。21世紀のドラマだったら、あっという間に炎上しそうな案件である。この辺りは50年前だから許されたという感じである。


 今回のIMFの助っ人となる女性エージェントはモニック Monique(ジュリー・グレッグ)。多分声優は池田昌子氏。軽い仕事が担当のサブキャラではなく、パリスと二人で複雑な作戦を回していく重要キャラとして大活躍してくれた。


 このエピソードのサブタイトルの原題「The Amnesiac」とは「健忘症」のこと。記憶喪失となったオットー・シルフことパリスの事を示している。


参考:今回の指令の入手方法

 フェルプスがビリヤード場に入り、棚の上に置いてある大きめの封筒とオープンリール式テープレコーダーを取り出す。フェルプスはテープを再生して指令を聞きつつ、封筒の中の写真を確認する。指令は最後に「なお、このテープは自動的に消滅する」といい、テープから煙が吹き上がる。


参考:指令内容

 おはよう、フェルプス君。二年前、トレバニウムとして知られるアイソトープがわが国から盗み出された。トレバニウムは核兵器の原料であるが、格段にコストの安い核兵器を開発できるがため、各国がこれに目をつけている。このトレバニウム盗み出しの工作にあたった者は、まずオットー・シルフ、ポール・ヨハン少佐、そして二人の上官でありその国の保安長官であるアレックス・ボルダ大佐の三人である。

 そこで君の使命だが、トレバニウムの隠し場所を突き止め、これを奪回することにある。例によって、君もしくは君のメンバーが捕らえられ、あるいは殺されても、当局は一切関知しないからそのつもりで。なお、このテープは自動的に消滅する。成功を祈る。
 

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