【映画】感想:映画「007/リビング・デイライツ」(007シリーズ15作目)(1987年:イギリス)

007/リビング・デイライツ [Blu-ray]

BS-TBS|007シリーズ【吹替】 https://bs.tbs.co.jp/movie/007/
放送 BS-TBS。2022年2月19日(土)

【※以下ネタバレ】
 

007シリーズ第15弾。ダークでクールな4代目ボンド=ティモシー・ダルトン初登場作!


Mの命令で、KGBのコスコフ将軍の亡命を助けたボンド。しかし英国に渡った将軍は、何者かに拉致されてしまう。謎が謎を呼ぶ事件の陰には、コスコフと結託した武器商人ウィティカーの存在が…!

 

あらすじ

 ジブラルタルにあるイギリス軍の基地で軍事演習が行われ、00ナンバーの諜報員は仮想敵として基地に潜入を試みる任務が与えられた。ところが演習を利用し、謎の男が00ナンバー諜報員二人を殺害、007/ジェームズ・ボンドは犯人を追跡するものの、相手は事故死する。


 ボンドは、西側への亡命を希望するKGBのコスコフ将軍を護衛するため、チェコスロバキアブラチスラヴァに入った。ボンドは若い女がコスコフをライフルで狙っているのを発見するが、素人と判断し銃を破壊するだけで命は奪わずに済ます。

 コスコフの亡命は無事に成功し、イギリスに到着したコスコフは上司であるプーシキン将軍が西側のスパイを皆殺しにするという狂気の計画を命じたことを明かす。直後、コスコフは侵入してきた謎の一団に拉致され行方不明になってしまった。ボンドは個人的にプーシキンを知っており、コスコフの言葉には半信半疑だったが、Mからプーシキン暗殺を命じられる。

 ボンドはまずチェコスロバキアに行き、ライフルで狙撃しようとしていたチェロ奏者のカーラ・ミロヴィと接触する。カーラはコスコフのガールフレンドで、コスコフに頼まれライフルを構える真似をしていただけだった。ボンドはコスコフの亡命は見せかけに過ぎず、本当らしく見せるためカーラを犠牲にするつもりだったと悟る。ボンドはカーラからコスコフの情報を得るため、彼女を連れてチェコを脱出する。

 プーシキン将軍はタンジールに現れると、武器商人ウィティカーと面会し、武器取引をすべてキャンセルし、代金を払い戻すように要求する。プーシキンの去った後、拉致されたはずのコスコフが現れる。コスコフはウィティカーと癒着しており、自分の邪魔になるプーシキンをイギリスに殺させようと一芝居打ったのだった。

 ボンドはプーシキン接触して情報を交換し、コスコフたちを騙すため、ボンドがプーシキンを殺害したという芝居を演じる。そのあとボンドはカーラの裏切りでコスコフたちに捕まり、アフガニスタンにあるソ連軍基地に連行される。コスコフは、ボンドをプーシキン殺しの犯人としてモスクワに送るつもりで、自分の亡命云々は全て故プーシキンの命じた欺瞞工作だったと言い抜けるつもりだった。そしてカーラもコスコフに裏切られてしまう。

 ボンドとカーラは基地を脱出して、対ソ連軍ゲリラのムジャヒディンたちに救われる。ボンドはコスコフが公金を横領して、アフガニスタンでアヘンを購入、それを売りさばいた金で横領分を元に戻し、残りで私腹を肥やしていることを知る。ボンドはカーラと共にアヘンを積んだ輸送機を奪い、パキスタンに脱出した。

 ボンドはCIAの支援を得て、タンジールのウィティカーの屋敷に乗り込み、ウィティカーを殺害した。直後、屋敷に突入してきたプーシキンたちがコスコフを逮捕し、事件は解決した。

 最後。イギリスに亡命したカーラが演奏会でチェロを披露していた。そしてボンドと再会して〆。
 
 
 

感想

 評価は○(まあまあ)

 シリーズ14作目の「美しき獲物たち」(1985年)に続く第15弾にして、主演がロジャー・ムーアからティモシー・ダルトンにバトンタッチした記念すべき一作。評価としてはまあまあ。

 主演が変わっただけでここまで雰囲気が変化するものなのか、と思うくらい、シリーズ前作までとイメージが変わり、かなりシリアス・ダークな映画に仕上がっています、お色気シーンは一切なく(抱き合ってキスする程度)、それどころかムーア007時代はもちろん、コネリー007時代にもあったユーモア感覚が一切そぎ落とされ、ひたすら冷徹な雰囲気で、なんというか「シャープ」な感じの映画に仕上がっています。

 製作スタッフがティモシー・ダルトンの個性を最大限発揮する方向にチューニングしていて、それはそれで成功しているとは言えます、が……


 しかし、この映画、楽しめたかというと微妙なところで……、 個人的好みとしては「一番好きな007映画は『ゴールドフィンガー』」という人間ですので、シリアス一辺倒で遊びが無いストーリーは、正直イマイチ印象に残りませんでした。

 またラストに盛り上がりが無かったというのが致命的に問題で、途中まではまあまあ良かったのですが、恒例の「最終決戦」がなく、さらりと終わってしまい唖然呆然でした。なるほど、後から振り返れば、ボンドがウィティカーの屋敷に乗り込んでウィティカーと戦ったところがラストバトルだったわけですが、ウィティカーはそんなに存在感のあるキャラではなく、どちらかというと小物くさい悪党だっただけに、この男を倒して一件落着というのはあまりにもカタルシスが無さ過ぎた。

 ウィティカーが死に、コスコフがプーシキンに捕まった後、話が〆に入ってしまったため、「あれ……、これで終わり……? ああ、そうか、ウィティカーが死んでコスコフが逮捕されたからボンドの仕事は終わったのか……」と理屈の上では納得しましたが、気持ち的には全くオチが付いた気がしませんでした。

 シリアスな雰囲気、KGB高官の汚職/武器商人との癒着、というストーリーはダルトンのキャラにはぴったりとはまってはいて、それはそれで悪くはなかったのですが、こういう内容のボンド映画はあんまり求めていないなぁと言うのが正直なところでした。

 一応、ボンドカー(アストンマーチン)が大活躍したりはするのですけどね……、ちょっと期待しすぎました。

おまけ

 前作までレギュラー的に登場していたKGBのゴーゴル将軍は、本作では序盤の台詞の中で外務省に移ったという説明が有るので、もう消えたのかと思ったら、ラストでちょっとだけ登場してビックリ。視聴後に調べると、演じていたウォルター・ゴテルが病気だったため、登場シーンを減らしたとのこと。ゴ―ゴル将軍は本作でお別れだそうです。
 
 

https://www.bs-tbs.co.jp/movie/007livingdaylights/
007/リビング・デイライツ【吹替】


2022/2/19(土)
よる9:00~11:24


◆キャスト
ティモシー・ダルトン(吹替:大塚芳忠)、ジョー・ドン・ベイカー、マリアム・ダボ


◆スタッフ
原題:Living Daylights, THE
1987年/イギリス
監督:ジョン・グレン

 

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