【映画】感想:映画「博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」(1963年:アメリカ)

博士の異常な愛情 / または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか [Blu-ray]

映画|NHK BSオンライン http://www.nhk.or.jp/bs/t_cinema/
放送 NHK BSプレミアム 2017年8月30日(水)

【※以下ネタバレ】
 

東西冷戦の時代、正気を失ったアメリカの将軍がソ連への核攻撃を命令。米国大統領や高官たちは、事態を収拾しようとするが、核兵器を搭載した爆撃機は目標に進んでいく…。巨匠スタンリー・キューブリック監督が戦争を痛烈に風刺した傑作ブラックコメディー。ピーター・セラーズが、米国大統領と、英国大佐、そして、兵器開発局長のストレンジラブ博士の3役を見事に演じ、アカデミー主演男優賞にノミネートされた。

 

あらすじ

 東西冷戦の最中。アメリカ空軍のリッパー将軍は、部下に核戦争が勃発したと告げ、ソ連領空付近を常時飛行している爆撃機群に、ソ連領内に侵入して目標を核攻撃するように命じる。しかし実際は戦争など始まっておらず、全ては正気を失い「共産主義者がアメリカ人に薬を盛っている」という妄想に取りつかれたリッパー将軍の独断だった。

 状況を知った大統領たち政府高官と軍の首脳部は、ただちにソ連首相と連絡を取るが、ソ連が最終兵器「絶滅装置」を用意していることを知らされる。これはソ連が核攻撃を受けると、自動的に放射性物質を地球全体にまき散らし地球の全生物を滅亡させる、という物で、ソ連はこの装置をアメリカの攻撃への抑止力にするつもりだった。かくして米ソは今回の危機で運命共同体となってしまう。

 爆撃機を呼び戻すには、あらかじめリッパー将軍が決めておいた三文字の暗号を送信しなければならなかった。大統領はリッパー将軍を尋問するため、将軍が立てこもる基地に軍隊を突入させるが、将軍は尋問を恐れて自殺してしまう。しかしなんとか暗号が判明し、爆撃機は呼び戻された。

 ところが、撃墜されたと思われた一機がまだ飛行しており、しかも無線機が壊れて暗号通信が届かない状態になっていた。大統領はソ連側に爆撃機の目標地点を教え、待ちかまえて撃墜するように要請するが、爆撃機は燃料漏れのため本来の目標を諦め、別の基地に向かった末に、基地に水爆を投下してしまう。

 この事態に、兵器開発局長のストレンジラブ博士は、大統領に対し、地下に潜って放射線が収まるまで100年間過ごせば良いと提案する。そしてそこに入る人間はコンピューターに選ばせればいいとか、一夫多妻制にすればたちまち人口も増えるとか、嬉々としてアイデアを披露する。最後は核爆発の映像が繰り返し流れる中、明るい歌が流れてジ・エンド。

感想

 評価は○。

 神様キューブリックの映画であること、タイトルがやたら長いこと、で有名な映画ですが、見たのは初めてでした。

 まあ、面白いことは面白かったです。テーマ自体は重いのですが、語り口が妙に軽いのですいすいと見れてしまう、観客に優しいタイプの映画でした。

 しかし「ブラック【コメディ】」と分類されていたので、3分に一回腹を抱えて笑うようなバカ映画かと思っていたので、そういう意味ではちょっと肩透かしだったかなと。これをコメディに分類する人の気持ちが解らないです。「冷戦を皮肉った風刺映画」という意見にはもろ手を挙げて賛成しますけどね。

 公開前年の1962年にキューバ危機が起きており、「時事ネタ映画」という要素が強いと思われます。そういう歴史背景を差っ引くと、50年前と今とでは評価も違ってしまうのも致し方ないかなぁというところですね。


 ジョージ・C・スコットの演じるやたら反共主義的な将軍が良い味を出していましたが、さらにピーター・セラーズが演じた(三役の一つ)ストレンジラブ博士もイカしてました。ドイツから帰化した科学者という設定で、大統領をたびたび「総統」と呼び間違えたり、興奮するとナチス式敬礼をしたり(笑) あの部分を指してコメディというのでしょうか。
 

博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか
BSプレミアム8月30日(水)午後1時00分~2時36分


【製作・監督・脚本】
スタンリー・キューブリック
【原作・脚本】
ピーター・ジョー
【脚本】
テリー・サザーン
【撮影】
ギルバート・テイラー
【音楽】
ローリー・ジョンソン
【出演】
ピーター・セラーズジョージ・C・スコット、スターリング・ヘイドン ほか


製作国:
アメリカ/イギリス
製作年:
1963
原題:
DR.STRANGELOVE OR:HOW I LEARNED TO STOP WORRYING AND LOVE THE BOMB
備考:
英語/字幕スーパー/白黒/レターボックス・サイズ

 
 

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